控えなさい! 私はマリーよ!

小松広和

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第七話 マリーはブルー

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 今日の私はとてもブルーだわ。
「この前の街とは打って変わって、ここは長閑よね。いかにも農村て感じだわ」
「本当だな。見事な田園風景だ」
「芽依、こういう景色大好きだよー」

 私達がいかにも農道といった感じの道を進んでいくと一人の農民が数名の役人に連れ去られようとしていた。
「お許しください。ほんの出来心だったんです」
「うるさい。さっさと来い」

 この状況に小百合が慌てて役人に話しかけた。
「どうしたんですか?」
「此奴、自宅でこっそりコーヒーを飲んでおったのだ」
「コーヒーを飲んだらダメなんですか?」
「この地域では贅沢は許されない。ダメに決まっている」
「コーヒーが贅沢?」
「当たり前だ。そんなもの買う金があったら税をもっと払うのが決まりだ」

「マリー、いよいよ出番ね。あなたの好きなシチュエーションよ」
「別にいいんじゃない。興味ないわ」
「え?」
お供の三人が私を凝視する。
「ちょっとどうしちゃったのよ? あなたが一番燃える場面じゃない」
農民は無情にも私たちの前から連れ去られて行った。

「マリー、何か変じゃない? いつものあなたじゃないわ」
「今日の私はとても落ち込んでるの。ほっといてちょうだい」
「ええーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「どれだけ驚くのよ!」
「だってマリーが落ち込むなんて」
「小百合、あなたの処刑方法はあなたに選ばせてあげるわ。私にできるせめてもの情けよ」

「どうしたのマリーさん? もしかして恋煩い? この前のガードマンの中にイケメンがいたし」
「私は四郎一筋よ!」
四郎は何故かそっぽを向く。きっと照れてるのね。

 ある一軒の農家から大きな声が聞こえてきた。
「それを持っていかれたら、今日食べる物は何もありません。どうかお許しを」
「マリー、何とかしないと!」
「何を?」
「何をって。この状況をよ。農家の人が悪政に苦しんでいるわ。助けなきゃ」

 小百合が役人を止めるべく声をかけに行った。
「何を騒いでいるのですか?」
「こいつが米を隠し持ってやがったんだ」
「もうこの家には何も食べるものがありません。それを持っていかれると飢え死にしてしまいます」
「ええい、ただでさえ税を穫れ高の八十パーセントにしてやっているというのに、それが払えないだと」

「それはちょっと酷すぎませんか? マリーなんか言ってやってよ」
「それは税を払わないのがいけないわ」
「そんなわけないでしょ!」

「一体何を落ち込んでるわけ?」
「ちょっとしたミスをしちゃったのよ」
「ミスって何よ?」
「この前行った街で」
「あの大都会の街ね」
「異世界らしい光景に『からくり人形』を入れてしまったのよ」
「そんな下らないことで悩んでたんかーい!」

 お供の三人が大声でツッコム中、また一人新たな農民が連れ去られて行くのであった。
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