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第四十章 死闘の果てに
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「これじゃきりがないわね」
マリーがじれったそうに叫ぶ。
「ここは芽依に任せて。お兄ちゃん、しっかり見ててよね。芽依の必殺奥義」
芽依が杖を大きく振りかぶると、今までにない集中した顔で叫んだ。
「これが芽依の全力全開!」
芽依の持つ杖の先が輝き始めたかと思うと、すぐにそれは眩しさへと変わった。思わず目を覆いたくなる光がドラゴンの目を襲う。
「あ、言い忘れたけど、この光を直接見ちゃ駄目だよ」
「言うのが遅い! てか『お兄ちゃん、しっかり見ててよね』って言ったよな」
ドラゴンは目をやられたのか自分の目をり両手で押さえてもがいている。
そして、あろう事か見えなくなった目から光線を乱射し始めたのだ。ここまで来ると異世界でもありえんだろ! ドラゴンから出される光線は木々を焼き地面を焦がした。その威力は膨大で全ての物を焼き尽くす勢いだ。
「危ない!」
マリーは大きな声で叫ぶと突然俺に覆い被さった。その直後、ファイヤードラゴンの発する光線がマリーの背中を通っていった。
「キャー」
マリーの声が飛竜の舞う大空に響く。
「おい、大丈夫か!?」
俺はマリーを揺すり大声で叫んだ。マリーの服は一瞬で焼かれ、その下には焦げたマリーの背中が見える。
「マリーは大丈夫?」
小百合は心配そうに聞いた。しかし、俺は言葉を返せなかった。声を出そうにも声が出ない。ただただマリーを抱きしめているしかなかった。
その時、辺りは異変に包まれた。風が止み音が消え、異様な雰囲気の中、目から光線を乱射していたドラゴンの動きがぴたりと止まる。
それを見た小百合は、
「今がチャンス」
と叫ぶとドラゴンめがけて走り出した。
「そのドラゴン、いつ動き出すかわからないよ」
という芽依の言葉に対しても、
「動き出してもいい。私はこのチャンスを生かしたい」
と答え、そのまま走り続け、ドラゴンの髭の下に到着すると、地球上では考えられない高さ五メートル以上のジャンプを見せ、見事髭を一刀両断に切り落とした。
大役を果たした小百合は切り落とした髭を担ぐと慌てて俺の方に向かって叫んだ。
「マリーは大丈夫なの!?」
俺は震える声で小さく答えた。
「こ、こいつ息をしてないんだ」
「どういうこと?」
頬を伝う水滴は大粒の涙となりマリーの背中を濡らしていた。いつの間にか近くまで来た小百合と芽依は動かなくなったマリーの体に触れた。俺は『これは俺のものだ』と言わんばかりにマリーの体を力一杯抱きしめた。
「何で俺なんかのために‥‥バカだよ」
目から出る涙は留まることを知らず溢れ出している。でも、恥ずかしくはなかった。芽依に見られても、小百合に見られても、涙を流すことが恥ずかしいとは思わなかった。
「俺はお前に冷たいことばかりしてきたのに。どうして命がけでこんな俺を守ったりするんだよ。おかしいじゃないか。答えろよ。何で黙ってるんだよ!」
「四郎君‥‥」
俺は突然顔を上げると、大きな声で叫んだ。
「マリーーーーー!!!」
しかし、マリーは動かない。
俺が俺が行けなかったんだ。俺がしっかりしていれば、こんなことにはならなかったんだ。お願いだマリー。もう一度話してくれ。俺に向かって怒鳴ってくれ。そして、その素敵な笑顔で微笑んでくれ。
俺はマリーを激しく揺すった。もう二度とマリーと話ができないなんて嫌だ! ああ、神様! 俺の命と引き換えにマリーを元に戻してください!
マリーがじれったそうに叫ぶ。
「ここは芽依に任せて。お兄ちゃん、しっかり見ててよね。芽依の必殺奥義」
芽依が杖を大きく振りかぶると、今までにない集中した顔で叫んだ。
「これが芽依の全力全開!」
芽依の持つ杖の先が輝き始めたかと思うと、すぐにそれは眩しさへと変わった。思わず目を覆いたくなる光がドラゴンの目を襲う。
「あ、言い忘れたけど、この光を直接見ちゃ駄目だよ」
「言うのが遅い! てか『お兄ちゃん、しっかり見ててよね』って言ったよな」
ドラゴンは目をやられたのか自分の目をり両手で押さえてもがいている。
そして、あろう事か見えなくなった目から光線を乱射し始めたのだ。ここまで来ると異世界でもありえんだろ! ドラゴンから出される光線は木々を焼き地面を焦がした。その威力は膨大で全ての物を焼き尽くす勢いだ。
「危ない!」
マリーは大きな声で叫ぶと突然俺に覆い被さった。その直後、ファイヤードラゴンの発する光線がマリーの背中を通っていった。
「キャー」
マリーの声が飛竜の舞う大空に響く。
「おい、大丈夫か!?」
俺はマリーを揺すり大声で叫んだ。マリーの服は一瞬で焼かれ、その下には焦げたマリーの背中が見える。
「マリーは大丈夫?」
小百合は心配そうに聞いた。しかし、俺は言葉を返せなかった。声を出そうにも声が出ない。ただただマリーを抱きしめているしかなかった。
その時、辺りは異変に包まれた。風が止み音が消え、異様な雰囲気の中、目から光線を乱射していたドラゴンの動きがぴたりと止まる。
それを見た小百合は、
「今がチャンス」
と叫ぶとドラゴンめがけて走り出した。
「そのドラゴン、いつ動き出すかわからないよ」
という芽依の言葉に対しても、
「動き出してもいい。私はこのチャンスを生かしたい」
と答え、そのまま走り続け、ドラゴンの髭の下に到着すると、地球上では考えられない高さ五メートル以上のジャンプを見せ、見事髭を一刀両断に切り落とした。
大役を果たした小百合は切り落とした髭を担ぐと慌てて俺の方に向かって叫んだ。
「マリーは大丈夫なの!?」
俺は震える声で小さく答えた。
「こ、こいつ息をしてないんだ」
「どういうこと?」
頬を伝う水滴は大粒の涙となりマリーの背中を濡らしていた。いつの間にか近くまで来た小百合と芽依は動かなくなったマリーの体に触れた。俺は『これは俺のものだ』と言わんばかりにマリーの体を力一杯抱きしめた。
「何で俺なんかのために‥‥バカだよ」
目から出る涙は留まることを知らず溢れ出している。でも、恥ずかしくはなかった。芽依に見られても、小百合に見られても、涙を流すことが恥ずかしいとは思わなかった。
「俺はお前に冷たいことばかりしてきたのに。どうして命がけでこんな俺を守ったりするんだよ。おかしいじゃないか。答えろよ。何で黙ってるんだよ!」
「四郎君‥‥」
俺は突然顔を上げると、大きな声で叫んだ。
「マリーーーーー!!!」
しかし、マリーは動かない。
俺が俺が行けなかったんだ。俺がしっかりしていれば、こんなことにはならなかったんだ。お願いだマリー。もう一度話してくれ。俺に向かって怒鳴ってくれ。そして、その素敵な笑顔で微笑んでくれ。
俺はマリーを激しく揺すった。もう二度とマリーと話ができないなんて嫌だ! ああ、神様! 俺の命と引き換えにマリーを元に戻してください!
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