控えなさい! 私はマリーよ!

小松広和

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第九十三話 様子見

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 小百合達三人はマリーに話しかけていた。もちろん企みを持ってである。
「マリー。私、思うんだけど結婚前の婚約者を牢屋に入れるってどうなの?」
ここは弁の立つ小百合が話すのが良いだろう。
「仕方ないじゃはない。逃亡するかもしれないし」
「じゃあ、結婚してからも牢屋に入れておくつもり?」
「そ、そんなことはしないわよ」
「結婚してから出せるんだったら今すぐ牢屋からは出しても同じでしょ」
「それはそうだけど・・・・」
「結婚相手を牢屋に入れておくなんて人としてすべき行為じゃないわ」
「わかってるわよ」
「だったら今すぐにでも四郎君を牢屋から出すべきじゃなくて」

 今日の小百合はやけに絡んでくるわね。どうしたのかしら?
「結婚前と言ったら人生で一番ハッピーな時でしょ。それを牢屋での暮らしているのよ。それでいいわけ?」
「牢屋と言っても広いし、最高級のソファーや家具もあるわ」
「いくらいい家具をそろえても牢屋は牢屋よ。問題なのは気持ちじゃなくて? 将来を誓い合う人に牢屋に入れられているなんて、これ以上の不幸はないわ」
「それもそうね」
『よっしゃー!』
小百合は思わずガッツポーズをした。

「やっぱりやめた」
「どうしてよ!」
「何か怪しいわ」
「何が怪しいのよ!?」
突然弁が立たない菫が叫ぶ。
「どうして急に牢屋が可哀想なんて言い出すのよ?」
「牢屋に入ってたら四郎君を連れて逃げられないじゃない!」
「菫のバカ!!!」
「そういうこと」
マリーが深く頷く。

「うまく行きかけたのに、どうしてダメだったのかな?」
「菫がいけないんでしょう!!」
「何で?」
「もういいわ。次の作戦を考えましょう。でも困ったわね」
小百合は部屋をうろつくながら言った。小百合は考え事をする時に歩き回る癖がある。

「四郎君が牢屋から出るとしたら衣装合わせの時よね」
小百合が小さく頷きながら独り言のように言う。
「でも、その時って城の人が一緒にいるよ」
と芽依が言うと、
「そんなのやっつけちゃえばいいのよ」
菫が何も考えずに答える。

「わかってるの? この城の人達は高度な魔法が使えるのよ。勝てると思う?」
「何とかなるんじゃない? わかんないけど」
「でも、もし捕まっちゃったら芽依達も牢屋入りだよ」
「それは嫌!」
菫が即答した。

 衣装合わせは毎日のように行われた。しかし、ここでまた大きな問題が。
「どうして衣装合わせを牢屋の中でやるのよ!」
「どう? 私のアイデア見事でしょう?」
「マリー!」
マリーが腕を組んでニヤリと笑いながら言った。

「いつからそこにいたのよ?」
「かなり前ね。あなた達の悪巧みを知ってしまった以上放っておけないでしょ?」
「わ、悪巧みって・・・・」
小百合が俯きながら小さな声で言った。
「あなた達は私と仲良くしてくれたから何もしないけど本当だったら牢屋に入れておくところよ」
「入れれるもんなら入れてみなさ・・・・」
小百合は慌てて菫の口を塞いだ。

「強がるのも後十日よ。全国民が私と四郎の結婚を祝ってくれるわ」
「そんなこと絶対にさせないから!」
今度は芽依が小百合の口を塞いだ。
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