38 / 60
第38話 親衛隊
しおりを挟む
私は喫茶店のウインドーの近くに来るとわざとスピードを落とした。野乃葉ちゃんはと言うと、コーヒーを飲んでむせている。これはどう考えてもラブラブじゃないよ!
『紗椰ちゃん。お願いだから野乃葉ちゃんがラブラブに見えるように支持して』
『わかった。任せて』
紗椰ちゃんの声が異常に弾んでいる。
『野乃葉。中園君の手を握りなさい』
野乃葉ちゃんが突然乗り出して琉生の手を握ろうとしている。
「何? 何?」
慌てて手を引っ込める琉生。
『チッ、失敗したか。だったら野乃葉。中園君に甘えた目で見つめて。可愛く見せるこつは下から見上げるんだよ』
野乃葉ちゃんが低い体勢から琉生を睨み付けている。これじゃコンビニにたむろしている不良だよ。
「ごめん。俺が悪かった。謝るから許してくれ」
あれ? 琉生が野乃葉ちゃんに土下座してるよ。
『うまくいかないわね。こうなったら無理矢理キスするんだ野乃葉!』
野乃葉ちゃんが唇を突き出して思いっきり乗り出した。
「野乃葉、落ち着けここは喫茶店だぞ!」
琉生が野乃葉ちゃんの肩を必死で押している。ダメだわこりゃ。
「あそこに座って話しているのって中園君と野乃葉ちゃんじゃない?」
気付いてなかったんか~い!
「あっ、本当だ」
やや棒読み台詞になりながらも私が答える。
「何か仲良さそうだね、あの二人」
「そうかな~。じゃなかった本当だね」
「わかった。場所を変えてゆっくり話そう」
「どこで~話すの~」
「どこがいいかな?」
「琉生君の~家がいいな~」
「そうだな。俺の家なら・・・・ってダメだ」
「どうして~」
「身の危険を感じる」
野乃葉ちゃんとても幸せそう。琉生も何か嬉しそうに見えるのは何でだろう?
あれ? 何だろうこの気持ち・・・・。ちょっと寂しいような。
「どうかしたの?」
「ううん。何でもない」
「中園君、僕には柚衣ちゃんしかいないって言ってたのに」
「琉生だもん」
そう言いながら私は琉生を見た。
私たちは野乃葉ちゃんと琉生がいる喫茶店から歩き出した。これ以上この2人を見せていると仲が悪いことが草壁君にバレかねない。すると紗椰ちゃんの大きな声が聞こえてきた。
『やったー!! 大成功!!』
沙耶ちゃんかなり妥協してない? それにあまり大きな声出すと草壁君に聞こえちゃうよ。私はさっきよりちょっと草壁君に近寄っていたのだ。どうしてかはわからないけど。きっと奇妙な寂しさが心を支配しつつあったからだろう。
「あまり僕に近寄らない方がいいよ」
!?!?
「どうして!?」
私は涙目になりながら聞く。草壁君の冷たい言葉は私に大きなダメージを与える。
「さっきから誰かに見られている気がするんだ」
え? それって例の親衛隊? 違うよね? わかった。きっとそれは沙耶ちゃんだよ。さっきの声が聞こえたんだね。
「僕の思い過ごしならいいけど」
「きっとそうだよ」
「でも、もし親衛隊もどきなら君に危害を加える可能性もある」
「大丈夫だって。こう見えても私、書道5段なんだから」
「それは頼もしいね。でも、何かあったらすぐに言って欲しいんだ。彼女らは僕の前では何もしないから」
「ありがとう。嬉しい」
沙耶ちゃんがつけて来ているだけだから、怖くないもんね。
『あたし野乃葉が心配だからさっきの所にいるからね。柚衣たちは見えないので適当に盛り上がってて』
「え゛!」
「どうしたの? 変な声出して」
草壁君は心配そうな顔で私を見ている。
「何でもないの?」
ははは・・・・ていうことは誰に後をつけられてるんだろう・・・・。
「そろそろ、戻ろうか」
と私が言うと、
「え? もう?」
と草壁君が言ってくれる。
こ、これは何と嬉しい言葉でありましょうか! 生きてて良かったよ~!
でも、今はそれどころじゃないし・・・・。
私たちが戻りかけたとき、一人の女が私たちの行く手を拒んだ。
「私の誘いを無視しておいて、クリスマスイブに異性とデートとはどういうことですか」
「君は誰?」
草壁君の親衛隊じゃなくて、私の親衛隊もどきだった!
