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3女王、風邪をひく
病気の時は気弱になる
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「どうかいたしましたか、陛下。妙な顔をなさって」
ティルダの紙を結い上げている小間使いのミルヤミが、ふと手を止めた。
問われ、僅かにためらったものの、ティルダは素直に答えることにした。
「なんだかちょっと頭が痛いかも……」
ミルヤミは櫛を置くとティルダの額に手をあてた。
「少し……熱があるようですね。気づかずに申し訳ありませんでした」
「ううん、私がちゃんと体調管理できてなかったのが悪いんだから。……ミルヤミの手、冷たくて気持ちいいわね」
意識すれば、なんだか喉にもひりひりと違和感がある。これは――
「風邪の初期症状ですね」
侍医はあっさりと診断を下した。
「ああ、やっぱり……」
自覚症状とも一致した以上、休みをとらざるをえない。
侍従のヨニや宮廷執事、侍女頭、キッチンメイド、ミルヤミ、若い医師見習い多くの人間に見守られながらの診断とあっては、逃げられそうにない。仕事が滞ることを思うと気が重いが、
「今日は休むわ」
ティルダは素直に諦めた。
「ったりまえだ」
呆れ顔のヨニにびしっと額を指で弾かれる。
「っ!」
なんて腹立たしい。
しかし、本当は心配されていることくらい理解はしている。だからティルダは抗議を飲みこんだ。女性陣が食事の内容や最近の生活習慣について、ヨニと宮廷執事が予定について小声で話し合っているのを聞きつつ、処方された薬を流し込む。
「うぅ、苦い……」
「何言ってんだか。薬飲んだらちゃんと大人しく寝てろよ、陛下。寝て汗かくしかないんだから」
ヨニがびしりとティルダを指して言った。
まるで子供に言い聞かせるような口ぶりだ。
「む……」
(寛容と忍耐、寛容と忍耐よ……。体調管理のなっていない自分が悪いのだから我慢よ、我慢)
薬を飲んだら、あとは大人しく布団に潜るしかない。
それでは、と一同が部屋から出ていくのをティルダはベッドから見送った。無論、ドアのすぐ外には誰かが控えているだろうから、呼べばすぐに応えてはくれるだろう。
「はあ……」
天井の模様を見つめながら、ティルダは繰り越される今日の予定を脳内でぼんやりとなぞった。議会の方に商人組合から報告が来る予定だったけど、それはあとで書類を読めばいい。急ぎで決裁しなければならないものは無かった筈だ。
まったく、一日の予定が狂うのは嫌なことだ。後に影響が出ない内に早く治したいが、一旦体調を崩すとどうにも長引いてしまう性質なので不安がある。普段は健康体そのものなのに、昔からそうだった。
「暇だわ……」
眠気はちっとも訪れない。
ちょっとした陳情書に目を通すくらいなら構わないだろうか。このままだらだらしているなんて、時間の浪費も甚だしいったらない。
書類を取ってきて、といつもの癖で人を呼ぼうとして、ティルダは慌てて声を呑みこんだ。ベッドで仕事なんて、見つかれば小言どころの騒ぎではない。
「だれに頼めば書類を持ってきてもらえるかしら……」
(ヨニは駄目だし、侍女も怖いし、その辺の衛兵を脅して――)
ティルダが真剣に考え込んでいると、
「陛下、お見舞いの方がいらっしゃいましたが、どうしましょう」
ドアの外から、医師見習いの困ったような声。控えていたのは、彼だったのか。ヨニは議会の方や、今日の面会予定の調整にあちこちに駆け回っているのだろう。気の弱そうな見習いだったから、押し通ることができたかもしれない……惜しい事をした。
気を取り直し、ティルダは尋ね返した。
「どなたがいらしたの?」
「アレクシス・トーバルス様です」
伯父のお見舞いなら対応しないわけにはいかない。ただ、寝巻姿の上に何か一枚羽織りたいところだ。
「ちょっと待ってもらって」
言ったが、
「入るよ、ティルダ」
制止は清々しく無かったことにされ、ティルダはがくりと肩を落とした。
「伯父様……」
