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第四章 取り敢えず四天王を倒せ!

第五十六話 死に物狂いでお金を稼げ!

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 呪いの指輪って防御力が下がるだけだよね。もう漫才をやらされるのは嫌だよ。
「あれ? 麗華ちゃん太ったんじゃない?」
「ええー!」
今シーズン最大の。
「ええーーー!!!」
「ダイヤ系の呪いの指輪は防御力を下げるだけじゃなく装備した人を徐々に太らせる効果があるんだ」
「えええーーーーーー!!!!!」

「ポチ、どうしてそんなこと知ってるの?」
「僕はこの世界のことは全て知っているのさ」
「呪いの剣の外し方は?」
「もちろん知っていたさ」
「だったら早く言わんかーい!」
ビューン、キラッ!
「宇宙の果てまで飛んでいくといいわ」

 でも徐々に太るって最悪じゃない? これなら外れない剣の方がまだましだったわ。
「この指輪の呪いを解く方法ってありますよね?」
「麗華ちゃん、涙まで流さなくても」
「アイラさんは痩せてるから余裕なんです。私は私は」
「大丈夫だって。麗華ちゃんも十分痩せてるから」

「人間て胸から痩せ始めるらしいぜ」
サラの攻撃。麗華は1200のダメージを受けた。
 ただでさえ小さな胸が・・・・。
「勇者様、何とかしてください!」
「とにかく教会を捜そう」
「お願いします」

「それは無駄だと思うよ」
「ポチ! もう帰ってきたのね! それってどういうこと?」
「ダイヤの場合、呪いを解くのに物凄い高額なお布施がいるんだ」
「いくらくらい?」
「1カラット1000万マネーだ」
「このダイヤは10カラットだから・・・・1億マネー! そんなお金無いよ!」

「他の方法は? 何か他の方法は?」
「焦りすぎだって」
「でも・・・・」
「石けんで擦ったら指輪は抜けるって言うわよ」
さすがアイラさん!
「呪いだから無理だと思います」
うう~。
「いっそのこと指毎切り落とす」
「サラさん! 何恐ろしいことを言ってるんですか?」

 こうなったらモンスターを倒しまくってお金を稼ぐしかないわ。ええっと、今の所持金は。私は財布の中身を確認した。3256マネー・・・・。終わった。あと99996744マネーも稼がなければいけないなんて。絶対に無理。稼ぎ終わった頃には横綱級の体格になってるんだわ。いや横綱ですむのかな?

「・・・・麗華ちゃん、麗華ちゃん」
「あ? ごめんなさい。呼ばれてるのに気付きませんでした」
「この辺はゴールデンヒャクニンイッシュが多く出るらしい。うまくいけば何とかなるかも知れないぞ」
「本当ですか? 勇者様。ところでゴールデンヒャクニンイッシュって何ですか?」
「お金をたくさん持ってるモンスターだ最高で一度に10万マネーを手に入れた人もいるらしい」
「凄いです!」
私の瞳は少女マンガの主人公のように輝いた。

 私達はゴールデンヒャクニンイッシュが生息しているという黄金の泉を目指して森の奥に入っていった。
「確かこの辺りだと聞いたのですがありませんね」
「早く見つけないと!」
「そんなに急がなくてもすぐには太りませんよ」
「でもでも」
私の心配をよそにみんなは余裕の表情だ。はっきり言ってこのパーティーのメンバーはスタイル抜群だから太ると言うことに実感がないんだよねきっと。私がブツブツ言っていると急に目の前が黄色く光り始めた。これってもしかして!
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