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61 それぞれの忙しさ
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最近サイラス様がすごく忙しそうにしている。もう今日明日中には一段落つきそうとは言っていたけど。
それとここしばらくイベントがたくさんあって色々な人たちが集まっているので、そこから喧嘩に発展することも多いらしく、ちょっとこの辺りの治安が正常になるまで犬の散歩は庭と中庭ですませてほしいとお願いされた。どっちも広いからなんの問題も無さそうだけど、ザビは少し不満かもしれない。
今日は午前中はお姉様と会うので午後から向こうへ行く予定だ。
サイラス様もちょっと昼過ぎまで外出してくるってことなのでちょうどいいと思う。
「ッ本当に! 疲れたわ! ローラ、お茶をいれてくれる?」
お姉様が到着するなりテーブルに突っ伏してしまった。いつも背筋を伸ばして優雅なたたずまいを心がけているお姉様にしては珍しい。よほど疲れているんだろう。
「お姉様、めちゃくちゃ疲れてるけど大丈夫?」
「もう結婚式が近づくにつれて気が狂いそうになるほど予定が入ってくるの。無理矢理今日ここに来る予定ねじ込んだんだけどね。これ以降式が終わるまでは気軽には来れなさそう」
超多忙そうだ。
「まあ別邸とはいえ実家に帰って来た時くらいはのんびりしていってね」
「あと二カ月くらいであんたも似たような立場になるわりに余裕そうね」
うん、私はあんまり予定とか入ってないな。
なんでだろう?
私としてはお姉様がここまで忙しいのが不思議だけど、やっぱり王子妃ってそんなものなのかもしれない。私がここまでで結婚絡みでやったことっていうと、呼ぶ人をリストアップして招待状書いたっけ、字がきれいで読みやすいってサイラス様に言われたな。あとは親戚への挨拶とか? 思い返すと私だけで何かしたことってあんまりない。二人で一緒に何かするみたいな時は基本サイラス様の方がグイグイ行くし。
「お姉様。私気づいたんだけど」
「何に?」
「お姉様でしょ、ロイ君、サイラス様、あとカリナとか。私の周りって超しっかり者が多いわ」
「そうね、多分マリーは忙しくならない星の下に生まれてるのね」
「どうなんだろう? 私も頑張ってしっかりした方がいいのかな」
「今更しっかり者になれると思ってるなら無理だから無駄なことはやめなさい。マリーは今のままでいいわ」
無理か。まあ私が頑張ったとして明日からサイラス様みたいになれるかって言ったら絶対無理だろう。
「しかし、疲れに拍車をかけてくれるのはあのエリック王子よ!」
「ああ、あの大怪我してたとかいう。なんで?」
「この死ぬほど忙しい時にこのあたりに住んでる未婚の女性を集めたパーティを開きたいとかふざけたこと言ってたと思ったら、こんな直前になって私たちの結婚式を欠席するとか! 完全に席順とか挨拶まで決まってたのよ! 段取りの修正が!」
「なんで欠席になったの? 具合が悪化したとか?」
「ピンピンしてるわよ。あの方、元々研究留学してる人でしょ? 研究所から何か用事があるとかで呼び戻されてるの。別にアラン様も出席でも欠席でもどっちでも良いとは言ってるんだけど、準備を引っかき回してくれたわ」
「へえ、でも怪我が治ってよかったね」
「本当、あんたののほほんとしたところは私の癒やしだわ。しばらくここに住みたいくらいだけどもう帰らないと。はぁ」
「じゃあね。マリー」
ソファから立ち上がった瞬間に背筋を伸ばして表情から疲れを吹き飛ばし、優雅な淑女に戻るお姉様の意識の高さに感心する。
「もうちょっとの間大変そうだけど体に気をつけてね」
お姉様を見送ってから私もサイラス様のところへ向かう。
サイラス様はもうご用事がすんでいたのかお邸に帰ってきていた。少し疲れたような顔をしているが大丈夫だろうか。
「あの、サイラス様。ちょっと疲れてません? 大丈夫ですか?」
「ああ、すみません。最近忙しかったのに片が付きまして」
「サイラス様、結婚式のことで忙しいようなら私にも言ってくださいね」
