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第五十八話 河崎菫
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「もう少しいい宿はないの?」
「長い旅なんだから贅沢してたらすぐにお金がなくなるでしょ」
「何で当然のようにあなたがいるのよ!」
もちろんツッコミを入れたのは小百合である。
「大切な四郎君を危険に晒すわけにはいかないわ。当分あなたたちに同行させてもらうことにしたの」
「危険て何よ!」
「若い女性と旅させるなんて危険に決まってるじゃない」
「あなたも一緒に旅をしていいなんて許可した覚えはないわよ!」
あのう、小百合? これって私が言うべき台詞じゃなくて?
「とにかく、私はあなたと旅するつもりはないから」
「そう、わかったわ。四郎君そう言うことだから私と一緒に日本に帰りましょう」
「ちょっと、どうして四郎君を連れて行くのよ!」
「私は四郎君の婚約者なんだから当然でしょ」
「だから幼児期の約束なんてないのも同然だと言ってるでしょ!」
「あら、付き合いの短いあなたに言われたくないわね。私はあなたと違って付き合いの歴史が違うのよ。あなたはたかだか三年。私は九年。約三倍なの。わかります?」
「それがどうしたって言うの?」
「芽依は十二年だよ」
「接している時間が長ければ長いほど親しくなるのは当たり前じゃない」
「恋愛意識が何年続いているかの方が大切なんじゃなくて?」
「だから芽依は・・・・」
「「妹は黙ってて!」」
「ダメだね、これは」
芽依はため息をついた。私は芽依の態度があまりに落ち着いているのを不思議に思い聞いてみる。
「四郎の婚約者が出てきたっていうのに、えらく落ち着いてるわね」
「菫ちゃんは大丈夫だよ」
「どういうこと?」
「お兄ちゃんは菫ちゃんのことは好きじゃないもん」
「それは本当なの?」
「本当だよ」
「でも婚約までしたって言ってるじゃない」
「あれは菫ちゃんが一方的にさせんだよ」
「そうなの。じゃあ、安心なのね」
「でもー」
「な、何よ。気になるじゃない。言いなさいよ」
「菫ちゃんてもの凄い強引な性格なんだよ」
「確かにそんな感じね」
「お兄ちゃん、優柔不断だから押し切られる可能性もあるかもだよ」
「それって一大事じゃない」
「まあまあ、菫ちゃんも小百合もこの辺で言い合うのは止めないか? ここはホテルのロビーだし」
今まで沈黙を保っていた四郎が話し始めた。沈黙する気持ちもわかるわ。
「この人達とは別れて私と二人で世直し旅に行こう」
「何であなたが世直しをするのよ!」
私は思わずツッコんでしまった。まあ、当然の流れよね。
「紹介が遅れたわ。私の名前はピピプル・クレタ・ビチャ・ウン○。この国のプリンセス、つまり次期国王よ」
「ふーん」
「何よ、その反応は! 少しは驚きなさいよ」
「私は日本人なの。この国の偉いさんなんて興味ないわ」
初めてピピプル家の名前が通じない新種が発見された。
「驚きついでにもう一つ教えてあげるわ」
「別に驚いてないわ」
「私のフィアンセはこの四郎よ。この旅が終わったら結婚式を挙げることになってるの」
「そんな話は聞いてないわよ!」
「小百合は黙ってて」
「それがどうかしたの? あなたがプリンセスであろうが関係ないの。四郎君の結婚相手はこの河崎菫なんだから」
「話を理解できないの? 私はこの国のプリンセスよ。国を挙げて結婚式の準備が進められてるわ。あなたの入り込む余地はもうないの」
「その話も聞いてないわよ!」
「小百合は黙ってて」
「ふん。大切なのは四郎君の気持ちよ。婚約者が現れた今でもあなたを選ぶかしら? 四郎君、私とピピプル何やら、どちらを選ぶの?」
「え! それは・・・・ところで菫ちゃん。どうやってこっちの世界に来たんだ?」
誤魔化したわね。
「どうせ、マリーが何かしでかしたんでしょ」
「あのね小百合。私は彼女を全く知らないの。どこをどうしたら私がこの子をこちらの世界に連れてくるに繋がるわけ?」
「それでどうやってここに来たんだ?」
四郎は『どちらを選ぶ?』に話が戻らないよう必死ね。
「私が久しぶりに生まれ故郷に帰ることができたの。そしたら懐かしくなって四郎君の家に行ってみたの」
「そうなんだ」
「ところが四郎君の家は留守らしくて誰もいなかったわ。でも鍵がかかってないみたいだったから四郎君の部屋に行ってみると」
「黙って入ったんかい!」
私がツッコむと、
「菫ちゃんてこんな感じの子だよ」
と芽依が当然のように答えた。
「四郎君の部屋には見たこともない輪があって、入ってみたらここに来たのよ」
「もしかしてワープゾーンを片付けてなかったのか?」
「あ!」
「結局マリーが原因なんじゃない!」
今回ほど小百合のツッコミが正しいと思ったことはなかった。
「長い旅なんだから贅沢してたらすぐにお金がなくなるでしょ」
「何で当然のようにあなたがいるのよ!」
もちろんツッコミを入れたのは小百合である。
「大切な四郎君を危険に晒すわけにはいかないわ。当分あなたたちに同行させてもらうことにしたの」
「危険て何よ!」
「若い女性と旅させるなんて危険に決まってるじゃない」
「あなたも一緒に旅をしていいなんて許可した覚えはないわよ!」
あのう、小百合? これって私が言うべき台詞じゃなくて?
「とにかく、私はあなたと旅するつもりはないから」
「そう、わかったわ。四郎君そう言うことだから私と一緒に日本に帰りましょう」
「ちょっと、どうして四郎君を連れて行くのよ!」
「私は四郎君の婚約者なんだから当然でしょ」
「だから幼児期の約束なんてないのも同然だと言ってるでしょ!」
「あら、付き合いの短いあなたに言われたくないわね。私はあなたと違って付き合いの歴史が違うのよ。あなたはたかだか三年。私は九年。約三倍なの。わかります?」
「それがどうしたって言うの?」
「芽依は十二年だよ」
「接している時間が長ければ長いほど親しくなるのは当たり前じゃない」
「恋愛意識が何年続いているかの方が大切なんじゃなくて?」
「だから芽依は・・・・」
「「妹は黙ってて!」」
「ダメだね、これは」
芽依はため息をついた。私は芽依の態度があまりに落ち着いているのを不思議に思い聞いてみる。
「四郎の婚約者が出てきたっていうのに、えらく落ち着いてるわね」
「菫ちゃんは大丈夫だよ」
「どういうこと?」
「お兄ちゃんは菫ちゃんのことは好きじゃないもん」
「それは本当なの?」
「本当だよ」
「でも婚約までしたって言ってるじゃない」
「あれは菫ちゃんが一方的にさせんだよ」
「そうなの。じゃあ、安心なのね」
「でもー」
「な、何よ。気になるじゃない。言いなさいよ」
「菫ちゃんてもの凄い強引な性格なんだよ」
「確かにそんな感じね」
「お兄ちゃん、優柔不断だから押し切られる可能性もあるかもだよ」
「それって一大事じゃない」
「まあまあ、菫ちゃんも小百合もこの辺で言い合うのは止めないか? ここはホテルのロビーだし」
今まで沈黙を保っていた四郎が話し始めた。沈黙する気持ちもわかるわ。
「この人達とは別れて私と二人で世直し旅に行こう」
「何であなたが世直しをするのよ!」
私は思わずツッコんでしまった。まあ、当然の流れよね。
「紹介が遅れたわ。私の名前はピピプル・クレタ・ビチャ・ウン○。この国のプリンセス、つまり次期国王よ」
「ふーん」
「何よ、その反応は! 少しは驚きなさいよ」
「私は日本人なの。この国の偉いさんなんて興味ないわ」
初めてピピプル家の名前が通じない新種が発見された。
「驚きついでにもう一つ教えてあげるわ」
「別に驚いてないわ」
「私のフィアンセはこの四郎よ。この旅が終わったら結婚式を挙げることになってるの」
「そんな話は聞いてないわよ!」
「小百合は黙ってて」
「それがどうかしたの? あなたがプリンセスであろうが関係ないの。四郎君の結婚相手はこの河崎菫なんだから」
「話を理解できないの? 私はこの国のプリンセスよ。国を挙げて結婚式の準備が進められてるわ。あなたの入り込む余地はもうないの」
「その話も聞いてないわよ!」
「小百合は黙ってて」
「ふん。大切なのは四郎君の気持ちよ。婚約者が現れた今でもあなたを選ぶかしら? 四郎君、私とピピプル何やら、どちらを選ぶの?」
「え! それは・・・・ところで菫ちゃん。どうやってこっちの世界に来たんだ?」
誤魔化したわね。
「どうせ、マリーが何かしでかしたんでしょ」
「あのね小百合。私は彼女を全く知らないの。どこをどうしたら私がこの子をこちらの世界に連れてくるに繋がるわけ?」
「それでどうやってここに来たんだ?」
四郎は『どちらを選ぶ?』に話が戻らないよう必死ね。
「私が久しぶりに生まれ故郷に帰ることができたの。そしたら懐かしくなって四郎君の家に行ってみたの」
「そうなんだ」
「ところが四郎君の家は留守らしくて誰もいなかったわ。でも鍵がかかってないみたいだったから四郎君の部屋に行ってみると」
「黙って入ったんかい!」
私がツッコむと、
「菫ちゃんてこんな感じの子だよ」
と芽依が当然のように答えた。
「四郎君の部屋には見たこともない輪があって、入ってみたらここに来たのよ」
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「あ!」
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