抗議の声を上げようとして、どうやら思っていたより声が出ていなかったのだと気がつく。アレクシスがティルダを見て安堵を浮かべたのだ。ああ、そんなには酷くなくて良かった、というように。
反発心は瞬時に折れた。
「ちゃんと休みなさいって僕、言ったよね」
「……はい、ごめんなさい伯父様」
無理をしたつもりはなかったのだけど、言い訳は許してもらえそうにない。父に似た顔に睨まれて、なんだか子供に戻ったような気分だ。それでも気になったことをティルダは尋ねた。
「伯父様……議会の方はどうしたのです?」
「抜けて来たに決まっているじゃない」
堂々と言われては、ぐうの音も出ない。
「あとでお見舞いを届けさせるよ」
(どうせなら、お見舞いに報告書を持ってきてもらいたかったわ……)
顔を見に来ただけなのか、言うだけ言ってアレクシスは帰って行った。
「はあ……。なんだか消耗したわ……」
しかし翌日、効能が不明なものも含め、大量の健康食品を送りつけられてさらに消耗する羽目になるのをティルダはまだ知らない。
ふと思いつき、ティルダはベッドを抜けて姿見の前に立った。
「朝より顔色悪いわね……」
これではお見舞いに来た人に、いたずらに心配されてしまう。軽く化粧をして、髪を整え、枕元に上着を用意してから布団に戻った。
(念の為、ね)
どれだけ経っただろう、まどろみ始めたところでティルダは鐘の音に起こされた。クッカサーリの中央、聖神教会から鳴り響く昼の鐘だ。天に届くようにと祈りの込められた鐘の音は、聞き慣れているのに普段より優しく聴こえる。まるで……
小さくドアを叩く音に思索は中断された。
「失礼します、陛下。おや、起こしてしまいましたか?」
と、申し訳なさそうな顔の侍医。
「いいえ平気よ。寝つけなくて。」
「食欲はどうです? 昼なんですが、何か食べられそうですか?」
「そうね……お腹が減ったかしらね……」
本当は、何か食べようという気は湧いてこない。
でも、これ以上は気遣われたくない。
「そうですか、では――」
「粥を作ってきましたので、どうぞお食べになって下さい。食べるものも食べずには、よくなりませんぞ、陛下。ささ、どうぞ」
侍医の背後からクッカサーリ議員の一人、街で食堂を営んでいるニコ・メリカントが姿を現した。おそらく王宮の厨房で作ったのだろう、湯気の立ち上る粥を手にしている。
入室を許可する前に侵入してくることはもういい。予想がついてはいたことだ。
ただ、
「粥なんぞ、元気になりゃしませんよ。人はパンで作られるものですよ。陛下」
「お腹に優しいお粥のほうが正解だと思いますけど、喉に優しい方がもっといいのじゃありません?」
――予想していたより人数が多い。
ニコの後ろから、パンを持ったミカエル・ルオデと、さらに生姜の蜂蜜漬けを持ったキーラ・ユーティライネンの二人も続いて現れた。
「議会はどうしたのよ……貴方たち」
「わたしたち選抜隊なんですのよ!」
きらきらした笑顔で言われても、なんだそれ。コイントスで勝ち残った三人だとか、そんなことを言っているのを聞き流しながらティルダは思った。
(最終的に全員やって来たりしないでしょうね……)
なんだか頭がガンガンしてきた。熱が上がってきたのかもしれない。
「さ、陛下、粥をどうぞ」
「いえいえ、パンの方が」
正直どちらもいらない。
「やっぱり、ちょっと食欲がなくて、今はいらないわ」
ティルダがそう言った瞬間、侍医が「ああー」と大仰な溜息を吐いた。
なぜにそこまで珍妙な顔を? 理由はすぐにわかった――いや、ドアの陰から聞えてきた。
「やっぱり林檎のすりおろしですかねぇ」
「今の季節は新鮮な林檎は手に入らないじゃろうが。おお、痛ましいのう」
「へいかあああ、何も食べられないほどお加減が悪いなんて……僕が変わって差し上げたい!」
お調子者議員三人衆の声だ。他にも人の気配がするような気がする。
「まさか……本当に全員で来たのじゃないでしょうね?」
また議会をすっぽかして。
「いやですわ陛下、選抜隊って言ったじゃないですか」
微笑むキーラをティルダはじっと見つめた。
「直接顔を見るのが三人で残りは廊下に居るとか……?」
なぜ、そこで目を逸らす……!?
