落ちこぼれ魔女のリーサとラスボスのミーニャ

小松広和

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第3章 仲良し3人組

第87話 ラブストーリー

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 村の入り口にセブの村という看板がありました。
「今日はここに泊まりだな」
ミーニャさんにしては珍しく早めの決断です。
「もう少し先まで行かない?」
どうしたのでしょうか。ナナカさんが乗り気じゃないみたいです。

「ナナカにしては珍しいな? この村に何かあるのか?」
「ちょっとね・・・・」
暗い返事ですよね。ナナカさんの知っている村なのでしょうか?

「次の村まで歩くとすると途中で野宿になる可能性が高いぞ」
「ここに泊まりましょうナナカさん!」
野宿をするとなると話は別です。ナナカさんの躊躇など関係ないです。

 私達が宿の前に着いた時のことです。1人の男性が驚いた表情で声を掛けてきました。
「ナナカ! ナナカじゃないか。久しぶり!」
ナナカさんも驚いた表情で彼を見ています。
「知り合いの方ですか?」
「ええ、まあ」
ナナカさんらしくもない表情をして俯いています。

「今日はここに泊まるのか? 後で遊びに行くよ。話したいことは山ほどあるし」
「ええ」
一体誰なのでしょうか。ナナカさんとはどういう関係の方なのでしょう。とても気になります。まさか元彼だったりして。

 部屋に入ると早速追求です。
「さっきのイケメンは誰なんです?」
「知り合い」
「ナナカさん、この村に居たことがあるんですか?」
「転生してすぐに」
いつもよく喋るナナカさんにしては言葉少なですね。これは深い何かがありそうです。それにしても人の秘密を探るのってどうしてこんなに楽しいのでしょう。

「ナナカ、あの男が好きなのか?」
ミーニャさんが突然ストレートな質問をしました。私が一番聞きたいことでしたが、私にはこんな聞き方はできません。ミーニャさんも役に立つ時があるんですね?
「理由は分からぬが何かむかっとしたぞ。どうしたんだ?」
さすがラスボスです。私がミーニャさんの悪口を考えたのを察知したのですね。

「好きだったわ」
「え! 本当ですか?」
やっぱり元彼だったのですね。私の目が輝きます。女子3人の旅で初めての恋バナです。

「するとあの人は元彼ですか?」
「ええ、初恋だった」
これですよこれ!
「それでこの村に泊まるのを躊躇っていたのですね?」
「まあそうね」

「今でも好きなのか?」
ミーニャさんが落ち着いた声で聞きました。
「まあね」
このあやふやな返事は好きな証拠です。初恋の人を思い続けるなんて素敵です。でもナナカさんて意外に純情なんですね。いつもの言動からは想像できません。男気が全くないミーニャさんと違って男と遊びまくっているキャラってイメージでしたから。
「ん? またイラッときたぞ?」
ミーニャさんの勘は本物ですね。

「もし好きならここに残って彼と過ごしてもいいのだぞ」
「ええ! そんな~」
普通のナナカさんに戻りました。

 そして夜。ナナカさん愛しの彼がやって来ました。
「ナナカ、元気にしてたか?」
「ええ、何とか生きてたわ」
「突然いなくなるから心配してたんだぞ」
ナナカさんは俯き彼と目を合わせません。
「ごめん」
「嫌われたから仕方ないけど、居なくなるならその理由だけでも教えてほしかったな」
「嫌ってなんかいない!」
ナナカさんが顔を上げて彼を見つめて言いました。

 これって完全に恋人の会話ですよね。私やミーニャさんは免疫がないので分かりませんが恐らく重要な部分に突入しています。
「何だ? この時折来るこのムカつきは?」

「でも突然居なくなったじゃないか」
「・・・・・・・・」
何でしょう。このドラマを見ている気分は。

「私あなたのことが好きだった。とても好きだったの?」
「だったらどうして?」
私の目が益々輝きます。

「もし好きだったら僕がプロポーズした日にいなくなるなんておかしいだろ?」
来ましたー! ドラマ以外でこんな言葉を聞けるなんて超ラッキーです!
「それは・・・・」
「ナナカは手すら握らせてくれなかったから、一世一代の賭けでプロポーズしたんだ」
「とても嬉しかった。でもいきなりすぎてどう言ったらいいか分からず、思わず距離を取ってしまったの」
何しょう、このラブストーリーは? ミーニャさんは完全に固まっています。

「今でも好きなの」
遂に言っちゃいましたー! この絵に描いたようなハッピーエンドは何なのでしょうか?「あり・・・・がとう・・・・」
あれ? 返事が鈍いですね? 考えられる展開としては『これから2人この町で暮らそう』なのですが。

 ガチャ!
「パパー」
小さな女の子が部屋に入ってきました。
「3年前に結婚したんだ」
ガーン!

 こうしてミニラブストーリーはいとも簡単に終わりを告げるのでした。
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