控えなさい! 私はマリーよ!

小松広和

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第九十五話 万事休す

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「菫が捕まったからもう私達二人よ。これはピンチよね」
「誰かさんのせいだよね」
「悩んでいても仕方ないわ。次の作戦を考えましょ」
小百合は腕組みしながら部屋をゆっくりと歩き出した。

「そうだわ。芽依ちゃんが目出し帽を被ってお供の人を引きつけてる隙に私が四郎君を助け出すってのはどう?」
「絶対やらないからね!」
「冗談よ。でも本当に困ったわね」
小百合の歩く速度が少し速くなった。

「ここは芽依にお任せだよ」
「何かいい考えがあるの?」
「もちろんだよ。要するに牢屋の鍵を手に入れたらいいんだよね」
「それはそうだけど」
「だったら簡単だよ」
「どういうこと? それができたら苦労しないと思うけど」

「では今日のゲストを紹介します」
そう言うと芽依は扉に歩いて行った。
「ホワイティーさんです」
「えー!」
「お話は聞かせていただきました」
「秘密会議に城の使用人を連れてきてどうするのよ!」
「大丈夫だよ。ホワイティーさんは味方だから」
「どういうこと?」

 小百合は疑いの眼差しでホワイティーを見た。
「本当です」
「どうして? あなたはマリーの忠実なメイドじゃなかったの?」
「はい、私はマリー様を慕っております」
「じゃあ、どうして結婚の邪魔をする私達の味方をするわけ?」
「マリー様を心からお慕い申し上げる故に、このまま強引に結婚なされては決して幸せにはなれないと思っております」
「なるほどそういうことね」

 ホワイティーは鍵の束を差し出して言った。
「これは牢屋の合鍵でございます。この鍵がなくなっていることが発覚すると大騒ぎになります。なるべく早く四郎様を救出された方がいいかと存じます」
「それもそうね。じゃあ、早速作戦開始よ」

 小百合は意気揚々と部屋を出ようとして止まった。
「でも、牢屋って見張りがいるのよね?」
「はいいます。でも深夜一時からは見張りがいなくなりますので、その時間帯に行くのがいいかと思います」
「牢屋なのに見張りがいない時間があるの?」
「なにしろ平和な国ですので牢屋を使ったのも十年ぶりですから」
「芽依ちゃん、今夜の一時に実行するわよ!」
「オーケーだよ」

 深夜一時過ぎ小百合と芽依は地下の牢屋に向かった。
「信じられないけど本当に見張りがないわ」
「小百合さん、芽依まだ眠いよ」
「お兄さんを助けたいでしょ? 我慢して。四郎君を助けたらそのままこの城から脱出よ」
「うん、わかった」

 ほぼ真っ暗な中を歩き四郎の入っている牢へと向かう。
「確かここだったわよね」
鍵の束からこの牢屋にあった鍵を見つけるのは困難な作業である。仕方なくすべての鍵を挿してみることにした。

 ガチャ!
「これだわ!」
「やったー!」
「四郎君、速く牢屋から出て!」」
「助けに来てくれたの!」
「え? 菫? 牢屋を間違えたわ」
ガチャ。
「どうしてまた鍵を閉めるのよ!!」

「暗くて誰が入ってる牢屋なのかわからないわね」
「明かりをどうぞ」
「ありがとう・・・・・・・・ってマリー!」
「こんな夜中に何をしているのから?」

 ウィーンウィーン!
「え? 何?」
「センサーよ」
「なんで異世界にこんなハイテク機器があるのよ!」

「ここまで来たら仕方ないわね。この者達を捕らて牢に入れなさい」
「はっ!」
集まってきた家来達が小百合と芽依を捕まえた。

「捕まっちゃったね」
「これで万事休すかしら」
小百合は大きくため息をついた。
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