上 下
47 / 68
第三章 魔王退治

第四十七話 剣がダメなら魔法を

しおりを挟む
 ドラゴンを倒しまくった私は早くもレベル2.3まで上げることに成功した。はっきり言ってショボい。
「レベルなかなか上がらないね」
アイラさんが気の毒そうな顔で私を見ている。

「いつまでこの状態が続くんでしょうか?」
「わかりません。何しろこんな状況を見るのは初めてですから」
物知りのクレアもお手上げと言った感じだ。
「ゾーチャと戦うにはどれ位のレベルが必要なのでしょうか?」
私は恐る恐る聞いてみる。
「多分レベル50くらいは・・・・」
これまた気の毒そうにクレアが言う。

「言いにくいのだがあの山を越えるとゾーチャの支配地に入る。これは遠回りして麗華ちゃんのレベルを上げた方がいいな」
勇者様の提案に速攻で反対したものがいる。
「いや、時間をかけすぎだ。このままゾーチャと戦うことにしよう」
当然ポチだ。

「でも、レバル2.3の麗華さんが危ないです」
「大丈夫さ。みんなは強い。常に後方で戦えばいいじゃないか」
「ゾーチャは全体攻撃をしてきます。麗華さんが一瞬で倒れるのは見えてます」
クレアが一生懸命ポチを説得するがポチは涼しい顔で、
「その時はその時さ」
と言った。

「その時ってどうするの? 戦闘後私を確実に生き返す魔法を知ってるとか?」
思わず私は口を挟んだ。ここは確実な保証が欲しいところよね。
「もし麗華が死んだら新しい少女を探しに行けばいいだけだ」
私はポチの首筋を猫づかみで持ち上げると大空高く遠投した。きっと1kmは飛んでいったわ。

「せめて強い魔法を覚えることができたらなあ」
「麗華ちゃんてどんな魔法が使えるの?」
アイラが当然の質問をしてきた。
「悪臭とヘヤーブラッシュとクロッシングフラッシュさ」
「1キロの距離を一瞬で帰って来るんじゃねぇ!」
今度は確実に2kmは飛ばせた自信があるわ。

「悪臭は何となくわかるけど、ヘヤーブラッシュとクロッシングフラッシュってどんな魔法なの?」
アイラが聞いて欲しくない質問をしてくる。
「ヘヤーブラッシュは自分の髪を丸めて相手にぶつけ強力な物理ダメージを与える魔法さ。魔法を使った後はつるつる頭になる。クロッシングフラッシュは着ている衣装が光り相手に1500前後のダメージを与えるんだ。当然この魔法を唱えると全裸になる」
「ポ~チ~! 3キロ先へと消えろー!」
キラッ!

 勇者様が真剣な眼差しで私を見つめながら静かに口を開いた。
「もしかすると麗華ちゃんて多重人格者?」
痛恨の一撃! 麗華は1200のダメージを受けた。
「きゃー! 麗華ちゃんが倒れたわ」
「麗華さん、大丈夫ですか?」
それから二ヶ月間、勇者様と目を合わせることができない私なのでした。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

殺人の冤罪で投獄されたら洗脳スキルを得ました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:9

取説とちょっとのネタバレで生き残れ?!

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:3

じゃんけん

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

異世界聖女の王子改造作戦〜陰キャが立派になりまして〜

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:264

逃げたい公爵令嬢と逃したく無い王太子

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:7pt お気に入り:105

処理中です...