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第3章 仲良し3人組
第60話 薄情者!
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ここは極東の森。とても冷たい風が吹いています。
「ここからはパープルドラゴンの支配地域に入る。気を付けろ」
「パープルドラゴンてどういう感じのドラゴンなんですか?」
もし出会ってもわからないのは困りものですからね。
「わからん」
ミーニャさんの意外な一言でした。
「え? どういうことですか?」
「会ったことがないからわからんのだ」
「会ったことがないって。パープルドラゴンに極東地域を任せたのはミーニャさんですよね?」
「そうだ」
「だったら会ってるじゃないですか?」
「はっきり言ってこんな場所に来る冒険者もいないだろうと思って適当に任命した」
隙だらけの政策ですよね?
そう言えば先ほどから急激にモンスターが減ったような気がします。
「森なのにモンスターに会いませんね」
「モンスターは基本的に寒いところには生息しないものだ」
意外な事実です。
「勿論、全く生息しないわけではない」
「そうなんですね。少ないんだったらいいじゃないですか。それだけ私たちの前に現れないってことですし」
「ただ・・・・」
「ただ? ただ何なんですか!?」
ミーニャさんの『ただ』というワードは碌なことがありません。
その時1匹のモンスターが現れました。
「雪だるまんか」
「キャー!」
「何でこんなに強いんですか?」
「寒い地方の野生モンスターは比較的強いのが多いのだ」
「ミーニャさんの攻撃もあまり効果がないですね」
「私は氷属性の魔法が得意だからな。こいつらは寒さに対しての耐性が強いのだ」
これって結構なピンチなのでは?
「リーサも攻撃してよ」
ナナカさんが必死な声で言います。
「わかりました。オイルシャワー」
「油掛けてどうするのよ! あれ? もしかして」
マッチをシュボ! 雪だるまんが火だるまになりました。
「勝ったな」
「それにしても3人がかりでこんなに苦戦するとは思わなかったわね」
「私、私・・・・」
「どうしたリーサ?」
「私、初めて強いモンスターに勝ったのですね。これって私の手柄ですよね?」
私は両手を握りしめ、してやったぞオーラをまき散らします。
「そんなに嬉しかったの?」
ナナカさんが呆れた顔で私を見ていますが、そんなこと今の私には関係ありません。
「でも、先が思いやられるな」
「どうしてよ?」
「雪だるまんはこの地方では弱い部類のモンスターだ」
「ええーーー!」
私の声が森に響きます。
どうするんですか! こんな過酷な任務だとは思いませんでした。もし強いモンスターに出会ったら今の魔法は通じるのでしょうか? ん? 私の前方に白い服を着た女性が見えます。強いモンスターじゃないですよね。どう見ても人間ですもんね。
「今度は雪おんなんか」
まさかのモンスターでした! 強くありませんように。
「こいつは厄介だな」
「どういうことですか?」
私はミーニャさんの服を掴んで問いかけます。
「こいつはかなりレベルの高いモンスターだ。凍える息を掛けられたら分厚い氷で覆われ身動きができなくなってしまう」
「で? どうなるんですか?」
「当然、凍え死ぬ」
「えええええーーーーーーー!!!!」
私の大きな声で私たちの存在に気付いた雪おんなんがこちらに向かってきます。どうしましょ?
「あれ? このモンスターってリーサそっくりじゃない? リーサも白いワンピース着てるし」
「それがどうしたというのですか!」
あほな会話をしている隙に雪おんなんがすぐ横に来ていました。
「キャー!!」
これはやばいですね。息を掛けられたら終わりです。私は慌ててオイルシャワーの魔法を唱えました。
カチーン! 嘘ですよね? オイルは一瞬で凍ってしまいました。
「どうして仲間に攻撃を仕掛けるの?」
「へ?」
雪おんなんが私を見て言います。
『もしかしてこのモンスター。リーサを仲間だと思ってるんじゃない?』
『まさかそんな』
『だって顔も体型もそっくりじゃん』
私たちは雪おんなんに聞かれないようにテレパシーで話しています。
確かに似ているとは思いますが、そんなことってあるのでしょうか?
『とにかく仲間だと言っちゃいなよ。助かる道はそれしかないわよ』
ナナカさんは人を犠牲にする天才ですから非常に気が進まないのですが、今は仕方ないですよね?
「ごめんなさい。雪だるまんと間違えたの」
「あんな体型のモンスターと一緒にしないで!」
「そうよね。私疲れてるのかしら? ははは」
私は墓穴を掘る天才でした。気を付けなくてはいけませんね。
「それにしても同種族の仲間に会えたのは久しぶりだわ」
「そ、そうですよね。私も久しぶりです」
「よかった。私と同じ境遇の人に会えて。あっちに私の住む氷の洞窟があるわ。そこでお話をしましょう」
「え? いやそれは・・・・」
「まさか嫌なの?」
雪おんなんは氷のため息を吐いています。
「やだなあ。話をしたいに決まってるじゃない。もう変な誤解しないでよ」
私ってこういう運命なのですね。ミーニャさんとナナカさんは、
『後で助けに行くからな。それまでは死ぬなよ』
と言っています。何て薄情な仲間なのでしょうか?