ああ、なんだか、軽く眩暈がしてきた。
議会を放り出して見舞いにくるなんて、一体どういうことだ――と声を荒げようとしてティルダは思い出した。サプライズ誕生日会の時のことを。
「……」
心配をかけたのは自分だから仕方ない。そう、胸の中で繰り返す。仕方ないったら仕方ない。ここまで来たら、せめてあの人は来ないようにと願うだけだ。
と、ティルダが聖神に祈っていたら、
「陛下、お加減はいかがですか?」
ひょこりと、聖神教会の総司教バレンティン・アグリコラまで顔を出した。
「な――」
「なにしに来てるんですかー! 猊下!!」
ティルダの内心を代弁するようなヨニの悲鳴が辺りに轟く。
「ヨニったら……みっともない声あげないでちょうだい」
叫びには同意するけど、王の侍従として品格を忘れないでもらいたいものだ。
随分遠くから叫んだらしく、珍しく足音をたてながら廊下を走ってきたヨニが顔を見せるまでにやや時間がかかった。というのに、
「陛下、呑気に何言ってんだよ!! ちゃんと寝てろって言っただろうが!
ティルダの文句は聴こえていたらしい。
「何度も言わなくてもわかっているわよ……」
「みなさんもみなさんです! こうやってお見舞いに押し掛けるから、陛下がなかなか休まらないんでしょうが!
それに猊下は風邪が移ったらどうすんですか! って言いたいわけですよ!」
後半に関してはまったく通り、そんなことになったら一大事だ。
「いや、しかしヨニ殿。風邪を引いた時の心細さには、人の温かさこそが何よりの薬ではありませんか」
「だまらっしゃい」
大陸中の聖神教会の頂点に立つ総司教を、笑顔で一刀両断するヨニ。議員たちが冷や汗を浮かべている。
「ヨニ殿は陛下のことになると恐ろしい……」
「あ、あれは怒ってますなあ、笑顔なのに」
「珍しいですわね」
確かに珍しい。
――しかし、思い出してみると、いつもティルダが寝込む時にはいつも怒っている覚えがある。ちゃんと寝てろだの、大人しくしろだの、なんだのとがみがみ煩く。
「ほら、陛下はこれ飲んで」
ずいっとヨニに押し付けられたのは、赤ワインにハーブやスパイスと砂糖を加えて作ったホットワインだ。甘めのレシピはティルダの父直伝、ヨニの手作りに違いない。
(風邪の時はこれに限るわね……)
ゆっくり飲み干すと、体に温かさが広がっていく。安心してほっと息を吐いたら、ティルダはそのまま軽く咳こんでしまった。
一気に緊張感が走る。
「……ほら!」
ヨニはティルダと議員たちの間に立って、
「分かったら自重して下さいよ! みなさん」
びしっとドアを指さした。
しょげ返る大の大人たちを、容赦なくヨニが追いたてていく。
「すいません、陛下。よくなったらうちの食堂に来て下さ――」
「順番に挨拶してく気じゃないでしょうね、みなさん早急に出て貰えます?」
殺気を隠さないヨニに怯えた議員たちは、後ろ髪を引かれつつもティルダの寝室から全員出ていったのであった。
残った侍医とヨニの相談の結果、夕飯のメニューはあっさりしたスープと果物になった。
(ああ、よかった)
それなら食べられそうだ。
侍医が「それでは」と去っていき、部屋に残ったのはヨニだけ。
侍医を見送ったヨニがくるりと振り向く。その顔は見事なまでの笑顔――なのに、とんでもなくおっかない。
「寝ろ、いいから黙って寝ろ。さもないと、添い寝して耳元で子守歌を唄ってやるぞ」
なんていう脅し文句なのだろう。
「――それは、嫌」
ベッドの横に椅子を寄せ、ヨニはティルダが眠るのを監視する態勢だ。
「これはもう大人しく寝るしかないわね……」
「他の選択肢を考えてた、って白状したわけだな。書類は夕飯と一緒に持ってきてやるから、ちょっと寝ろってば」
静寂を取り戻した寝室にヨニの溜息は大きく響いた。
「……わかったわよ」
重い空気の中、ともかくもティルダは瞼を閉じた。なんだか落ち着かないような、安心するような、むずむずした気分でティルダは眠りが訪れるのを待つ。
