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第1章 タイムトラベル同好会というクラブ
第3話 幼馴染みって一体・・・・
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俺の住む街は決して大きな方ではないが小さくもない。大型商業施設もあればコンビニの数も多い。電車に一時間も乗れば東京の都心部に入ることができるのだ。従って駅前は結構な人で賑わっている。
高架になっているJRの駅を東に進むとあまり高くない雑居ビルが建ち並ぶ地区に来ることができる。立派な都市ではないか。
「拾ったのはこの辺よ」
胡桃は素っ気なく答えた。俺は急いで辺りを見回す。この中に未来人がいるかもしれない。わくわくする気持ちを抑えながら少しずつ進んで行く。だが怪しげな人はどこにもいない。これはどういうことだ?
しかし考えてみればそう簡単に見つかるはずがない。未来人もバカではないだろう。現代人になりきっていなければ、すぐに未来人だとばれてしまうではないか。完璧な変装をしているに違いない。とはいえ、一人ずつ『未来人ですか?』と聞いて廻るわけにもいくまい。たとえ未来人に偶然出会えたとしても『はい、そうです』とは答えてはくれないだろう。
「ちょっと、あまりきょろきょろするのは止めなさいよ」
胡桃が恥ずかしそうに俺に注意した。
「この中に未来人がいるかもしれないんだぞ」
「だから未来人なんていないって言ってるでしょう」
「こんな高度な物を作れるなんて未来人か宇宙人に決まってるじゃねえか」
俺は人間観察を続けながら言った。
「宇宙人ならすぐ見つかりそうね」
胡桃はやや軽蔑した目で俺を見ている。どんな目で見られようが俺の考えは変わらない。これはきっと未来人が現代にやってきたときのパスポートなんだ。
ん! そうだ。これはパスポートだ。パスポートならコストのかかる強化硝子でコーティングしてもおかしくない。
俺の目が輝き出すのが自分でも分かる。
「真歴、もう帰りましょ。暗くなってきたし、ここはこんな時間に高校生がいるような場所じゃないわ」
確かにあまり雰囲気のいい場所ではない。雑居ビルにはスナックやバーといった飲み屋が多く入っている。そろそろ酔っ払いも増えてくるだろう。
だが俺は諦めなかった。
「もう少しだけ」
俺は胡桃の方を見もしないで答えた。
とは言ったものの胡桃の心配そうな顔を見ると、これ以上ここにいることはできない気がしてきた。
「わかった。今日は帰ることにするか」
「うん」
胡桃は小さく頷くと俺の方を見た。よほど心細かったのかもしれない。いつも強気な胡桃からは想像もつかない表情をしている。こいつもこんな顔をするんだ。何か大発見をした気分だ。
「じゃあ、帰りましょう」
胡桃を俺の腕を引っ張った。
「ああ、わかったからそんなに引っ張るなって」
胡桃の力が意外に強いのに驚きながら俺は答えた。
「帰った後一人で来たりしないでよね。心配だから」
「そんなことしねえよ」
え? 今なんて言った? 何だその手があるではないか。一旦帰ってから一人で出直してくればいいんだ。こんな簡単な解決策があろうとは。何しろ未来人に会うチャンスだ。こんな滅多にない好機を逃がしてたまるか。そうと決まれば早く帰るに限る。俺の足は自然と速くなる。
「今、良からぬことを考えたでしょう」
突然胡桃が宣った。
「どういうことだ?」
「私を帰した後一人でここに来るつもりね」
「そ、そんなことするわけないだろう?」
何でわかったんだ? 俺は何も言ってないぞ。どうなってるんだ?
「真歴との付き合いは長いのよ。あなたの考えることは全てわかるわ」
「そんなわけあるか!」
幼馴染みとはかくも恐ろしい存在なのか。俺は改めて胡桃の怖さを実感した。
「ここは高校生には危険な場所だわ。絶対に来ないって約束して」
「ああ、約束する。だから早く行こうぜ」
「ダメね。絶対来るつもりね」
「来ないって言ってるだろう!」
うむ、なかなかしぶとい。
暫くすると胡桃が折れた。
「わかった。真歴を信じることにするわ。さあ、帰りましょう」
よっしゃー! 作戦成功! さっさと胡桃を家に送って未来人捜しに来ることにしよう。
運が向いてきたぞ。絶対未来人を見つけてタイムマシンに乗ってみせる。俺は自然とガッツポーズをしていた。
そして家に着く。
「じゃあ、お休み。早く寝ろよ」
「家に帰る前にすることがあるの」
「何をするんだ?」
胡桃は俺の質問に答えもせず俺の家に向かって歩き出した。
「おい、どこに行くんだ? こら、何で俺の家に入るんだ? おい、待てよ」
胡桃はあたかも自分の家に入るように俺の家の玄関を開けた。
「こんばんは。お邪魔しますね」
「はーい。あら胡桃ちゃん。どうしたの?」
「ちょっとお母さんに頼みたいことがありまして」
「じゃあ、上がって」
「はーい」
どういうこったよ、おい! 何で俺の許可なく俺の家に上がり込むんだ?
