47 / 109
第四十七話 風物詩の輸入
しおりを挟む
「もうすっかり秋ねぇ。風が爽やかだわ」
ミーンミンミンミンミン。
「蝉の声もいい感じね」
「それ、おかしいでしょ!」
「何がよ」
「どうして秋に蝉なのよ?」
「蝉と言ったら秋の風物詩でしょ」
「蝉は夏の風物詩よ!」
「あら? そうだったかしら?」
「大体この異世界に蝉がいるの?」
「もちろんいないわ。私が説明して魔力の高い人に作らせたのよ」
「ちょっとその蝉を見せてみなさいよ」
疑り深いわね。これが小百合の悪いところよ。人の言うことを全然信用しないんだから。仕方なく私は蝉の立体映像を見せてやることにした。
「これが蝉よ」
「何なのこれ! 足が十本、羽が5枚、挙げ句の果てに目が七つ。あんた蝉を見たことないでしょ!」
「ないわよ。木の高いところにいたり保護色だったり。簡単には見つからないもの」
「呆れたわね」
「でも鳴き声は完璧よ」
「鳴き声だけね」
「飛び立つ時におしっこをかけていくって聞いてたから、虫に水を蓄える仕組みを作るのに苦労したわ」
「それでウォーターサーバーみたいなのを背負ってるわけ?」
「他にもたくさん表の世界から持ってきた物があるわよ。春の風物詩の鈴虫でしょ」
「それが秋の風物詩よ」
「冬の風物詩の蛙でしょ」
「冬は冬眠してるわよ!」
「食べ物だってあるわ。冬のスイカに春の松茸」
「滅茶苦茶ね」
「熊を連れてきたのは大きな間違いだったわ。被害が絶えないのよね」
「日本の物を取り入れるのはいいけど、ちょっとは日本の勉強をしなさいよね」
「失礼ね。私は日本の文化を取り入れるために派遣された大使よ」
「あなたみたいな人が大使をしてるからこうなるのよ! ていうか大使の意味知ってる?」
「わかったわ。あなたの意見も少しだけ聞いてあげるから日本の様子を説明しなさい」
私は日本から輸入してきた物を立体映像で並べて、小百合に説明させることにした。やるだけ無駄な時間だけど、ほんの少しの間違いが発見されるかもしれないわ。
「どういうこと? ほとんど間違ってるじゃない」
「だから言ってるでしょ。無茶苦茶なのよ」
「だって本物を見る機会なんてほとんどないんだから仕方ないじゃない」
「本物を見なくても図鑑や百科事典があるでしょ」
ガーン! これは盲点だったわ。
「もしかしてマリーってバカなのかしら」
「何か言った?」
「別に」
その時、芽依が満面の笑みで飛び込んできた。
「ねえねえ、凄いの捕まえたよ。ほら妖精さん!」
「それはトンボよ」
「小さな人間に羽が生えてるだけでしょ!」
どうやらいろいろと改善点がありそうね。仕方ないから今回は小百合の言うことを信じてあげることにするわ。
「それと近くの池に鯨がいたよ」
頭を抱え込む小百合であった。
ミーンミンミンミンミン。
「蝉の声もいい感じね」
「それ、おかしいでしょ!」
「何がよ」
「どうして秋に蝉なのよ?」
「蝉と言ったら秋の風物詩でしょ」
「蝉は夏の風物詩よ!」
「あら? そうだったかしら?」
「大体この異世界に蝉がいるの?」
「もちろんいないわ。私が説明して魔力の高い人に作らせたのよ」
「ちょっとその蝉を見せてみなさいよ」
疑り深いわね。これが小百合の悪いところよ。人の言うことを全然信用しないんだから。仕方なく私は蝉の立体映像を見せてやることにした。
「これが蝉よ」
「何なのこれ! 足が十本、羽が5枚、挙げ句の果てに目が七つ。あんた蝉を見たことないでしょ!」
「ないわよ。木の高いところにいたり保護色だったり。簡単には見つからないもの」
「呆れたわね」
「でも鳴き声は完璧よ」
「鳴き声だけね」
「飛び立つ時におしっこをかけていくって聞いてたから、虫に水を蓄える仕組みを作るのに苦労したわ」
「それでウォーターサーバーみたいなのを背負ってるわけ?」
「他にもたくさん表の世界から持ってきた物があるわよ。春の風物詩の鈴虫でしょ」
「それが秋の風物詩よ」
「冬の風物詩の蛙でしょ」
「冬は冬眠してるわよ!」
「食べ物だってあるわ。冬のスイカに春の松茸」
「滅茶苦茶ね」
「熊を連れてきたのは大きな間違いだったわ。被害が絶えないのよね」
「日本の物を取り入れるのはいいけど、ちょっとは日本の勉強をしなさいよね」
「失礼ね。私は日本の文化を取り入れるために派遣された大使よ」
「あなたみたいな人が大使をしてるからこうなるのよ! ていうか大使の意味知ってる?」
「わかったわ。あなたの意見も少しだけ聞いてあげるから日本の様子を説明しなさい」
私は日本から輸入してきた物を立体映像で並べて、小百合に説明させることにした。やるだけ無駄な時間だけど、ほんの少しの間違いが発見されるかもしれないわ。
「どういうこと? ほとんど間違ってるじゃない」
「だから言ってるでしょ。無茶苦茶なのよ」
「だって本物を見る機会なんてほとんどないんだから仕方ないじゃない」
「本物を見なくても図鑑や百科事典があるでしょ」
ガーン! これは盲点だったわ。
「もしかしてマリーってバカなのかしら」
「何か言った?」
「別に」
その時、芽依が満面の笑みで飛び込んできた。
「ねえねえ、凄いの捕まえたよ。ほら妖精さん!」
「それはトンボよ」
「小さな人間に羽が生えてるだけでしょ!」
どうやらいろいろと改善点がありそうね。仕方ないから今回は小百合の言うことを信じてあげることにするわ。
「それと近くの池に鯨がいたよ」
頭を抱え込む小百合であった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
十六歳の妹の誕生日、私はこの世を去る。
あいみ
恋愛
碌に手入れもされていない赤毛の伯爵令嬢、スカーレット。
宝石のように澄んだ青い髪をした伯爵令嬢、ルビア。
対極のような二人は姉妹。母親の違う。
お世辞にも美しいと言えない前妻の子供であるスカーレットは誰からも愛されない。
そばかすだらけで、笑顔が苦手な醜い姉。
天使のように愛らしく、誰からも好かれる可愛い妹。
生まれつき体の弱いルビアは長くは生きられないと宣告されていた。
両親の必死に看病や、“婚約者の献身的なサポート”のおかげで、日常生活が送れるようになるまで回復した。
だが……。運命とは残酷である。
ルビアの元に死神から知らせが届く。
十六歳の誕生日、ルビアの魂は天に還る、と。
美しい愛しているルビア。
失いたくない。殺されてなるものか。
それぞれのルビアを大切に思う想いが、一つの選択をさせた。
生まれてくる価値のなかった、醜いスカーレットを代わりに殺そう、と。
これは彼女が死ぬ前と死んだ後の、少しの物語。
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる