タイムトラベル同好会

小松広和

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第1章 タイムトラベル同好会というクラブ

第8話 定期券の秘密

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 地面に落ちている定期券が突然光り出した。
「何? これ?」
「わからねえ」
俺が定期券を持ちあげると定期券から『ピロロン』という音が流れ出す。

「壊れたのか?」
「何か違うみたい」
すると定期券から美しい女性の立体映像が現れ何かを話し始めた。
「@#$%&●$#○☆?・・・・次はどこをご案内致しましょうか?」
続いて文字が現れる。
一.スカイツリー
二.浅草寺
三.お台場
四.原宿
五.東京タワー
六.帰宅
「番号をお選びください。これ以外の場所を検索するときは七をお選びください」
俺たちは暫く声が出なかった。

「これって道案内じゃないか? やっぱりこの定期券は未来人の物だったんだ。未来人は普通に現代へ旅行に来てるんだ!」
「まさか、そんな」
胡桃は真剣な眼差しで定期券を見ている。

「やっぱり未来人はいたんだ。俺の読みに狂いはなかった」
「まだ未来人の物と決まったわけじゃないわ。だってこれ日本語じゃない」
「最初に聞いたこともない言葉を話してたじゃねえか。あれはきっと未来の言葉だ」
「聞いたことないけど未来語と決まったわけじゃないわ」
胡桃の声は小さくなっていく。

「じゃあ、この質問に返事をしてみようぜ」
「え? ダメよ危険だわ」
「何で危険なんだよ。未来人の物じゃないんだろ?」
「それはそうだけど・・・・」

 俺は胡桃の言葉など無視して突然現れた文字に返事をしてみることにした。取りあえず数字を言って見る。
「いち」
何も起こらない。
「に」
「さん」
全然ダメだ。何も反応しない。日本語でダメなら英語だ。

「ワン・ツー・スリー」
これでもダメのようだ。
「やはり向こうの言葉でないといけないのかな?」
「う~ん」
胡桃も考えていた。なんやかや言っても興味はあるようだ。

 俺は必死で考え続けた。せっかくのチャンスを逃してたまるものか。あっ、もしかして。
「これって数字を指で触ればいいんじゃないか?」
「そうか。きっとそうよ」
俺たちは緊張しながらそっと人差し指で数字の一に触れた。
・・・・・・・・。

 何も起こらない。
「ダメか!」
「そうみたいね」
その後も定期券を叩いてみたり、撫でてみたり、放り投げてみたりと、考えられること全てやってみたが、定期券は何の音沙汰もない。やがて立体映像はスーッと消え元の状態に戻ってしまった。

「あっ!」
「タイムリミットのようね」
俺は慌てて定期券を振ってみたが二度と立体映像が現れることはなかった。


 次の日、俺は登校拒否を決め込もうと思っていたが、なぜか胡桃が俺の家にやって来た。
「学校に行くわよ」
「何でお前が誘いに来るんだ?」
「どうせ、噂が気になってサボろうとしてるんでしょ?」
「どうしてわかった?」
「それくらいわかるわよ。さあ、行きましょう」
「いや俺は・・・・」
「心配しなくても大丈夫だから。行くわよ」
胡桃は俺の腕を強引に引っ張った。相変わらず力が強い。

 いざ学校へ登校してみると、俺と胡桃の噂で持ちきりだった・・・・はずなのだが、その気配は全くない。いつも通りの朝が待っているだけである。
 そんなはずはない。あれだけの生徒に見られたんだぞ。

 その時、廊下の前方を美紀が歩いているのを発見した。あいつなら噂をばらまいているに違いない。
「おい、中村」
俺の呼びかけに美紀が振り返る。
「ちょっと聞きたいことがあるのだが」
「宮本君、どうしたの?」

 俺はやや緊張気味に言葉を発した。
「その、何だ、俺の噂って流れてないか?」
「噂?」
「だから、その、俺と胡桃のだな、買い物のこととか・・・・」
「ああ、そのこと。そんなの噂になるわけないじゃない」
「え? どうしてだ?」
「だって、宮本君と胡桃じゃ当たり前すぎて噂になるわけないよ」
「何が当たり前なんだ?」
「そう思ってるのは宮本君だけだよ」
こう言い残すと美紀は笑いながら去っていった。

 さっぱりわけがわからん。俺と胡桃だと当たり前だと? はっきり言って二人で買い物に行ったのは初めてだぞ。それは小さな頃はよく行った気もするが親付きだったからな。まあ、とりあえず硬派のイメージは保てたのだからいいとするか。

 それよりあの定期券だ。立体映像を再び出すにはどうしたらいいのだろうか。映像が出るくらいだから何らかの機械が入っているはずである。だったら、強力な電気を流してみるか。でも壊してしまったら意味がない。

「どう? 噂なんて流れてなかったでしょ?」
急に声をかけてきたのは胡桃だ。
「ふぁあ~」
大きな欠伸をしている。色気の欠片もないな。別にどうでもいいのだが。

「昨日の夜は定期券のことが気になって。あまり眠れなかったのよ」
なんと。こんなところに同士が現れようとは。
「俺も一晩中起きていたぞ」
「私はちゃんと寝たわよ。寝不足ってだけ」
「しかし、お前が未来人のことを認めてくれるとは思わなかった」
「別に認めたわけじゃないけど、あそこまで不思議な現象を見せられるとね」
「あれは未来人の持ち物に決まってる。映像だけじゃなくしゃべったんだぞ」
俺は興奮のあまり声が大きくなっていた。

「ちょっと、恥ずかしいじゃない。大きな声を出さないで! 本当に毎回毎回同じこと言わせないでほしいわ」
「まだ二度目だ!」
「たとえ二度でも恥ずかしいことに違いないわよ」
「お前はいちいち口うるさいんだ!」
「せっかく言ってあげてるのに何よ!」

 すると近くにいる女子たちの『夫婦げんか?』とひそひそ話をするのが聞こえてきた。誰が夫婦だ! よく見ると少し離れたところで美紀が友達と嬉しそうな顔でこちらを見ている。何なんだ。どいつもこいつも。言っとくが俺は胡桃と結婚する気はこれっぽっちもないぞ。そんなことをしたら地獄ではないか。俺の夢は可愛くて優しくて一途な子と結婚することだ。胡桃はこの条件に一つも当てはまらないではないか。俺は心に中で大きくため息をついた。
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