やがて、倦怠感が眠気を連れてきて――。
規則正しく寝息を立てはじめたティルダの顔を覗いて、ヨニは椅子に座り直した。
「まったく……」
昔からこうだ。体調が悪くて休むことになったのに、見舞いに応対したり隠れて仕事をしたりして、結局こじらせて治るのが遅くなる。毎度そうなのだから、最初から見張っていればよかった。
ティルダの額に手を乗せ、体温を測る。案の定、熱が上がっているようだ。
顔に張り付いた髪を除けたついでに頭を撫でたら、反応するようにティルダがムニャムニャ何事かを口走った。
「と……さま」
「なんだ陛下、どうした?」
「私、いい子にしてま……から、はやく……」
ヨニは、気づいた。これは、熱によるうわ言だと。
「とうさま……帰って、きて、下さいね……」
だって、先代のクッカサーリ王であるティルダの父親は、既に死者の谷の住人なのだから。
先王ラウリ・ユハ・リステェリは、忙しくクッカサーリ中を飛び回る仕事人だった。ティルダがなんでも自分の目で確認したがるのは親譲りといえる。
出掛けていくラウリに、ティルダは大人しく「いってらっしゃい」を言う、聞き分けの良い子供だった。甘えるのは寝言でだけ。気付いていたのは、護衛も兼ねるヨニや、生まれてからずっと世話をしていた乳母くらいのものだろう。
「う……ん」
悪い夢でも見ているのか、ティルダがうなされている。
見ているのが父親の夢だとしたら、それも仕方ないかもしれない。
ラウリが突然倒れてから、亡くなるまではあっという間のことだった。腹の中に出来物ができる病で、倒れた時には手の施しようがなかったのだ。そもそも腹の中の出来物には医者も手を出せないが、痛み止めの薬さえまったく役に立たないような状態だった。苦しみの中で逝かせる羽目になってしまったと、侍医が影で泣くのをヨニは見た。
十四歳という若さで王位を継がなければならなくなった娘をどうか頼む、とヨニがラウリから頼まれたのは彼が旅立つ少し前のことだった。
『妻をはやくに亡くしたせいでもあると思うけど、皆、ティルダを甘やかしてくれるだろう? 特に兄さんとか。ちょっと心配なんだよ。だから、ヨニ、君にはバランスをとってもらいたい』
――バランス……ですか? 皆が甘やかすなら、せめて俺は厳しくしろって? そんな必要なんてないと思います。今でさえ、自分に厳しすぎるってのに。
『……そうか、そうか。うん、じゃあ、とことん甘やかしてくれて構わないよ。砂糖漬けみたいに、べったべたにさ』
痩せた顔に浮かべられた苦笑を思い出して、ヨニは唇を噛んだ。
「上手く甘やかすのって難しいですよ……」
砂糖漬けみたいに浸ってくれればいいのに、一人で背負おうとするから、黙って先に荷物を片づけてしまうしかない。知られたら、不本意だと言って怒られるだろうけど。
でも、不器用な王を続けて死なせるのは絶対に御免だ。それはクッカサーリ中の人間が思っている。きっと。
「うぅ」
ティルダの寝顔がますますしかめられていく。
「陛下」
ヨニはティルダの耳元にそっと囁いた。
「もっと甘えてもいいんだぜ」
寝返りをうったティルダの手が、何かを求めているように何度か空をかいた。ヨニが手を差し出せば、ぎゅっと握り返される。結構な力で掴まれ、簡単には解けない。
「……早速かよ」
思わず口元に笑みが浮ぶ。随分と素直なことだ。寝ている時だけでも素直になるならいいのだろうか。それとも、起きている時に直接言うべきだろうか。
しばし、ヨニは考え込んだ。
起きている時にそんなこと言ったら、文句を言われるか、引っぱたかれる気しかしない。
でも、今度言ってみよう。弱って寝込んでいるより、怒っているくらいの方が元気でいいと思うから。
「んにゃ……」
ティルダの呼吸が穏やかに変化していく。
「はやく良くなってくれよ」
でないと、クッカサーリ中が落ち着かない。
――本日は、陛下が風邪をひく。お蔭で民の心が大いに乱れ、混乱を招いたのであった。
