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第7章 加速する想い
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「颯斗って、掘れば掘るほど色んなことが出てくるね。」
何となくお互いの童貞喪失話をし、中学の同級生の彼女に迫られて渋々受け入れたらしい柚希は、中学生の時に飲み屋街で知り合った女に奪われたという俺に、どこか感心したように言う。
「まぁな。だから付き合いは適当にやってんだよ。面倒だから。でも俺は柚希と違って性欲はバリバリにあるから直ぐそっちの生活にはまったけどな。」
「そんな感じする。じゃなきゃセフレなんて作らないでしょ。何人いるの?」
「さぁ?数えたこともねぇ。携帯に入ってる女は全員そうだから、携帯見たら分かんじゃねぇかな。」
何の悪気もなく答えたことだったが、柚希は『ふぅん』と小さく鼻を鳴らし、何かを考えるように黙ってしまった。
やはり、セフレというのは心証が悪かっただろうか。
その存在を特に良いも悪いも考えたことはなかったが、一般的にはいないらしいので、その存在がいること自体が引っ掛かるのだろうか。
「セフレは全部切るから。」
「え?」
「えって、そのこと考えてたんじゃねぇの?」
驚いた顔をする柚希に、自分は見当違いなことを言っているのかと不安になる。
「そうだけど、いいの?」
「いいのって、逆に嫌だろ。恋人の携帯にセフレの番号入ってるなんて。」
「あ、俺らちゃんと恋人なんだ。」
「え?何それ。違ぇの?」
想定外の返答に今度は俺が驚く番だった。
同じ思いだったのだから当然のように付き合っていると思っていた俺は困惑してしまう。
「うぅん。何か、はっきりしないままここに来ちゃったから。恋人ならいいんだ。」
そういわれれば、確かにそうかもしれない。
人と付き合うというのはとても曖昧なもので、はっきりした言葉でないと食い違ってしまうようだ。
そんなことも分からない俺は、これからもっとたくさんのことを気を付けないといけないかもしれない。
「それなら、改めて告白してやるよ。俺と、付き合ってくれるか?」
ただ、それを気に病んでも仕方がない。
分からないなら口に出せばいい。想いを伝えればいい。
俺に出来ることは、まずそれからだ。
「こんな俺で、よければ。」
「もちろん。」
手を出した俺の手を握り返してくれ、柚希が俺のものという独占欲が満たされ、嬉しさに頬がほころぶ。
「柚希が俺の初めての恋人か。もう触ってもキスしても許される関係なんだよな。何かすっげぇ嬉しい。」
そんな些細なことでさえ、喜びが湧き上がって心が満たされる。
「颯斗の初めてって貴重な気がする。色々経験豊富だから。」
「そんなことねぇよ。俺は柚希に出会ってから初めてのことだらけだ。こんなに好きなのもこんなに大事なのも、触りたいのもキスしたいのも抱きしめたいのも、こんなに愛おしいのも初めて。傷つけたくないから我慢をしたのも初めて。こんなに仲良くなりたいと思ったのも、全部が全部、初めてのことばっかりだ。正直ずっと戸惑ってる。今まで思ったこともないことを考えるし、逆に無意識にやってることで傷つけてないか不安になることもある。何か嫌なことがあったら言えよ?俺は普通の生活をしてこなかったから、無意識に傷つけるかもしれねぇから。」
この不安はそう簡単にはなくなることはないだろう。
育ってきた家庭環境は、新たな家庭環境でも繰り返されるというのを聞いたことがある。
全員が全員そうでないにしろ、虐待を受けてきた子供が家庭を持った時、同じように子供を虐待してしまうというのは珍しい話ではないらしい。
柚希にそんなことをするつもりは更々ないが、育児放棄に始まり、喧嘩と犯罪に囲まれて生きていた俺は、まともな思考回路は持ち得ていない可能性は高い。
柚希を傷つけることだけは、絶対にしたくない。
「大丈夫だよ。今のとこは何もない。むしろ優しくされすぎて申し訳なくなるぐらいだよ。」
「それならいい。それぐらいが丁度いい。」
今はまだ、何もしでかしていないらしい。
