従順な俺を壊して 【颯斗編】

川崎葵

文字の大きさ
40 / 117
第4章 出会い

40

しおりを挟む
俺がいた繁華街から森林公園はそれなりに距離があり、最短ルートできたつもりだがそれなりに時間を要した。
特に後ろを確認せずにここまで来たが、どうやら亮もついてくることにしたらしく、俺が森林公園入り口に停車した後ろに続いて停車した。

そこは周囲にも人気がまるでなく、公園内の遊歩道も外灯がポツリポツリとあるだけで人の気配はない。
俺はバイクを置いて足早に公園内に踏み入れ、周囲を見渡しながら奥に進むが、夜中の人気のない公園は薄気味悪く、遊歩道にある外灯が照らす周囲以外は闇に溶けて何も見えない。

むやみやたらに木々の中を歩くわけにも行かず、周囲の音に耳を傾けながらただ只管ひたすらに歩みを進めた。
すると、微かに何かの音が暗闇の木々の中から聞こえた気がした。
遠めにいる猫が通りすがら短く鳴いたと言われれば納得出来るぐらいの音であったが、俺はその音がしたほうへ迷わずに向かっていた。


「おねがいっ、たすけてっ……」


近づくにつれ、微かな搾り出したような声を俺の耳が拾った。
暗闇に慣れない目のまま、俺は動いている気配を感じ取って駆け出し、直前で人に馬乗りになっている体を捉えて蹴り飛ばした。
ただ、その蹴り飛ばした相手が誰かは見えておらず、亀城かもしれないと思って加減をして蹴ったこともあり、そいつはうめき声を上げて吹き飛ばされただけで済んだ。

とりあえず安全を確保し、きちんと目を凝らせばやはり馬乗りにされていたのは亀城だった。
服は肌蹴け、ベルトもチャックも外された状態で、ロープに縛られた両腕を上げたまま必死に耐えるように硬く目を瞑っている。
ただ、ズボンを脱がされていないことからまだ未遂であることは分かった。
間に合った。
 

「おい、大丈夫か?」

「お前こっち来ぃな。」


傍に座り込み、いらない錯覚を与えないように触れずに声をかける俺を見て、亮が柿原の首根っこを掴んで引きずって遠くへと連れて行ってくれる。


「たすけて、おねがい、たすけて……」


亀城は状況を理解できていないようで必死に助けを求めている。
ただ、声をかけている俺が柿原ではないことは認識できていそうだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

バツイチ上司が、地味な僕を特別扱いしてくる

衣草 薫
BL
理性的でクールなバツイチ上司・桐原恒一は、過去の失敗から、もう誰も必要としないと決めて生きてきた。 男が好きだという事実を隠し、「期待しなければ傷つかない」と思い込んできた部下・葉山直。 すれ違いと誤解の果てに、直が職場を去ろうとしたとき、恒一は初めて“追いかける”ことを選ぶ。 選ばれないと信じてきた直と、逃げないと決めた恒一。 二人の距離が近づくことで、直は「ここにいていい」と思える場所を見つけていく。 元ノンケ上司×自己肯定感低め部下の社会人BL。※ハッピーエンド保証。

アイドルくん、俺の前では生活能力ゼロの甘えん坊でした。~俺の住み込みバイト先は後輩の高校生アイドルくんでした。

天音ねる(旧:えんとっぷ)
BL
家計を助けるため、住み込み家政婦バイトを始めた高校生・桜井智也。豪邸の家主は、寝癖頭によれよれTシャツの青年…と思いきや、その正体は学校の後輩でキラキラ王子様アイドル・橘圭吾だった!? 学校では完璧、家では生活能力ゼロ。そんな圭吾のギャップに振り回されながらも、世話を焼く日々にやりがいを感じる智也。 ステージの上では完璧な王子様なのに、家ではカップ麺すら作れない究極のポンコツ男子。 智也の作る温かい手料理に胃袋を掴まれた圭吾は、次第に心を許し、子犬のように懐いてくる。 「先輩、お腹すいた」「どこにも行かないで」 無防備な素顔と時折見せる寂しげな表情に、智也の心は絆されていく。 住む世界が違うはずの二人。秘密の契約から始まる、甘くて美味しい青春ラブストーリー!

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

マネージャー~お前を甲子園に連れて行ったら……野球部のエース♥マネージャー

夏目碧央
BL
 強豪校の野球部に入った相沢瀬那は、ベンチ入りを目指し、とにかくガッツを認めてもらおうと、グランド整備やボール磨きを頑張った。しかし、その結果は「マネージャーにならないか?」という監督からの言葉。瀬那は葛藤の末、マネージャーに転身する。  一方、才能溢れるピッチャーの戸田遼悠。瀬那は遼悠の才能を羨ましく思っていたが、マネージャーとして関わる内に、遼悠が文字通り血のにじむような努力をしている事を知る。

兄貴同士でキスしたら、何か問題でも?

perari
BL
挑戦として、イヤホンをつけたまま、相手の口の動きだけで会話を理解し、電話に答える――そんな遊びをしていた時のことだ。 その最中、俺の親友である理光が、なぜか俺の彼女に電話をかけた。 彼は俺のすぐそばに身を寄せ、薄い唇をわずかに結び、ひと言つぶやいた。 ……その瞬間、俺の頭は真っ白になった。 口の動きで読み取った言葉は、間違いなくこうだった。 ――「光希、俺はお前が好きだ。」 次の瞬間、電話の向こう側で彼女の怒りが炸裂したのだ。

役を降りる夜

相沢蒼依
BL
ワンナイトから始まった関係は、恋じゃなくて契約だった―― 大学時代の先輩・高瀬と、警備員の三好。再会の夜に交わしたのは、感情を持たないはずの関係だった。 けれど高瀬は、無自覚に条件を破り続ける。三好は、契約を守るために嘘をついた。 本命と会った夜、それでも高瀬が向かったのは――三好の部屋だった。そこからふたりの関係が揺らいでいく。

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

たとえば、俺が幸せになってもいいのなら

夜月るな
BL
全てを1人で抱え込む高校生の少年が、誰かに頼り甘えることを覚えていくまでの物語――― 父を目の前で亡くし、母に突き放され、たった一人寄り添ってくれた兄もいなくなっていまった。 弟を守り、罪悪感も自責の念もたった1人で抱える新谷 律の心が、少しずつほぐれていく。 助けてほしいと言葉にする権利すらないと笑う少年が、救われるまでのお話。

処理中です...