『今、死ぬなよって言いました?』
『氷の洞窟は予想以上に冷たい。人間の体力では血が凍って死ぬ可能性もあるのだ』
『ちょっとー!』
雪おんなんは嬉しそうに私の手を引っ張って歩き出すのでした。
「ここからはパープルドラゴンの支配地域に入る。気を付けろ」
「パープルドラゴンてどういう感じのドラゴンなんですか?」
もし出会ってもわからないのは困りものですからね。
「わからん」
ミーニャさんの意外な一言でした。
「え? どういうことですか?」
「会ったことがないからわからんのだ」
「会ったことがないって。パープルドラゴンに極東地域を任せたのはミーニャさんですよね?」
「そうだ」
「だったら会ってるじゃないですか?」
「はっきり言ってこんな場所に来る冒険者もいないだろうと思って適当に任命した」
隙だらけの政策ですよね?
そう言えば先ほどから急激にモンスターが減ったような気がします。
「森なのにモンスターに会いませんね」
「モンスターは基本的に寒いところには生息しないものだ」
意外な事実です。
「勿論、全く生息しないわけではない」
「そうなんですね。少ないんだったらいいじゃないですか。それだけ私たちの前に現れないってことですし」
「ただ・・・・」
「ただ? ただ何なんですか!?」
ミーニャさんの『ただ』というワードは碌なことがありません。
その時1匹のモンスターが現れました。
「雪だるまんか」
「キャー!」
「何でこんなに強いんですか?」
「寒い地方の野生モンスターは比較的強いのが多いのだ」
「ミーニャさんの攻撃もあまり効果がないですね」
「私は氷属性の魔法が得意だからな。こいつらは寒さに対しての耐性が強いのだ」
これって結構なピンチなのでは?
「リーサも攻撃してよ」
ナナカさんが必死な声で言います。
「わかりました。オイルシャワー」
「油掛けてどうするのよ! あれ? もしかして」
マッチをシュボ! 雪だるまんが火だるまになりました。
「勝ったな」
「それにしても3人がかりでこんなに苦戦するとは思わなかったわね」
「私、私・・・・」
「どうしたリーサ?」
「私、初めて強いモンスターに勝ったのですね。これって私の手柄ですよね?」
私は両手を握りしめ、してやったぞオーラをまき散らします。
「そんなに嬉しかったの?」
ナナカさんが呆れた顔で私を見ていますが、そんなこと今の私には関係ありません。
「でも、先が思いやられるな」
「どうしてよ?」
「雪だるまんはこの地方では弱い部類のモンスターだ」
「ええーーー!」
私の声が森に響きます。
どうするんですか! こんな過酷な任務だとは思いませんでした。もし強いモンスターに出会ったら今の魔法は通じるのでしょうか? ん? 私の前方に白い服を着た女性が見えます。強いモンスターじゃないですよね。どう見ても人間ですもんね。
「今度は雪おんなんか」
まさかのモンスターでした! 強くありませんように。
「こいつは厄介だな」
「どういうことですか?」
私はミーニャさんの服を掴んで問いかけます。
「こいつはかなりレベルの高いモンスターだ。凍える息を掛けられたら分厚い氷で覆われ身動きができなくなってしまう」
「で? どうなるんですか?」
「当然、凍え死ぬ」
「えええええーーーーーーー!!!!」
私の大きな声で私たちの存在に気付いた雪おんなんがこちらに向かってきます。どうしましょ?
「あれ? このモンスターってリーサそっくりじゃない? リーサも白いワンピース着てるし」
「それがどうしたというのですか!」
あほな会話をしている隙に雪おんなんがすぐ横に来ていました。
「キャー!!」
これはやばいですね。息を掛けられたら終わりです。私は慌ててオイルシャワーの魔法を唱えました。
カチーン! 嘘ですよね? オイルは一瞬で凍ってしまいました。
「どうして仲間に攻撃を仕掛けるの?」
「へ?」
雪おんなんが私を見て言います。
『もしかしてこのモンスター。リーサを仲間だと思ってるんじゃない?』
『まさかそんな』
『だって顔も体型もそっくりじゃん』
私たちは雪おんなんに聞かれないようにテレパシーで話しています。
確かに似ているとは思いますが、そんなことってあるのでしょうか?
『とにかく仲間だと言っちゃいなよ。助かる道はそれしかないわよ』
ナナカさんは人を犠牲にする天才ですから非常に気が進まないのですが、今は仕方ないですよね?
「ごめんなさい。雪だるまんと間違えたの」
「あんな体型のモンスターと一緒にしないで!」
「そうよね。私疲れてるのかしら? ははは」
私は墓穴を掘る天才でした。気を付けなくてはいけませんね。
「それにしても同種族の仲間に会えたのは久しぶりだわ」
「そ、そうですよね。私も久しぶりです」
「よかった。私と同じ境遇の人に会えて。あっちに私の住む氷の洞窟があるわ。そこでお話をしましょう」
「え? いやそれは・・・・」
「まさか嫌なの?」
雪おんなんは氷のため息を吐いています。
「やだなあ。話をしたいに決まってるじゃない。もう変な誤解しないでよ」
私ってこういう運命なのですね。ミーニャさんとナナカさんは、
『後で助けに行くからな。それまでは死ぬなよ』
と言っています。何て薄情な仲間なのでしょうか?
『今、死ぬなよって言いました?』
『氷の洞窟は予想以上に冷たい。人間の体力では血が凍って死ぬ可能性もあるのだ』
『ちょっとー!』
雪おんなんは嬉しそうに私の手を引っ張って歩き出すのでした。
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