それに安堵しつつも、今後も気を付けようと心に誓う。
もう二度と、間違いは犯さないように。
何となくお互いの童貞喪失話をし、中学の同級生の彼女に迫られて渋々受け入れたらしい柚希は、中学生の時に飲み屋街で知り合った女に奪われたという俺に、どこか感心したように言う。
「まぁな。だから付き合いは適当にやってんだよ。面倒だから。でも俺は柚希と違って性欲はバリバリにあるから直ぐそっちの生活にはまったけどな。」
「そんな感じする。じゃなきゃセフレなんて作らないでしょ。何人いるの?」
「さぁ?数えたこともねぇ。携帯に入ってる女は全員そうだから、携帯見たら分かんじゃねぇかな。」
何の悪気もなく答えたことだったが、柚希は『ふぅん』と小さく鼻を鳴らし、何かを考えるように黙ってしまった。
やはり、セフレというのは心証が悪かっただろうか。
その存在を特に良いも悪いも考えたことはなかったが、一般的にはいないらしいので、その存在がいること自体が引っ掛かるのだろうか。
「セフレは全部切るから。」
「え?」
「えって、そのこと考えてたんじゃねぇの?」
驚いた顔をする柚希に、自分は見当違いなことを言っているのかと不安になる。
「そうだけど、いいの?」
「いいのって、逆に嫌だろ。恋人の携帯にセフレの番号入ってるなんて。」
「あ、俺らちゃんと恋人なんだ。」
「え?何それ。違ぇの?」
想定外の返答に今度は俺が驚く番だった。
同じ思いだったのだから当然のように付き合っていると思っていた俺は困惑してしまう。
「うぅん。何か、はっきりしないままここに来ちゃったから。恋人ならいいんだ。」
そういわれれば、確かにそうかもしれない。
人と付き合うというのはとても曖昧なもので、はっきりした言葉でないと食い違ってしまうようだ。
そんなことも分からない俺は、これからもっとたくさんのことを気を付けないといけないかもしれない。
「それなら、改めて告白してやるよ。俺と、付き合ってくれるか?」
ただ、それを気に病んでも仕方がない。
分からないなら口に出せばいい。想いを伝えればいい。
俺に出来ることは、まずそれからだ。
「こんな俺で、よければ。」
「もちろん。」
手を出した俺の手を握り返してくれ、柚希が俺のものという独占欲が満たされ、嬉しさに頬がほころぶ。
「柚希が俺の初めての恋人か。もう触ってもキスしても許される関係なんだよな。何かすっげぇ嬉しい。」
そんな些細なことでさえ、喜びが湧き上がって心が満たされる。
「颯斗の初めてって貴重な気がする。色々経験豊富だから。」
「そんなことねぇよ。俺は柚希に出会ってから初めてのことだらけだ。こんなに好きなのもこんなに大事なのも、触りたいのもキスしたいのも抱きしめたいのも、こんなに愛おしいのも初めて。傷つけたくないから我慢をしたのも初めて。こんなに仲良くなりたいと思ったのも、全部が全部、初めてのことばっかりだ。正直ずっと戸惑ってる。今まで思ったこともないことを考えるし、逆に無意識にやってることで傷つけてないか不安になることもある。何か嫌なことがあったら言えよ?俺は普通の生活をしてこなかったから、無意識に傷つけるかもしれねぇから。」
この不安はそう簡単にはなくなることはないだろう。
育ってきた家庭環境は、新たな家庭環境でも繰り返されるというのを聞いたことがある。
全員が全員そうでないにしろ、虐待を受けてきた子供が家庭を持った時、同じように子供を虐待してしまうというのは珍しい話ではないらしい。
柚希にそんなことをするつもりは更々ないが、育児放棄に始まり、喧嘩と犯罪に囲まれて生きていた俺は、まともな思考回路は持ち得ていない可能性は高い。
柚希を傷つけることだけは、絶対にしたくない。
「大丈夫だよ。今のとこは何もない。むしろ優しくされすぎて申し訳なくなるぐらいだよ。」
「それならいい。それぐらいが丁度いい。」
今はまだ、何もしでかしていないらしい。
それに安堵しつつも、今後も気を付けようと心に誓う。
もう二度と、間違いは犯さないように。
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