告白作戦っ!

小松広和

文字の大きさ
58 / 60

第61話 こうなったら手あたり次第作戦

しおりを挟む
「え? 中園君もダメだったの?」
「見事な最期だったそうよ」
「柚衣ちゃんて、結構中園君が好きだと思ったんだけどな?」
「こうなりゃ手あたり次第、攻撃を仕掛けるしかないわね」
「夏上さん、あまり過激なことはしないでよね?」

 朝昼休み、沙耶ちゃんと野乃葉ちゃんが私の教室に来て、私をどこかに呼び出そうとしている。
 いやな予感がするんだけど。
「柚衣、一緒に来てよ」
「やだ」
「どうしてよ」
「なんとなく」

 絶対に騙されないんだからね。
 沙耶ちゃんのことだから、何か企んでいるに決まってるもん。
 すると野乃葉ちゃんがゆっくりとした口調で言った。
「もしかしたら~草壁君が~呼んでるのかも~」
 ガタン! 私は条件反射的に立ち上がる。

 沙耶ちゃんに連れて行かれたのは以前壁ドンで使った空き教室だった。
 草壁君は‥‥いた!!
 私はこれまた条件反射的に草壁君に所に駆け寄る。
 そして、もはや私のものとなりつつある草壁君の腕に抱き着いた。
「柚衣ちゃん、きつく抱き着きすぎだよ」
 もう草壁君たら照れちゃって。かわいい~!

「夏上さん、早く何とかしてよ」
「夏上さん? 沙耶ちゃんだろ?」
「あれってまだ続いてるの?」
「当然」
 ふう、草壁君がため息をついている。この頃ため息をつくこと多いよね?

「柚衣、草壁君がもっと抱き着いてほしいって」
「わかったよ。さ、沙耶ちゃん」
 沙耶ちゃんが片手をあげると、野乃葉ちゃんが教室の戸を開ける。
「柚衣ちゃん、これはどういうことですか?」
 ドアの向こうには、私のストーカー遥香ちゃんが立っていた。

「遥香ちゃん、あなたの恋人が男に奪われようとしてるよ。いいの?」
 沙耶ちゃんが遥香ちゃんを煽る。
「ちょっと離れてください。柚衣ちゃんの恋人は私なんですから!」
 遥香ちゃんが必死で私を草壁君から離そうとしてくる。
 何とかしなくちゃ。
「遥香ちゃん、無理に離そうとするなら私はあなたと別れるよ」
「ガーン!」

 遥香ちゃんの力が緩まった。
「嘘ですよね?」
「本当よ。別れたくなかったら今日は帰って」
「‥‥‥‥わかりました」
 遥香ちゃんが泣きながら教室から出て行った。
 ちょっとかわいそうだったかな?
 でも一途な愛を貫くためには仕方ないよね?

「夏上さん‥‥」
「沙耶ちゃんでしょ」
「沙耶ちゃん、もしかして予定が狂ってる?」
「そうね。残念だけど失敗だわ」
 草壁君がため息をついていた。このため息の原因って何なんだろう?

「う~ん。中園君もダメ、遥香もダメか。仕方ない最終兵器を投入するか」
「最終兵器? 何それ? いやな予感しかしないんだけど」
 草壁君が焦ってるよ。
「ではお待たせしました。最終兵器の草壁裕哉親衛隊の皆様どうぞ」

 沙耶ちゃんの声でスケバンにボクシングに剣士が入って来た。
「ちょっと夏上さん、何考えてるの?」
「皆さんいいんですか? あなたたちの大切な草壁君が奪われちゃいますよー」
「絶対に許さない! 草壁君から離れなさいよ!」
 ひえええー怖いよー。
 でも、私は草壁君の正式な彼女。絶対に離れるもんですか!

「みんな落ち着くんだ」
「いくら草壁様の言葉でも今日は聞けないわ」
 ふん、そんな脅しで草壁君から離れるもんですか!
 私は手に力を入れてさっきより強く抱き着いた。
「そんなに抱き着いたらダメだよ。リーダーの子がカッターを出したよ。剣道部の子に至っては竹刀を捨てて真剣に持ち替えたし」

「効果ないみたいだね」
 沙耶ちゃんが右手を挙げて、
「野乃葉」
 と言うと野乃葉ちゃんが生徒指導の伊藤先生を教室に連れてきた。
「お前ら何してる!」
「キャー」
 という悲鳴を上げて親衛隊の人たちが蜘蛛の子を散らすように逃げていった。

「ごめん、草壁君。万策尽きたわ」
「何とかしてよ。沙耶ちゃん」
 草壁君が躊躇せずに沙耶ちゃんと言ったよ。
 よっぽど困ってるんだね?
 私には関係ないことだけど。

「ねえ草壁君。今日は私を守ってくれてありがとう」
「思いっきり守れてないんだけど」
「そんなことないよ。私が無事なのは草壁君のおかげだよ」
「どちらかと言うと沙耶ちゃんが原因を作って自ら彼女たちを追い払ったって言うか」
 草壁君たら謙虚だよね?

 ますます草壁君が好きになった私は熱い視線を向けて言った。
「ねえ、キスして」
「何でいきなりそうなるの?」
 草壁君が慌ている。
「嫌なの?」
「嫌って言うか、ここは学校だし、野乃葉ちゃんも沙耶ちゃんも見てるし」
 草壁君が必死で私を押してくる。
 恥ずかしいのかな?
 でも、愛し合ってる者同士がキスするのって恥ずかしくなんかないよね?

 私は目を閉じて顔を草壁君に近づけていく。
「沙耶ちゃん、いや沙耶様。何とかしてください」
 あと少し。私が唇を尖らせた時、
「わー!」
 と叫んで草壁君が空き教室から飛び出していった。どうしてー?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈

玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳 大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。 でも、これはただのお見合いではないらしい。 初出はエブリスタ様にて。 また番外編を追加する予定です。 シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。 表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。

【完結】悪役令嬢の反撃の日々

ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。 「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。 お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。 「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら

渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!? このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!! 前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡ 「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」 ※※※ 現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。 今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました! ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...