ティルダの紙を結い上げている小間使いのミルヤミが、ふと手を止めた。
問われ、僅かにためらったものの、ティルダは素直に答えることにした。
「なんだかちょっと頭が痛いかも……」
ミルヤミは櫛を置くとティルダの額に手をあてた。
「少し……熱があるようですね。気づかずに申し訳ありませんでした」
「ううん、私がちゃんと体調管理できてなかったのが悪いんだから。……ミルヤミの手、冷たくて気持ちいいわね」
意識すれば、なんだか喉にもひりひりと違和感がある。これは――
「風邪の初期症状ですね」
侍医はあっさりと診断を下した。
「ああ、やっぱり……」
自覚症状とも一致した以上、休みをとらざるをえない。
侍従のヨニや宮廷執事、侍女頭、キッチンメイド、ミルヤミ、若い医師見習い多くの人間に見守られながらの診断とあっては、逃げられそうにない。仕事が滞ることを思うと気が重いが、
「今日は休むわ」
ティルダは素直に諦めた。
「ったりまえだ」
呆れ顔のヨニにびしっと額を指で弾かれる。
「っ!」
なんて腹立たしい。
しかし、本当は心配されていることくらい理解はしている。だからティルダは抗議を飲みこんだ。女性陣が食事の内容や最近の生活習慣について、ヨニと宮廷執事が予定について小声で話し合っているのを聞きつつ、処方された薬を流し込む。
「うぅ、苦い……」
「何言ってんだか。薬飲んだらちゃんと大人しく寝てろよ、陛下。寝て汗かくしかないんだから」
ヨニがびしりとティルダを指して言った。
まるで子供に言い聞かせるような口ぶりだ。
「む……」
(寛容と忍耐、寛容と忍耐よ……。体調管理のなっていない自分が悪いのだから我慢よ、我慢)
薬を飲んだら、あとは大人しく布団に潜るしかない。
それでは、と一同が部屋から出ていくのをティルダはベッドから見送った。無論、ドアのすぐ外には誰かが控えているだろうから、呼べばすぐに応えてはくれるだろう。
「はあ……」
天井の模様を見つめながら、ティルダは繰り越される今日の予定を脳内でぼんやりとなぞった。議会の方に商人組合から報告が来る予定だったけど、それはあとで書類を読めばいい。急ぎで決裁しなければならないものは無かった筈だ。
まったく、一日の予定が狂うのは嫌なことだ。後に影響が出ない内に早く治したいが、一旦体調を崩すとどうにも長引いてしまう性質なので不安がある。普段は健康体そのものなのに、昔からそうだった。
「暇だわ……」
眠気はちっとも訪れない。
ちょっとした陳情書に目を通すくらいなら構わないだろうか。このままだらだらしているなんて、時間の浪費も甚だしいったらない。
書類を取ってきて、といつもの癖で人を呼ぼうとして、ティルダは慌てて声を呑みこんだ。ベッドで仕事なんて、見つかれば小言どころの騒ぎではない。
「だれに頼めば書類を持ってきてもらえるかしら……」
(ヨニは駄目だし、侍女も怖いし、その辺の衛兵を脅して――)
ティルダが真剣に考え込んでいると、
「陛下、お見舞いの方がいらっしゃいましたが、どうしましょう」
ドアの外から、医師見習いの困ったような声。控えていたのは、彼だったのか。ヨニは議会の方や、今日の面会予定の調整にあちこちに駆け回っているのだろう。気の弱そうな見習いだったから、押し通ることができたかもしれない……惜しい事をした。
気を取り直し、ティルダは尋ね返した。
「どなたがいらしたの?」
「アレクシス・トーバルス様です」
伯父のお見舞いなら対応しないわけにはいかない。ただ、寝巻姿の上に何か一枚羽織りたいところだ。
「ちょっと待ってもらって」
言ったが、
「入るよ、ティルダ」
制止は清々しく無かったことにされ、ティルダはがくりと肩を落とした。
「伯父様……」
抗議の声を上げようとして、どうやら思っていたより声が出ていなかったのだと気がつく。アレクシスがティルダを見て安堵を浮かべたのだ。ああ、そんなには酷くなくて良かった、というように。
反発心は瞬時に折れた。
