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しおりを挟む見上げて瞳を閉じた凛斗の頬を愁の手のひらが包んだ。普段からクリームでも塗って手入れをしているのだろうか。男のくせにゴワゴワしていなくて柔らかい。手の繊細な感触を頬で感じ取りながら愁の唇をじっと待った。
「凛斗、その顔は反則……」
何かを堪えるような苦しげな声が耳に届いた後、柔らかな温もりが唇にそっと触れた。何度か啄ばみ、唇を深く重ねると唾液と一緒に舌が入り込んできた。ゆっくりとした動きで舌を絡めてられて徐々に身体の力が抜けていく。
「……おい、長い」
「短いくらいですよ。こんなんじゃあ全然足りない」
「ン……でも俺……っ」
もう立ってられない。
そう訴えようとしても唇を塞がれてしまった。愁にしがみついていた手も次第に力が抜けていき、とうとうガクンと膝が折れた。絨毯の上に座り込む前に愁が抱きとめ、そのまま抱っこされた。
「軽……」
「うるせっ」
ゆっくりとベッドに降ろされ、愁が覆い被さってきたかと思ったらすぐにキスが再開された。深く溶け合うようなキスの合間にうっすら目を開けてみると、愁の熱があるような視線と絡んだ。もしかして欲情してる?軽いキスだけだと思っていたのに、その先もするのか。部屋に入ってすぐ求めてくるなんて、こいつやっぱり手が早い。
(まぁ、俺は気持ちいいから別にいいけど)
凛斗が誘うように湿った声を漏らすと、愁の手がTシャツの裾を捲り上げた。露わになった胸元に手を滑らすと指先でピンク色の小さな粒を摘んだ。
「……ふぁっ!」
油断していた身体はビクッと揺れ、艶のある声が部屋に響いた。てっきり下半身を触ってくると思っていたので、過剰に反応してしまった。
「ちょっ、何でそんなトコ……。俺は女じゃねーぞ」
「男同士でも触るみたいですよ。ほら、勃ってきた。感じてますよね?」
「あっ……っ!ふ…ぅ」
キュッとまた摘まれて勝手に声が漏れた。
胸を触られて声を上げるなんて女みたいで恥ずかしい。赤くなった顔を腕で隠しながら、刺激される度に出そうになる声を喉の奥に飲み込んだ。
「家には僕たち二人だけだから声を我慢する必要ないですよ。もっと楽にして」
愁の母親は挨拶を済ませた後すぐに出かけて行った。その際、今夜は仕事の打ち合わせで父親共々遅くなると言っていたからしばらくは二人きりだ。凛斗が心置き無く乱れても愁以外に聞かれる心配はない。しかしいつもと違う愁の攻め方に凛斗は若干緊張していた。
男同士でも胸を触るなんて、これじゃあまるで普通の男女とやってる事は変わらないじゃないか。
などと忙しく考えてる間にも、愁は凛斗の耳を食んで首筋から胸元に向かって唇を落としていった。チュッチュとわざとらしく音を立てた唇はペロンと凛斗の小さな胸の突起を舐めた。
「んっ!は…あっ……」
「凛斗……。もっと気持ちよくなって」
「あっ…んっ!」
チュッと吸われ舌先で転がすように嬲られビクビクと身体が跳ねる。じわじわと身体の奥が疼いて熱を上げていく。
(うわ……ヤバいくらい気持ちいい……。胸ってこんな感じるのか?)
たくし上げていたTシャツを脱がされ、凛斗の色白な上半身が露わになった。凛斗の上に跨った愁はうっとりとその肌を眺め、手のひらの熱を馴染ませるように優しく撫でた。胸元や脇腹、お腹周りなど素肌を堪能しながら指先が時々乳首をかすめていく。
はぁ、と眉根を寄せて熱い息を逃す。
やがて愁は凛斗のジーンズを脱がした。愁にされるがままになっていた凛斗はもうほぼ裸だ。凛斗の衣類をせっせと脱がせた愁本人はこの部屋に入ってまだ一枚も脱いでない。
昨日愁の手であっけなく果てた凛斗自身はその快楽を思い出し、早い段階から下着を押し上げていた。わざとなのか今日はそこには指一本触れてこない。焦らされてるのを感じ取りながら、腰骨にかかった布地に指をかけた愁の手を掴んで止めた。そいつを外されると凛斗の欲望だけ露わになってなんだか不公平だ。
「脱ぐの俺だけかよ」
拗ねたような言い方をすると、愁は瞬いたあと小さく笑った。
「凛斗があまりに色っぽかったから夢中になってました」
愁は凛斗の上に跨ったままガバッとシャツとインナーを脱いで放り投げた。その男らしい脱ぎ方と、現れた肉体に凛斗は目が釘付けになった。
愁を初めて見た時に目を奪われた逞しい腕や胸板。服の上からでも魅力的だったその上半身は、脱いだらさらに凛斗を魅了させた。前に凛斗の家の風呂場で見た時は一瞬だけだったが、今度は遠慮なく隅々までじっくりと眺めた。硬くて弾力がありそうな胸板とうっすら割れた腹筋。肩や二の腕も逞しさを演出するように程よく筋肉がついている。
「おまえいい身体してるよな。なんかやってんの?」
「いい身体かはわかりませんが高校まで水泳をしてました」
「へぇ、水泳か」
どうりで引き締まった身体だと思った。
上半身を起こし、食い入るようにジロジロ見ていると凛斗の視線に気づいた愁は不思議そうに訊ねてきた。
「ずいぶん熱心に見てますね。もしかして凛斗は男に興味があった?」
「ね、ねぇよ!男とこんな事するのも初めてだからな!」
「初めて、とかそそられる言葉ですよね」
真っ赤になって狼狽える凛斗に、愁は嬉しそうに顔を緩めて優しくキスをして愛撫を再開した。覆い被さった身体はさっきよりも密着し、素肌が直接触れた。人肌は久しぶりで胸が高鳴った。
流れるように下着をずらされ、高ぶった自身を撫でられ目眩がしそうなほどクラクラする。
(この先俺はどうすればいいんだ?俺からも愁の身体を触った方がいいのか?それともこのまま昨日みたいに身を任せておけばいい?でもあの時は下半身だけだったし……)
まさか昨日の今日で愁との関係がここまで進むとは思ってもおらず、昨日のうちに少しでも男とのやり方をネットで調べておくべきだったと後悔した。
「あ、あのさ……。今更だけど俺、こーゆー男同士のやつ、わかんないんだけど……」
俺もおまえに何かした方がいい?
と息がかかるほど近い端整な顔に小さく問いかけると、愁は照れたような表情を隠すように凛斗の肩口に顔を埋めた。そして大きなため息をひとつ。
わけがわからないまま進められるより、白状して教えられながら身を任せた方が気が楽かもしれないと素直に問いかけたのだが、何か変な事を口走ってしまったのだろうか。
「凛斗はさっきから煽るのが上手いね。凛斗が僕に触りたいというならいくらでも触れてください。でも今日は僕にリードさせて?今まで我慢していた分抑えが効かなくて……。いきなり最後までしないから安心して奉仕されてください」
「最後って……?」
「ここに僕のを……」
細い腰に置かれていた愁の手は臀部の丸みをなぞり、ある箇所にたどり着くと指をクッと押し当てた。
「そこって……」
言葉ではっきり説明がなかったが、何をどうするかは読み取れた。
「男同士でも挿れたりするのか……?」
「まあ、人それぞれみたいですけど、僕も男性は凛斗が初めてだから、お互い慣れてからがいいと勝手に思ってましたが……するの嫌になりました?」
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