「ええ、もちろん。私たち二人の結婚式ですからね。でも今回は別件なので大丈夫ですよ」
そっか、お仕事のこととかでは多分私は戦力外だろうな。
それとここしばらくイベントがたくさんあって色々な人たちが集まっているので、そこから喧嘩に発展することも多いらしく、ちょっとこの辺りの治安が正常になるまで犬の散歩は庭と中庭ですませてほしいとお願いされた。どっちも広いからなんの問題も無さそうだけど、ザビは少し不満かもしれない。
今日は午前中はお姉様と会うので午後から向こうへ行く予定だ。
サイラス様もちょっと昼過ぎまで外出してくるってことなのでちょうどいいと思う。
「ッ本当に! 疲れたわ! ローラ、お茶をいれてくれる?」
お姉様が到着するなりテーブルに突っ伏してしまった。いつも背筋を伸ばして優雅なたたずまいを心がけているお姉様にしては珍しい。よほど疲れているんだろう。
「お姉様、めちゃくちゃ疲れてるけど大丈夫?」
「もう結婚式が近づくにつれて気が狂いそうになるほど予定が入ってくるの。無理矢理今日ここに来る予定ねじ込んだんだけどね。これ以降式が終わるまでは気軽には来れなさそう」
超多忙そうだ。
「まあ別邸とはいえ実家に帰って来た時くらいはのんびりしていってね」
「あと二カ月くらいであんたも似たような立場になるわりに余裕そうね」
うん、私はあんまり予定とか入ってないな。
なんでだろう?
私としてはお姉様がここまで忙しいのが不思議だけど、やっぱり王子妃ってそんなものなのかもしれない。私がここまでで結婚絡みでやったことっていうと、呼ぶ人をリストアップして招待状書いたっけ、字がきれいで読みやすいってサイラス様に言われたな。あとは親戚への挨拶とか? 思い返すと私だけで何かしたことってあんまりない。二人で一緒に何かするみたいな時は基本サイラス様の方がグイグイ行くし。
「お姉様。私気づいたんだけど」
「何に?」
「お姉様でしょ、ロイ君、サイラス様、あとカリナとか。私の周りって超しっかり者が多いわ」
「そうね、多分マリーは忙しくならない星の下に生まれてるのね」
「どうなんだろう? 私も頑張ってしっかりした方がいいのかな」
「今更しっかり者になれると思ってるなら無理だから無駄なことはやめなさい。マリーは今のままでいいわ」
無理か。まあ私が頑張ったとして明日からサイラス様みたいになれるかって言ったら絶対無理だろう。
「しかし、疲れに拍車をかけてくれるのはあのエリック王子よ!」
「ああ、あの大怪我してたとかいう。なんで?」
「この死ぬほど忙しい時にこのあたりに住んでる未婚の女性を集めたパーティを開きたいとかふざけたこと言ってたと思ったら、こんな直前になって私たちの結婚式を欠席するとか! 完全に席順とか挨拶まで決まってたのよ! 段取りの修正が!」
「なんで欠席になったの? 具合が悪化したとか?」
「ピンピンしてるわよ。あの方、元々研究留学してる人でしょ? 研究所から何か用事があるとかで呼び戻されてるの。別にアラン様も出席でも欠席でもどっちでも良いとは言ってるんだけど、準備を引っかき回してくれたわ」
「へえ、でも怪我が治ってよかったね」
「本当、あんたののほほんとしたところは私の癒やしだわ。しばらくここに住みたいくらいだけどもう帰らないと。はぁ」
「じゃあね。マリー」
ソファから立ち上がった瞬間に背筋を伸ばして表情から疲れを吹き飛ばし、優雅な淑女に戻るお姉様の意識の高さに感心する。
「もうちょっとの間大変そうだけど体に気をつけてね」
お姉様を見送ってから私もサイラス様のところへ向かう。
サイラス様はもうご用事がすんでいたのかお邸に帰ってきていた。少し疲れたような顔をしているが大丈夫だろうか。
「あの、サイラス様。ちょっと疲れてません? 大丈夫ですか?」
「ああ、すみません。最近忙しかったのに片が付きまして」
「サイラス様、結婚式のことで忙しいようなら私にも言ってくださいね」
「ええ、もちろん。私たち二人の結婚式ですからね。でも今回は別件なので大丈夫ですよ」
そっか、お仕事のこととかでは多分私は戦力外だろうな。
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