「ちゃんと休みなさいって僕、言ったよね」
「……はい、ごめんなさい伯父様」
無理をしたつもりはなかったのだけど、言い訳は許してもらえそうにない。父に似た顔に睨まれて、なんだか子供に戻ったような気分だ。それでも気になったことをティルダは尋ねた。
「伯父様……議会の方はどうしたのです?」
「抜けて来たに決まっているじゃない」
堂々と言われては、ぐうの音も出ない。
「あとでお見舞いを届けさせるよ」
(どうせなら、お見舞いに報告書を持ってきてもらいたかったわ……)
顔を見に来ただけなのか、言うだけ言ってアレクシスは帰って行った。
「はあ……。なんだか消耗したわ……」
しかし翌日、効能が不明なものも含め、大量の健康食品を送りつけられてさらに消耗する羽目になるのをティルダはまだ知らない。
ふと思いつき、ティルダはベッドを抜けて姿見の前に立った。
「朝より顔色悪いわね……」
これではお見舞いに来た人に、いたずらに心配されてしまう。軽く化粧をして、髪を整え、枕元に上着を用意してから布団に戻った。
(念の為、ね)
どれだけ経っただろう、まどろみ始めたところでティルダは鐘の音に起こされた。クッカサーリの中央、聖神教会から鳴り響く昼の鐘だ。天に届くようにと祈りの込められた鐘の音は、聞き慣れているのに普段より優しく聴こえる。まるで……
小さくドアを叩く音に思索は中断された。
「失礼します、陛下。おや、起こしてしまいましたか?」
と、申し訳なさそうな顔の侍医。
「いいえ平気よ。寝つけなくて。」
「食欲はどうです? 昼なんですが、何か食べられそうですか?」
「そうね……お腹が減ったかしらね……」
本当は、何か食べようという気は湧いてこない。
でも、これ以上は気遣われたくない。
「そうですか、では――」
「粥を作ってきましたので、どうぞお食べになって下さい。食べるものも食べずには、よくなりませんぞ、陛下。ささ、どうぞ」
侍医の背後からクッカサーリ議員の一人、街で食堂を営んでいるニコ・メリカントが姿を現した。おそらく王宮の厨房で作ったのだろう、湯気の立ち上る粥を手にしている。
入室を許可する前に侵入してくることはもういい。予想がついてはいたことだ。
ただ、
「粥なんぞ、元気になりゃしませんよ。人はパンで作られるものですよ。陛下」
「お腹に優しいお粥のほうが正解だと思いますけど、喉に優しい方がもっといいのじゃありません?」
――予想していたより人数が多い。
ニコの後ろから、パンを持ったミカエル・ルオデと、さらに生姜の蜂蜜漬けを持ったキーラ・ユーティライネンの二人も続いて現れた。
「議会はどうしたのよ……貴方たち」
「わたしたち選抜隊なんですのよ!」
きらきらした笑顔で言われても、なんだそれ。コイントスで勝ち残った三人だとか、そんなことを言っているのを聞き流しながらティルダは思った。
(最終的に全員やって来たりしないでしょうね……)
なんだか頭がガンガンしてきた。熱が上がってきたのかもしれない。
「さ、陛下、粥をどうぞ」
「いえいえ、パンの方が」
正直どちらもいらない。
「やっぱり、ちょっと食欲がなくて、今はいらないわ」
ティルダがそう言った瞬間、侍医が「ああー」と大仰な溜息を吐いた。
なぜにそこまで珍妙な顔を? 理由はすぐにわかった――いや、ドアの陰から聞えてきた。
「やっぱり林檎のすりおろしですかねぇ」
「今の季節は新鮮な林檎は手に入らないじゃろうが。おお、痛ましいのう」
「へいかあああ、何も食べられないほどお加減が悪いなんて……僕が変わって差し上げたい!」
お調子者議員三人衆の声だ。他にも人の気配がするような気がする。
「まさか……本当に全員で来たのじゃないでしょうね?」
また議会をすっぽかして。
「いやですわ陛下、選抜隊って言ったじゃないですか」
微笑むキーラをティルダはじっと見つめた。
「直接顔を見るのが三人で残りは廊下に居るとか……?」
なぜ、そこで目を逸らす……!?
