従順な俺を壊して 【颯斗編】

川崎葵

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第5章 名前のない気持ち

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「亀城、勝ったらしいで。」 


自宅の駐輪場へ付くと早速結果が届いたらしく、亮がそう教えてくれる。


「マジ?何、拳の当たり所でも良かったのか?」

「いんや。何かよう分からんけど秒で地面にこかして背後から固め技決めたらしいで。俺らが出発して直ぐに決着ついたらしい。」

「は?どういうこと?あの状況から?」

「せやな。ほんまに、無名の新人が現れたかもしれんな。」

「うっわ、もったいねぇ。最後まで見たかったな。」

「あの子颯斗に懐きすぎでしょ。何したの?」

「何もしてねぇよ。知ってるだろ、俺が2回しか会ってねぇの。」

「そうだけど、その割りに懐きすぎだよ。ちゃんと適切な距離とってる?」

「取ってるっつの。見て分かるだろ。あいつは特別怖いもの知らずなんだよ。だから田中とも普通につるんでるし、俺を田中と同じぐらいに思ってんじゃねぇの?」

「それじゃ困るんだけど。あんな無鉄砲じゃ自分で首を絞めることになるよ。」

「確かにな。それについては考えねぇといけねぇだろうな。」


そんな話をしながら俺たちは上に上がり、どうしたものかと考える。
守ってやりたいとは思っているが、俺は別に巻き込みたいわけではない。

俺の力を駆使して守ることは可能だが、それには裏からの根回しでは限界な部分があるため、表立って動ける環境が必要だ。
そうなれば、この短期間であれだけ懐いてくる性格を考慮すれば、踏み入ってくることは避けられないだろう。
遠ざけるほかないだろうが、一体どうしようか。


ただ、俺が悩んだところで接点などまずほぼないので出来ることなど何もなく、俺が出来ることと言えば対決を見に行く時にバレないよいうにするぐらいだった。

その中で、亀城の戦い方の基本が合気道であることを知った。
田中たちの戦い方を見て合気道を使っている場面を見たことがないのを考慮すると、元々亀城が心得ていたものだと推測できるが、何を目的で習っていたのだろうか。

亮いわく、亀城は前の学校で友達との関わりをほぼ持っておらず、自分のことをあまり喋るタイプではなかったことから私生活で得られる情報はそんなに多いものではなかったらしい。
だから何故あんなに強くて虐めてきた奴を力でねじ伏せなかったのか、あれだけ人懐っこいのにも関わらず何故友達と関わりを持っていなかったのか、合気道を何のために心得たのか、不思議な点は多々ある。

人間性を計り知れないのはその見えない部分にあるのかもしれない。
亀城の戦いはいつもあの小柄な体格からは考えられない力を発揮し、相手の力を自分の力にプラスする合気道で華麗に勝利を重ねており、その戦いは見ていて飽きなかった。

だから俺はよく覗きに行ったし、田中たちも上級生と対決をするようになり、やっと力を解放し始めたので気になる試合は眺めに行くようになった。

ただ、田中は上級生相手にかなり翻弄され、冬になっても俺の元には辿り着けそうになかった。
最近では田中も楽しい対決を見せてくれているので俺の元に早く来ないだろうかと待ち焦がれている。
きっと、俺相手ならばもっと奮闘してくれるのではないかと、そんな期待があるからだ。
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