「胡桃、待てよ。何で俺の家に入る必要があるんだ? お前の家は隣だぞ。何とか言えよ」
俺の言葉など無視してお茶の間に入っていくと胡桃は俺の母親と話し始めた。
かれこれ一時間。よくもまあ話すことが尽きないものだ。てか俺夕飯まだなんだけど。
「真歴たらすぐに顔に出るからわかりやすいんですよね」
「そうでしょう。もし浮気をしたらすぐわかるタイプよね」
何の話をしてるんだ?
「でも胡桃ちゃんがいてくれたら安心ね」
「そんな私なんて」
おいおい何が安心なんだ? 一体胡桃は何しにここへ来たんだ?
「俺、自分の部屋に言っていいか?」
俺はしびれを切らして言った。
「いいわよ」
二人が同時に答える。
「どうしたの? 部屋に行くんじゃなかったの?」
胡桃がニヤリと笑って言った。
何気にこの二人を野放しにするのも怖い気がする。別に今日に始まったわけではないが、この二人が仲良くなりすぎるのは俺にとって良くないという予感がするのだ。しかし、この退屈な女子トークを横で聞いているのも辛い。早く胡桃を帰してさっきの場所に行きたい。こうしている内にも未来人が帰ってしまうかもしれないのだ。
そして二時間経過。結局胡桃は我が家で夕食を食べ、
「真歴が出かけないよう気を付けてください」
と、俺の母親に念を押して帰って行った。
だったらそれだけを言えば良かろう! 何でこんなに長々話す必要があるというのだ?
その後も俺は胡桃の電話に夜遅くまで付き合わされ、結局家から出かける機会を失うことになってしまった。何なんだこれは! 胡桃には逆らえないというのか? 俺は将来に一抹の不安を抱きながら床につくのであった。
高架になっているJRの駅を東に進むとあまり高くない雑居ビルが建ち並ぶ地区に来ることができる。立派な都市ではないか。
「拾ったのはこの辺よ」
胡桃は素っ気なく答えた。俺は急いで辺りを見回す。この中に未来人がいるかもしれない。わくわくする気持ちを抑えながら少しずつ進んで行く。だが怪しげな人はどこにもいない。これはどういうことだ?
しかし考えてみればそう簡単に見つかるはずがない。未来人もバカではないだろう。現代人になりきっていなければ、すぐに未来人だとばれてしまうではないか。完璧な変装をしているに違いない。とはいえ、一人ずつ『未来人ですか?』と聞いて廻るわけにもいくまい。たとえ未来人に偶然出会えたとしても『はい、そうです』とは答えてはくれないだろう。
「ちょっと、あまりきょろきょろするのは止めなさいよ」
胡桃が恥ずかしそうに俺に注意した。
「この中に未来人がいるかもしれないんだぞ」
「だから未来人なんていないって言ってるでしょう」
「こんな高度な物を作れるなんて未来人か宇宙人に決まってるじゃねえか」
俺は人間観察を続けながら言った。
「宇宙人ならすぐ見つかりそうね」
胡桃はやや軽蔑した目で俺を見ている。どんな目で見られようが俺の考えは変わらない。これはきっと未来人が現代にやってきたときのパスポートなんだ。
ん! そうだ。これはパスポートだ。パスポートならコストのかかる強化硝子でコーティングしてもおかしくない。
俺の目が輝き出すのが自分でも分かる。
「真歴、もう帰りましょ。暗くなってきたし、ここはこんな時間に高校生がいるような場所じゃないわ」
確かにあまり雰囲気のいい場所ではない。雑居ビルにはスナックやバーといった飲み屋が多く入っている。そろそろ酔っ払いも増えてくるだろう。
だが俺は諦めなかった。
「もう少しだけ」
俺は胡桃の方を見もしないで答えた。
とは言ったものの胡桃の心配そうな顔を見ると、これ以上ここにいることはできない気がしてきた。
「わかった。今日は帰ることにするか」
「うん」
胡桃は小さく頷くと俺の方を見た。よほど心細かったのかもしれない。いつも強気な胡桃からは想像もつかない表情をしている。こいつもこんな顔をするんだ。何か大発見をした気分だ。
「じゃあ、帰りましょう」
胡桃を俺の腕を引っ張った。
「ああ、わかったからそんなに引っ張るなって」
胡桃の力が意外に強いのに驚きながら俺は答えた。
「帰った後一人で来たりしないでよね。心配だから」
「そんなことしねえよ」
え? 今なんて言った? 何だその手があるではないか。一旦帰ってから一人で出直してくればいいんだ。こんな簡単な解決策があろうとは。何しろ未来人に会うチャンスだ。こんな滅多にない好機を逃がしてたまるか。そうと決まれば早く帰るに限る。俺の足は自然と速くなる。
「今、良からぬことを考えたでしょう」
突然胡桃が宣った。
「どういうことだ?」
「私を帰した後一人でここに来るつもりね」
「そ、そんなことするわけないだろう?」
何でわかったんだ? 俺は何も言ってないぞ。どうなってるんだ?
「真歴との付き合いは長いのよ。あなたの考えることは全てわかるわ」
「そんなわけあるか!」
幼馴染みとはかくも恐ろしい存在なのか。俺は改めて胡桃の怖さを実感した。
「ここは高校生には危険な場所だわ。絶対に来ないって約束して」
「ああ、約束する。だから早く行こうぜ」
「ダメね。絶対来るつもりね」
「来ないって言ってるだろう!」
うむ、なかなかしぶとい。
暫くすると胡桃が折れた。
「わかった。真歴を信じることにするわ。さあ、帰りましょう」
よっしゃー! 作戦成功! さっさと胡桃を家に送って未来人捜しに来ることにしよう。
運が向いてきたぞ。絶対未来人を見つけてタイムマシンに乗ってみせる。俺は自然とガッツポーズをしていた。
そして家に着く。
「じゃあ、お休み。早く寝ろよ」
「家に帰る前にすることがあるの」
「何をするんだ?」
胡桃は俺の質問に答えもせず俺の家に向かって歩き出した。
「おい、どこに行くんだ? こら、何で俺の家に入るんだ? おい、待てよ」
胡桃はあたかも自分の家に入るように俺の家の玄関を開けた。
「こんばんは。お邪魔しますね」
「はーい。あら胡桃ちゃん。どうしたの?」
「ちょっとお母さんに頼みたいことがありまして」
「じゃあ、上がって」
「はーい」
どういうこったよ、おい! 何で俺の許可なく俺の家に上がり込むんだ?
「胡桃、待てよ。何で俺の家に入る必要があるんだ? お前の家は隣だぞ。何とか言えよ」
俺の言葉など無視してお茶の間に入っていくと胡桃は俺の母親と話し始めた。
かれこれ一時間。よくもまあ話すことが尽きないものだ。てか俺夕飯まだなんだけど。
「真歴たらすぐに顔に出るからわかりやすいんですよね」
「そうでしょう。もし浮気をしたらすぐわかるタイプよね」
何の話をしてるんだ?
「でも胡桃ちゃんがいてくれたら安心ね」
「そんな私なんて」
おいおい何が安心なんだ? 一体胡桃は何しにここへ来たんだ?
「俺、自分の部屋に言っていいか?」
俺はしびれを切らして言った。
「いいわよ」
二人が同時に答える。
「どうしたの? 部屋に行くんじゃなかったの?」
胡桃がニヤリと笑って言った。
何気にこの二人を野放しにするのも怖い気がする。別に今日に始まったわけではないが、この二人が仲良くなりすぎるのは俺にとって良くないという予感がするのだ。しかし、この退屈な女子トークを横で聞いているのも辛い。早く胡桃を帰してさっきの場所に行きたい。こうしている内にも未来人が帰ってしまうかもしれないのだ。
そして二時間経過。結局胡桃は我が家で夕食を食べ、
「真歴が出かけないよう気を付けてください」
と、俺の母親に念を押して帰って行った。
だったらそれだけを言えば良かろう! 何でこんなに長々話す必要があるというのだ?
その後も俺は胡桃の電話に夜遅くまで付き合わされ、結局家から出かける機会を失うことになってしまった。何なんだこれは! 胡桃には逆らえないというのか? 俺は将来に一抹の不安を抱きながら床につくのであった。
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