ああ、なんだか、軽く眩暈がしてきた。
議会を放り出して見舞いにくるなんて、一体どういうことだ――と声を荒げようとしてティルダは思い出した。サプライズ誕生日会の時のことを。
「……」
心配をかけたのは自分だから仕方ない。そう、胸の中で繰り返す。仕方ないったら仕方ない。ここまで来たら、せめてあの人は来ないようにと願うだけだ。
と、ティルダが聖神に祈っていたら、
「陛下、お加減はいかがですか?」
ひょこりと、聖神教会の総司教バレンティン・アグリコラまで顔を出した。
「な――」
「なにしに来てるんですかー! 猊下!!」
ティルダの内心を代弁するようなヨニの悲鳴が辺りに轟く。
「ヨニったら……みっともない声あげないでちょうだい」
叫びには同意するけど、王の侍従として品格を忘れないでもらいたいものだ。
随分遠くから叫んだらしく、珍しく足音をたてながら廊下を走ってきたヨニが顔を見せるまでにやや時間がかかった。というのに、
「陛下、呑気に何言ってんだよ!! ちゃんと寝てろって言っただろうが!
ティルダの文句は聴こえていたらしい。
「何度も言わなくてもわかっているわよ……」
「みなさんもみなさんです! こうやってお見舞いに押し掛けるから、陛下がなかなか休まらないんでしょうが!
それに猊下は風邪が移ったらどうすんですか! って言いたいわけですよ!」
後半に関してはまったく通り、そんなことになったら一大事だ。
「いや、しかしヨニ殿。風邪を引いた時の心細さには、人の温かさこそが何よりの薬ではありませんか」
「だまらっしゃい」
大陸中の聖神教会の頂点に立つ総司教を、笑顔で一刀両断するヨニ。議員たちが冷や汗を浮かべている。
「ヨニ殿は陛下のことになると恐ろしい……」
「あ、あれは怒ってますなあ、笑顔なのに」
「珍しいですわね」
確かに珍しい。
――しかし、思い出してみると、いつもティルダが寝込む時にはいつも怒っている覚えがある。ちゃんと寝てろだの、大人しくしろだの、なんだのとがみがみ煩く。
「ほら、陛下はこれ飲んで」
ずいっとヨニに押し付けられたのは、赤ワインにハーブやスパイスと砂糖を加えて作ったホットワインだ。甘めのレシピはティルダの父直伝、ヨニの手作りに違いない。
(風邪の時はこれに限るわね……)
ゆっくり飲み干すと、体に温かさが広がっていく。安心してほっと息を吐いたら、ティルダはそのまま軽く咳こんでしまった。
一気に緊張感が走る。
「……ほら!」
ヨニはティルダと議員たちの間に立って、
「分かったら自重して下さいよ! みなさん」
びしっとドアを指さした。
しょげ返る大の大人たちを、容赦なくヨニが追いたてていく。
「すいません、陛下。よくなったらうちの食堂に来て下さ――」
「順番に挨拶してく気じゃないでしょうね、みなさん早急に出て貰えます?」
殺気を隠さないヨニに怯えた議員たちは、後ろ髪を引かれつつもティルダの寝室から全員出ていったのであった。
残った侍医とヨニの相談の結果、夕飯のメニューはあっさりしたスープと果物になった。
(ああ、よかった)
それなら食べられそうだ。
侍医が「それでは」と去っていき、部屋に残ったのはヨニだけ。
侍医を見送ったヨニがくるりと振り向く。その顔は見事なまでの笑顔――なのに、とんでもなくおっかない。
「寝ろ、いいから黙って寝ろ。さもないと、添い寝して耳元で子守歌を唄ってやるぞ」
なんていう脅し文句なのだろう。
「――それは、嫌」
ベッドの横に椅子を寄せ、ヨニはティルダが眠るのを監視する態勢だ。
「これはもう大人しく寝るしかないわね……」
「他の選択肢を考えてた、って白状したわけだな。書類は夕飯と一緒に持ってきてやるから、ちょっと寝ろってば」
静寂を取り戻した寝室にヨニの溜息は大きく響いた。
「……わかったわよ」
重い空気の中、ともかくもティルダは瞼を閉じた。なんだか落ち着かないような、安心するような、むずむずした気分でティルダは眠りが訪れるのを待つ。
