告白作戦っ!

小松広和

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第63話 もうこれしか方法はない!

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 粘りに粘って草壁君の家の応接間まで来ることができた。
「柚衣ちゃんを連れてきちゃったけど、この後どうすればいいのさ?」
 草壁君が困った声で沙耶ちゃんに何か言っている。
「だって仕方ないよ。説得できなかったんだから」
 沙耶やちゃんも困った声で何か言っている。
 何を困ってるんだろう?

「とりあえず柚衣の部屋とベッドの準備だね」
「真剣に考えてよ。女の子をいきなり連れてきて今日からこの家で暮らしてもらうなんて言えないから。特に母上はこういうことに厳しいんだ」
 私のことを心配しているのかな?
「私なら大丈夫だよ。ベッドがないなら草壁君と一緒のベッドでもいいし」
 二人は一斉に頭を抱えだした。野乃葉ちゃんはわくわくした顔で私たちを眺めている。

「そうだ! お母さんに挨拶をしなくちゃ」
 私が勢い良く立ち上がると、
「ちょって待って!」
 沙耶ちゃんが慌てて私の手を握り、草壁君は入り口のドアの前に立って両手を広げていた。
 何してるのこの二人?

「今日からお世話になるんだし、行く行くはこの家のお嫁さんになるんだから最初が肝心じゃない?」
 私は正論をぶちかますが、二人は態度を改める様子はない。
「ダメよ」
「どうして?」
「柚衣、いいから落ち着いて」
 私は落ち着いてるよ。落ち着くのは沙耶ちゃんの方だよ。

「今、母上は留守だから」
「そうなんだ」
 だったら仕方ないよね?
「わかった。じゃあお父さんに」
「それもダメ」
 どうして沙耶ちゃんが否定するわけ?

 きっと私が草壁君と暮らすと結婚が早まると思って沙耶ちゃんが否定してるんだ。
 沙耶ちゃん、許せない!
「どうして私の幸せを邪魔するの! 酷いよ!」
 私は目一杯の大声で怒鳴った。

 その時、コンコンとこの部屋をノックする音が聞こえてきた。
 草壁君が大慌てで、
「はい!」
 と大きな声で返事をするとドアから出ていった。

「今、大きな声が聞こえましたがどうしたのですか?」
「何でもありません母上!」
「女性の声でしたが、どなたかお見えになっているのですか?」
「はい! お友達が来ておりまして」

 あ、草壁君のお母さんだ。
 あれ? 居ないんじゃなかったの?
「この声って草壁君のお母さんだよね?」
私が沙耶ちゃんに聞くと、
「さあ」?
というあやふやな返答が返ってきた。
「挨拶してこよっと」
 私が立ち上がると沙耶ちゃんが私の腰に抱きついてきた。
「ダメだよ」
「どうしてよ?」
「家族水入らずのところを邪魔しちゃダメ」
 わけがわからないよ。

「私はこの家の家族になるんだよ? もう家族みたいなもんじゃない」
 私は一生懸命に沙耶ちゃんの手を振り解こうとするが全く解けない。
 沙耶ちゃん、力強すぎだよ。

 私と沙耶ちゃんが格闘していると草壁君が部屋に戻って来てドアを勢いよく閉めた。
 肩で息をしている。
「ダメだ! 母上が5分後に挨拶に見えるそうだ」
「はあはあ、何で5分後なの?」
 沙耶ちゃんが息を切らしながら尋ねる。

「自分の寝室からベルギーの高級チョコを持ってくるそうだ」
「時間なさすぎ!」
「もし、柚衣ちゃんが婚約したって言い出したら僕は終わりだ!」

「もう仕方ないわね! こうなら最後の最後の手段よ!」
 沙耶ちゃんは叫ぶと私から手を離して草壁君の前に走った。
「柚衣! しっかり見ておきなさい!」
 私の方も向かず沙耶ちゃんは草壁君の二の腕を掴む。
「何? 何?」
草壁君が怯えた声で聞く。
「恥ずかしいから目を瞑りなさいよ!」
「お願いだから、何をするのか教えて!」
 チュ!
「△×◇◎▼※♠▽〇!」
 バタン。
「柚衣が倒れちゃったよ」

「どうして? どうしてキスするの?」
「ショック療法だよ」
「ああ、女の子とキスしてしまったー」
「キスくらいで取り乱すな」
「夏上さんは平気なの?」
「キス何て唇を当てるだけのことじゃん」
「もしかしてキスをし慣れてるとか?」
「一応、ファ、ファーストキスだけど‥‥」

 そして10分後、私は目覚めた。
「あれ? ここどこ?」
「ようやく目覚めたね柚衣」
 私は部屋中を見回した。
「もしかしてここって草壁君の応接間?」
「そうだよ」
「どうして私が草壁君の家にいるの?」
「そうか。催眠術にかかっているときの記憶はないのか。これはこうい都合だ」
「催眠術?」
「気にしなくていいよ」
思いっきり気になるんだけど。

 そこで私は草壁君が頭を抱えて蹲っているのに気付いた。
「どうして草壁君が頭を抱えてしゃがみ込んでるの?」
「世の中知らない方がいいこともあるよ」
 何その意味深な言葉は?
「ねえ、教えてよ」
 と言ったところで、草壁君のお母さんがベルギー産高級チョコレートの箱を持ってやってきた。

「あら、どうしたの裕哉? しゃがみ込んで」
「何でもありません母上」
「凄い、根性だけで立ち上がったよ」
 沙耶ちゃんが感心している。一体何があったのよ。
「こちらのお嬢さんはお昼寝かしら?」
 草壁君のお母さんの一言で、野乃葉ちゃんがあまりの衝撃のため気絶しているのに初めて気づくのだった。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

あ
2023.01.06

おもしろ!ꉂ(ˊᗜˋ*)

解除
のぞみん
2023.01.05 のぞみん

こういう作品も書かれるのですね。楽しく読ませていただきます。

解除

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