控えなさい! 私はマリーよ!

小松広和

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第七十五話 アリア

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 チュンチュン。
「あーよく寝た」
私は大きく伸びをするとベッドから降りた。

 どうやら私が一番早起きのようね。
「あら、おはようマリー」
ゲッ! 小百合ってもう起きてたの?
「えらく早起きね」
「私は一時間前に起きて、もう朝の散歩を済ませたわよ」
「何よ。朝が早いからって自慢にはならないんだからね」

 私は部屋を見回すと芽依が寝ているのを発見した。
「芽依は寝坊ね」
「仕方ないわよ。まだ小さいんだし」
「まあ、小学生だからね」

 何気ない平和な雰囲気が流れる中、突然四郎の叫び声が聞こえてくる。
「うわー!」
「どうしたの四郎!?」
「どうして菫ちゃんが俺の横で寝てるの?」
しまった! 昨日はいろいろなことがあってトラップを仕掛けるのを忘れてたわ。

「あら四郎君、おはよう」
「おはようじゃないよ。いつからここにいるの?」
「二時くらいかな?」
「ええー! 今七時だから五時間も前から?」
「四郎! まさか変なことしてないでしょうね!」
私はドスのきいた大きな声で聞いた。
「今気付いたんだ。何もできないよ」
「本当でしょうね!?」

「四郎君てば、夜中に何度も抱きついてきたくせに」
「何ですってー!」
部屋中に雷が鳴り四郎めがけて稲妻が落ちる。
「絶対・・・・嘘・・・・だから・・・・」
黒焦げになった四郎がか細い声で言う。

「どうなさったんですか?」
その時一人のメイドが飛び込んできた。
「あなたは誰なの?」
「私はプリンセス様ご一行のメイド兼ボディーガードをさせていただいておりますアリアと申します」
「メイドをやりながらボディーガードもするの?」
「はい、私は魔術検定一級を持っておりますので」

「因みにマリーは何級なの?」
小百合が嫌みな質問をする。
「・・・・十二級よ」
「ふーん」
小百合と菫がやっぱりと言わんばかりの蔑んだ目で私を見る。何よ、あなた達の魔力はもっと低いんだから。

「アリア。四郎の部屋にこの女が入れないようにして。危なっかしくて困るわ」
「はい、かしこまりました」
「そして四郎。二度と私以外の女性に触れないように」
「だから何もしてないって」
「四郎君、酷いわ。責任取ってくれる約束じゃない」
「何ですって!!」
「だから適当なことを言わないで!」

「お兄ちゃんは嘘をついてないよ。嘘ついてるのは菫ちゃんの方だよ」
いつの間にか起きてきた芽依が言った。
「それは本当?」
「本当だよ。芽依が二人の心を読んだから間違えないよ」

「芽依様は読心術が使えるのですか?」
「そうだよ。最近できるようになったのだよ」
「ちょっと失礼します」
アリアはそう言うと芽依の額に手をかざして目を閉じた。

「これは凄いです。まだまだ不安定ながら魔術検定三級は取得できそうな魔力を感じます」
「やったー!」
「ちょっと、芽依にそんな魔力があるわけないじゃない。いい加減なことを言わないでほしいわ」
「いえ、本当でございます」

「じゃあ芽依、この果物を魔力で砕いてみなさいよ」
「そんなのできないよ」
「そうでしょうね。こうするのよ。よく見ておきなさい」

 私は手に持った果物を宙に浮かせると集中しながら呪文を唱えた。すると果物は徐々に歪み始め縦に一本の亀裂が入った。
「どう? これが黒魔術よ。ちょっとは見直したかしら?」
「わかった。芽依もやってみるよ」

 芽依は目を閉じ宙に浮いた果物に、
「えい!」
と気合いを入れると見事に跡形もなく粉砕した。
「い!?」
「これでいいの?」
・・・・・・・・・・。

「これが十二級と三級の違いかぁ」
菫が嫌みな笑みで私を見ている。もう何でこうなるわけ?  まあ、いいわ。こういうこともあるわよ。それよりアリアがいれば四郎の寝室に菫が入れなくなるんだから。こちらの方が大きいわよ。

 そしてその夜のこと。
「四郎。ちょっとこの新しい服ってどう? 似合うかしら?」
バシン!
「何? 四郎の部屋に入ろうとしたら弾かれたわ」
まさか! 私も四郎の部屋に入れないわけ? 
 これこそアリアがくそ真面目だと言うことが発覚した瞬間なのであった。
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