やがて、倦怠感が眠気を連れてきて――。
規則正しく寝息を立てはじめたティルダの顔を覗いて、ヨニは椅子に座り直した。
「まったく……」
昔からこうだ。体調が悪くて休むことになったのに、見舞いに応対したり隠れて仕事をしたりして、結局こじらせて治るのが遅くなる。毎度そうなのだから、最初から見張っていればよかった。
ティルダの額に手を乗せ、体温を測る。案の定、熱が上がっているようだ。
顔に張り付いた髪を除けたついでに頭を撫でたら、反応するようにティルダがムニャムニャ何事かを口走った。
「と……さま」
「なんだ陛下、どうした?」
「私、いい子にしてま……から、はやく……」
ヨニは、気づいた。これは、熱によるうわ言だと。
「とうさま……帰って、きて、下さいね……」
だって、先代のクッカサーリ王であるティルダの父親は、既に死者の谷の住人なのだから。
先王ラウリ・ユハ・リステェリは、忙しくクッカサーリ中を飛び回る仕事人だった。ティルダがなんでも自分の目で確認したがるのは親譲りといえる。
出掛けていくラウリに、ティルダは大人しく「いってらっしゃい」を言う、聞き分けの良い子供だった。甘えるのは寝言でだけ。気付いていたのは、護衛も兼ねるヨニや、生まれてからずっと世話をしていた乳母くらいのものだろう。
「う……ん」
悪い夢でも見ているのか、ティルダがうなされている。
見ているのが父親の夢だとしたら、それも仕方ないかもしれない。
ラウリが突然倒れてから、亡くなるまではあっという間のことだった。腹の中に出来物ができる病で、倒れた時には手の施しようがなかったのだ。そもそも腹の中の出来物には医者も手を出せないが、痛み止めの薬さえまったく役に立たないような状態だった。苦しみの中で逝かせる羽目になってしまったと、侍医が影で泣くのをヨニは見た。
十四歳という若さで王位を継がなければならなくなった娘をどうか頼む、とヨニがラウリから頼まれたのは彼が旅立つ少し前のことだった。
『妻をはやくに亡くしたせいでもあると思うけど、皆、ティルダを甘やかしてくれるだろう? 特に兄さんとか。ちょっと心配なんだよ。だから、ヨニ、君にはバランスをとってもらいたい』
――バランス……ですか? 皆が甘やかすなら、せめて俺は厳しくしろって? そんな必要なんてないと思います。今でさえ、自分に厳しすぎるってのに。
『……そうか、そうか。うん、じゃあ、とことん甘やかしてくれて構わないよ。砂糖漬けみたいに、べったべたにさ』
痩せた顔に浮かべられた苦笑を思い出して、ヨニは唇を噛んだ。
「上手く甘やかすのって難しいですよ……」
砂糖漬けみたいに浸ってくれればいいのに、一人で背負おうとするから、黙って先に荷物を片づけてしまうしかない。知られたら、不本意だと言って怒られるだろうけど。
でも、不器用な王を続けて死なせるのは絶対に御免だ。それはクッカサーリ中の人間が思っている。きっと。
「うぅ」
ティルダの寝顔がますますしかめられていく。
「陛下」
ヨニはティルダの耳元にそっと囁いた。
「もっと甘えてもいいんだぜ」
寝返りをうったティルダの手が、何かを求めているように何度か空をかいた。ヨニが手を差し出せば、ぎゅっと握り返される。結構な力で掴まれ、簡単には解けない。
「……早速かよ」
思わず口元に笑みが浮ぶ。随分と素直なことだ。寝ている時だけでも素直になるならいいのだろうか。それとも、起きている時に直接言うべきだろうか。
しばし、ヨニは考え込んだ。
起きている時にそんなこと言ったら、文句を言われるか、引っぱたかれる気しかしない。
でも、今度言ってみよう。弱って寝込んでいるより、怒っているくらいの方が元気でいいと思うから。
「んにゃ……」
ティルダの呼吸が穏やかに変化していく。
「はやく良くなってくれよ」
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