鐘論破

ふろんがす

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♱一章 「月輪に宵の明星」

♱日彩蒼 「約束」

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天使「蒼くんは、どうして天体観測を…?」

 「それは、ね…」

 「…。」

 「昔から、星を見るのが好きだったから…だよ」


 星を見るのが好きだったから。

 間違ってはいない、けど…別の理由が、あった気がする。

 
 ここに来てから、もう何日も星空を見ていない。

 自然と戻ってきている。

 昔の自分に____。

 でも、その度にあの言葉が頭をよぎった。

 
 …。

 早く帰りたい。

 星が見たい。

 最近は、そのことしか考えていなかった。


天使「星空って、いいよね…。ほんの少しの、日常からの解放…っていうか…」

 「そうだね。リラックスできるし…」

天使「…。」


天使「…僕は、どちらかというと夜型だから、たまに星を見るんだけど。星空を見上げる度に、元気をもらうんだ」

天使「あぁ、下なんか向いてられないなぁ…って。あんなに広大な星空を目にしていたら、自分の悩み事や不安な事が、すごくちっぽけに見えてきて…」

天使「上を向くことは、大事なんだって思うよ」

 「…祠、くん」


 祠くんの言葉が、胸に刺さった。

 あぁ、そうか。

 俺はずっと、勘違いをしていたようだ。


 「……そうだね」


 コクリと頷いた。


 「目を上に上げると、人は自然と元気になる。前向きになる」

 「心が行動をつくるというけど、行動も心をつくるんだ」


 俺は、視線を上にやった。

 そこには、何もないけれど。


 「祠くん」
 
天使「…ん、何?」

 「ここから出たら、一緒に天体観測をしよう」

天使「え…?」

 「俺、星が一番綺麗に見える場所を知っているんだ。大きくて立派な望遠鏡も持っていくからさ…!」

天使「…僕なんかで、いいの…?」


 祠くんが、俺の顔を覗き込む。

 俺は、おもいっきり笑った。


 「祠くんと一緒がいいんだ」


 祠くんが、安心したように微笑んだ。


 祠くんは、俺の友達。

 …いいや、たった一人の大切な親友といってもいいだろう。


 ♱.♱.♱


 暗闇に輝く光は、心を落ち着かせて、希望の思いを起こさせる。

 どんな暗闇も、光には勝てない。

 光は希望の象徴だ。

 これは、天文学を学んでいく上で耳にした言葉だ。

 
 あの時の祠くんは、眩しかった。

 祠くんは、俺にとっての一番星。

 暗闇を照らしてくれる、光だ。




 
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感想 1

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みんなの感想(1件)

ㄘャ
2023.12.18 ㄘャ

絵上手くて憧れます

解除

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