控えなさい! 私はマリーよ!

小松広和

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第六十一話 マリーの世直し論

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 私達は颯爽とこの地方を治める領主の屋敷に乗り込んだ。
「ちょっと、あなた達正気なの?」
「これが私達の仕事よ」
慌てる菫にマリーが落ち着いた口調で言った。

 するとお約束通り領主の家来が私達の行く手を遮ってくる。
「お前ら何者だ!」
「ちょっと領主に用があるの。そこをお退きなさい」
「怪しい奴等め。取り押さえろ!」
「もう仕方ないわね。懲らしめておやりなさい」

 四郎は慌てて鞄を開ける。
「王家の紋章は一暴れした後よ! お約束のパターンは守りなさい!」
一斉に攻撃を仕掛けてくる家来達。
「私に逆らおうなんて十年早くてよ。食らいなさい土鍋攻撃!」
苦衷から大量土鍋が降り注ぐ。
「芽依も負けてないよ。闇に導かれし暗黒の刃よ。この者たちを成敗して!」

「え、え、え、え? 何? 何が始まったの?」
菫は慌てて四郎の後ろに隠れた。ちなみに四郎はなるべく敵の目につかない隅っこに身を潜めていた。

「もうこのくらいでいいわ。四郎、例の物を見せてあげなさい」
それを聞くと四郎は慌てて中央へと走り、鞄から王家の紋章を取り出すと、
「えーい、控えおろう! このお方をどなたと心得る。天下のプリンセス、ピピプル・クレタ・ビチャ・ウ○チ様なるぞ。頭が高い。控えおろう!」
「ははー」

「あなた達いつもこんなことしてるの?」
「そうよ。ちょっとは私の身分の高さが実感できたかしら?」
「でも、何で最初から名乗らないのよ」
「四郎と同じ発想ね!」
「だってそうじゃない。時間の無駄よ。ねえ芽依。あなたもそう思わない?」
「見せ場だよ。一暴れした方が盛り上がるからだよ」
「何の見せ場よ。放送してるわけじゃなし」
「それはそうだけど‥‥」

「小百合は私の意見に賛成でしょ?」
「無駄に暴れてるわけじゃないと思うわ」
「どういう意味よ」
「一暴れして『こいつらには勝てん』と思わせた方が王家の紋章を見せたときに効果が高くなるからじゃないかしら」
「そ、その通りよ。さすが小百合わかってるじゃない」
菫は横目でマリーを見ると、
「絶対に思ってなかったでしょう」
と冷ややかな目をした。

「でも、よくわからないのは屋敷に乗り込む理由よ」
「何が言いたいの?」
「今回は道に大きな岩が転がっていて通りにくかったってことでしょう。そんなのわざわざ乗り込んで暴れてすることでもないじゃない」
「こういうことは厳しく言っておくに限るわ」
「だけど岩が落ちたばかりで気付かなかっただけかもしれないし」
「いつ王家に見られてるかわからないと思わせるのが大切なの。私のやり方にケチをつけないでほしいわ」
「そんなものかしら」

 そして私達はたんまりとお詫びの品をもらって領主の屋敷を出るのであった。
『これね。これが目的なのね。次期女王侮れないわ』
としみじみと思う菫であった。
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