「遥香ちゃん!」
壁ドン事件以来、私と付き合っているつもりの佐々木遥香ちゃんだ。
「もう、何よ! こんなにひっついて!」
そう言うと遥香ちゃんは私たちの間に割って入った。
「あなた達、どういう関係なの?」
遥香ちゃんは草壁君を睨みながら聞く。
「友達だけど」
分かり切った返事なのだが、何か近付いたものが遠ざかっていく感じがする。
「私は柚衣ちゃんと付き合ってるの。紛らわしい真似しないでくれる」
ちょっと何言い出すのよ!
「遥香ちゃん。付き合ってるって・・・・」
「あの真剣な愛の告白を私は忘れません」
「愛の告白?」
草壁君はきょとんとした顔で呟く。
「違うの!!! これにはわけが・・・・」
「さあ、行きますよ」
遥香ちゃんは私の手を強引に引っ張る。これが意外と力が強く、みるみる草壁君から離れていった。
草壁君は何が起こったのか分からないという表情でポカンと立ったままだ。ああ、私の草壁君が遠ざかっていく。
『紗椰ちゃん。お願いだから野乃葉ちゃんがラブラブに見えるように支持して』
『わかった。任せて』
紗椰ちゃんの声が異常に弾んでいる。
『野乃葉。中園君の手を握りなさい』
野乃葉ちゃんが突然乗り出して琉生の手を握ろうとしている。
「何? 何?」
慌てて手を引っ込める琉生。
『チッ、失敗したか。だったら野乃葉。中園君に甘えた目で見つめて。可愛く見せるこつは下から見上げるんだよ』
野乃葉ちゃんが低い体勢から琉生を睨み付けている。これじゃコンビニにたむろしている不良だよ。
「ごめん。俺が悪かった。謝るから許してくれ」
あれ? 琉生が野乃葉ちゃんに土下座してるよ。
『うまくいかないわね。こうなったら無理矢理キスするんだ野乃葉!』
野乃葉ちゃんが唇を突き出して思いっきり乗り出した。
「野乃葉、落ち着けここは喫茶店だぞ!」
琉生が野乃葉ちゃんの肩を必死で押している。ダメだわこりゃ。
「あそこに座って話しているのって中園君と野乃葉ちゃんじゃない?」
気付いてなかったんか~い!
「あっ、本当だ」
やや棒読み台詞になりながらも私が答える。
「何か仲良さそうだね、あの二人」
「そうかな~。じゃなかった本当だね」
「わかった。場所を変えてゆっくり話そう」
「どこで~話すの~」
「どこがいいかな?」
「琉生君の~家がいいな~」
「そうだな。俺の家なら・・・・ってダメだ」
「どうして~」
「身の危険を感じる」
野乃葉ちゃんとても幸せそう。琉生も何か嬉しそうに見えるのは何でだろう?
あれ? 何だろうこの気持ち・・・・。ちょっと寂しいような。
「どうかしたの?」
「ううん。何でもない」
「中園君、僕には柚衣ちゃんしかいないって言ってたのに」
「琉生だもん」
そう言いながら私は琉生を見た。
私たちは野乃葉ちゃんと琉生がいる喫茶店から歩き出した。これ以上この2人を見せていると仲が悪いことが草壁君にバレかねない。すると紗椰ちゃんの大きな声が聞こえてきた。
『やったー!! 大成功!!』
沙耶ちゃんかなり妥協してない? それにあまり大きな声出すと草壁君に聞こえちゃうよ。私はさっきよりちょっと草壁君に近寄っていたのだ。どうしてかはわからないけど。きっと奇妙な寂しさが心を支配しつつあったからだろう。
「あまり僕に近寄らない方がいいよ」
!?!?
「どうして!?」
私は涙目になりながら聞く。草壁君の冷たい言葉は私に大きなダメージを与える。
「さっきから誰かに見られている気がするんだ」
え? それって例の親衛隊? 違うよね? わかった。きっとそれは沙耶ちゃんだよ。さっきの声が聞こえたんだね。
「僕の思い過ごしならいいけど」
「きっとそうだよ」
「でも、もし親衛隊もどきなら君に危害を加える可能性もある」
「大丈夫だって。こう見えても私、書道5段なんだから」
「それは頼もしいね。でも、何かあったらすぐに言って欲しいんだ。彼女らは僕の前では何もしないから」
「ありがとう。嬉しい」
沙耶ちゃんがつけて来ているだけだから、怖くないもんね。
『あたし野乃葉が心配だからさっきの所にいるからね。柚衣たちは見えないので適当に盛り上がってて』
「え゛!」
「どうしたの? 変な声出して」
草壁君は心配そうな顔で私を見ている。
「何でもないの?」
ははは・・・・ていうことは誰に後をつけられてるんだろう・・・・。
「そろそろ、戻ろうか」
と私が言うと、
「え? もう?」
と草壁君が言ってくれる。
こ、これは何と嬉しい言葉でありましょうか! 生きてて良かったよ~!
でも、今はそれどころじゃないし・・・・。
私たちが戻りかけたとき、一人の女が私たちの行く手を拒んだ。
「私の誘いを無視しておいて、クリスマスイブに異性とデートとはどういうことですか」
「君は誰?」
草壁君の親衛隊じゃなくて、私の親衛隊もどきだった!
「遥香ちゃん!」
壁ドン事件以来、私と付き合っているつもりの佐々木遥香ちゃんだ。
「もう、何よ! こんなにひっついて!」
そう言うと遥香ちゃんは私たちの間に割って入った。
「あなた達、どういう関係なの?」
遥香ちゃんは草壁君を睨みながら聞く。
「友達だけど」
分かり切った返事なのだが、何か近付いたものが遠ざかっていく感じがする。
「私は柚衣ちゃんと付き合ってるの。紛らわしい真似しないでくれる」
ちょっと何言い出すのよ!
「遥香ちゃん。付き合ってるって・・・・」
「あの真剣な愛の告白を私は忘れません」
「愛の告白?」
草壁君はきょとんとした顔で呟く。
「違うの!!! これにはわけが・・・・」
「さあ、行きますよ」
遥香ちゃんは私の手を強引に引っ張る。これが意外と力が強く、みるみる草壁君から離れていった。
草壁君は何が起こったのか分からないという表情でポカンと立ったままだ。ああ、私の草壁君が遠ざかっていく。
3
あなたにおすすめの小説
ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように
柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」
笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。
夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。
幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。
王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
貧乏大家族の私が御曹司と偽装結婚⁈
玖羽 望月
恋愛
朝木 与織子(あさぎ よりこ) 22歳
大学を卒業し、やっと憧れの都会での生活が始まった!と思いきや、突然降って湧いたお見合い話。
でも、これはただのお見合いではないらしい。
初出はエブリスタ様にて。
また番外編を追加する予定です。
シリーズ作品「恋をするのに理由はいらない」公開中です。
表紙は、「かんたん表紙メーカー」様https://sscard.monokakitools.net/covermaker.htmlで作成しました。
【完結】悪役令嬢の反撃の日々
ほーみ
恋愛
「ロゼリア、お茶会の準備はできていますか?」侍女のクラリスが部屋に入ってくる。
「ええ、ありがとう。今日も大勢の方々がいらっしゃるわね。」ロゼリアは微笑みながら答える。その微笑みは氷のように冷たく見えたが、心の中では別の計画を巡らせていた。
お茶会の席で、ロゼリアはいつものように優雅に振る舞い、貴族たちの陰口に耳を傾けた。その時、一人の男性が現れた。彼は王国の第一王子であり、ロゼリアの婚約者でもあるレオンハルトだった。
「ロゼリア、君の美しさは今日も輝いているね。」レオンハルトは優雅に頭を下げる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
人見知りと悪役令嬢がフェードアウトしたら
渡里あずま
恋愛
転生先は、乙女ゲーの「悪役」ポジション!?
このまま、謀殺とか絶対に嫌なので、絶望中のルームメイト(魂)連れて、修道院へ遁走!!
前世(現代)の智慧で、快適生活目指します♡
「この娘は、私が幸せにしなくちゃ!!」
※※※
現代の知識を持つ主人公と、異世界の幼女がルームシェア状態で生きていく話です。ざまぁなし。
今年、ダウンロード販売を考えているのでタイトル変更しました!(旧題:人見知りな私が、悪役令嬢? しかも気づかずフェードアウトしたら、今度は聖女と呼ばれています!)そして、第三章開始しました!
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる