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第4章 熱き逃亡の果てに
第45話 熱き逃亡の果てに
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扉が開くと俺と胡桃はさっきの部屋へ連れて行かれた。
「どうだね。決心はついたかね」
男はゆっくりとした口調で尋ねた。
「記憶を消されても思い出してみせるわ」
「まあ、頑張ってくれたまえ。不可能だと思うがね」
「萌はどうなったんだ。どちらを選んだか教えてくれ」
「残念だがそれはできない」
「なぜだ!?」
「国家機密に近い情報をそんな簡単に流すわけにはいかないのだ」
俺は男を睨み付けた。
「ところで、お前も記憶をなくすのでいいんだな」
「俺はここに残る」
「何言ってるの?」
「俺の人生は胡桃によって作られたようなものだ。逃亡中から様々な思い出が俺の脳裏に蘇ってきた。その殆どがいや全てが胡桃との思い出だと言ってもいいだろう。この思い出を捨てたら宮本真歴じゃなくなる。だから俺は記憶を消すわけにはいかないんだ。大好きな胡桃の記憶を消すなんて俺にはできねえ」
確か萌との思い出もあったような気がしたが、そんなのどうだっていい。
「真歴。何言ってるの? 萌には第二の人生を送れって言ってたのに」
「この責任は俺にある。このことを忘れて生きていくなんて俺にはできねえ。それに胡桃のことを忘れるのは絶対に嫌なんだ!」
俺の力強い言葉に一瞬胡桃は言葉を失っていた。
「本当にそれでいいんだな?」
男がゆっくりとした口調で尋ねる。恐らく最後の確認だろう。
「ああ」
「真歴、もう一度やり直そう。お願い考え直して」
「胡桃、ありがとう。こんな俺を心配してくれて」
「私も真歴のことが大好きなの。だから一緒に帰ろう」
胡桃の言葉に首を横に振ると男の方を見て言った。
「お願いがある。俺はどうなってもいい。この場で処刑されてもいい。だから胡桃の記憶を消さないで二十一世紀に帰してやってくれ」
「残念だが、それはできない」
「お願いだ」
「この世界を知ってしまった以上、記憶を残して帰すことはできないのだ」
なぜだ。なぜこうなってしまうんだ。悔しさだけが俺の心を支配している。胡桃、本当に済まない。一生を掛けて償いをしたいが、それも叶わない雰囲気だ。許してくれ。
「わかった。では、これでお別れと言うことになる。愛し合ってる二人なんだろう? 何か言い残すことはないか?」
「胡桃、今まで本当にありがとう。俺はお前なしではここまで成長できなかった。今まで気付いていなかったが、俺が一番好きなのはお前だったんだ」
「真歴・・・・」
「別れる間際に気付くなんて俺らしいよな?」
「真歴、私も」
「もういいだろう? この二人を連れて行け」
そして俺たちは別々の廊下を反対方向に連れて行かれた。
あれから一ヶ月が過ぎた。俺は硝子張りの大きなショーケースに入れられている。大きさは四畳半くらいだろうか。畳の部屋に柱時計、部屋の真ん中にはちゃぶ台がある。おそらく戦後の日本をイメージした部屋になっているのだろう。これはどう考えても二十一世紀じゃねえぞ。
目の前をたくさんの人々が俺を眺めながら通り過ぎていく。子ども連れやカップル。そして、ユリナのような学生。俺の入ったケースの上には「二十一世紀の人」という札が掛けられている。こいつら本当に歴史がわかってるのか? 仮にも博物館なんだろう?
一つ分からないのは俺の横にいる女性だ。佐々木胡桃。
「なんでお前がここにいるのだ?」
「真歴と一緒に暮らしたかっただけよ」
胡桃は相変わらず無愛想に話す。
「お前の行動は全くわからねえ。あんなに帰りたがってたのに、どうして残る道を選んだんだ?」
「あんな熱い告白されたらねぇ」
「あ、あれは本心じゃねえからな」
「そうよね。萌にも好きって言ってたもんね」
「あれは萌を説得するためで・・・・」
「やっぱり私の方が好きなのね」
「ち、違う!」
胡桃はクスクスと笑っている。
どうやら俺と胡桃の第二の人生が始まったようだ。七十世紀人に見られる生活でなければ最高だったのだが。俺はそっと胡桃を見つめた。
了
「どうだね。決心はついたかね」
男はゆっくりとした口調で尋ねた。
「記憶を消されても思い出してみせるわ」
「まあ、頑張ってくれたまえ。不可能だと思うがね」
「萌はどうなったんだ。どちらを選んだか教えてくれ」
「残念だがそれはできない」
「なぜだ!?」
「国家機密に近い情報をそんな簡単に流すわけにはいかないのだ」
俺は男を睨み付けた。
「ところで、お前も記憶をなくすのでいいんだな」
「俺はここに残る」
「何言ってるの?」
「俺の人生は胡桃によって作られたようなものだ。逃亡中から様々な思い出が俺の脳裏に蘇ってきた。その殆どがいや全てが胡桃との思い出だと言ってもいいだろう。この思い出を捨てたら宮本真歴じゃなくなる。だから俺は記憶を消すわけにはいかないんだ。大好きな胡桃の記憶を消すなんて俺にはできねえ」
確か萌との思い出もあったような気がしたが、そんなのどうだっていい。
「真歴。何言ってるの? 萌には第二の人生を送れって言ってたのに」
「この責任は俺にある。このことを忘れて生きていくなんて俺にはできねえ。それに胡桃のことを忘れるのは絶対に嫌なんだ!」
俺の力強い言葉に一瞬胡桃は言葉を失っていた。
「本当にそれでいいんだな?」
男がゆっくりとした口調で尋ねる。恐らく最後の確認だろう。
「ああ」
「真歴、もう一度やり直そう。お願い考え直して」
「胡桃、ありがとう。こんな俺を心配してくれて」
「私も真歴のことが大好きなの。だから一緒に帰ろう」
胡桃の言葉に首を横に振ると男の方を見て言った。
「お願いがある。俺はどうなってもいい。この場で処刑されてもいい。だから胡桃の記憶を消さないで二十一世紀に帰してやってくれ」
「残念だが、それはできない」
「お願いだ」
「この世界を知ってしまった以上、記憶を残して帰すことはできないのだ」
なぜだ。なぜこうなってしまうんだ。悔しさだけが俺の心を支配している。胡桃、本当に済まない。一生を掛けて償いをしたいが、それも叶わない雰囲気だ。許してくれ。
「わかった。では、これでお別れと言うことになる。愛し合ってる二人なんだろう? 何か言い残すことはないか?」
「胡桃、今まで本当にありがとう。俺はお前なしではここまで成長できなかった。今まで気付いていなかったが、俺が一番好きなのはお前だったんだ」
「真歴・・・・」
「別れる間際に気付くなんて俺らしいよな?」
「真歴、私も」
「もういいだろう? この二人を連れて行け」
そして俺たちは別々の廊下を反対方向に連れて行かれた。
あれから一ヶ月が過ぎた。俺は硝子張りの大きなショーケースに入れられている。大きさは四畳半くらいだろうか。畳の部屋に柱時計、部屋の真ん中にはちゃぶ台がある。おそらく戦後の日本をイメージした部屋になっているのだろう。これはどう考えても二十一世紀じゃねえぞ。
目の前をたくさんの人々が俺を眺めながら通り過ぎていく。子ども連れやカップル。そして、ユリナのような学生。俺の入ったケースの上には「二十一世紀の人」という札が掛けられている。こいつら本当に歴史がわかってるのか? 仮にも博物館なんだろう?
一つ分からないのは俺の横にいる女性だ。佐々木胡桃。
「なんでお前がここにいるのだ?」
「真歴と一緒に暮らしたかっただけよ」
胡桃は相変わらず無愛想に話す。
「お前の行動は全くわからねえ。あんなに帰りたがってたのに、どうして残る道を選んだんだ?」
「あんな熱い告白されたらねぇ」
「あ、あれは本心じゃねえからな」
「そうよね。萌にも好きって言ってたもんね」
「あれは萌を説得するためで・・・・」
「やっぱり私の方が好きなのね」
「ち、違う!」
胡桃はクスクスと笑っている。
どうやら俺と胡桃の第二の人生が始まったようだ。七十世紀人に見られる生活でなければ最高だったのだが。俺はそっと胡桃を見つめた。
了
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毎日、楽しく読ませていただいております。胡桃ちゃんの気持ちがよくわかります。なかなか自分の気持ちが分かってくれない彼、でもはっきり言うのは嫌。よくありますね。ところで、Webコンテンツ大賞もいよいよ終了ですが、大賞が終了しても続きをお願いします。楽しみにしていますので。これからも頑張ってください。
ありがとうございます。作品的にはSFなのですが、一番書きたいのは恋愛的な要素です。胡桃のもどかしさをどう表現するかで悩んでいます^ ^ 連載はこの後も続けていくつもりですので、最後まで読んでいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
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