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第9章 神谷謙との出会い
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「親はどうしたんだ?」
手を繋いで家の方に案内をしながら、謙兄とは世間話をしていた。
「仕事。だからいつも1人なんだ。」
「そっか。だからって、1人で出歩くなよ、こんな夜中に。しっかり寝ないとチビになるぞ。」
「大きくなったら強くなれる?」
「そりゃなれるさ。体が大きいほど強い。これは喧嘩のセオリーだ。」
「せおりー?」
「法則、って言っても分かるか?」
「何となく。」
「そっか。まぁ、体はでかい方が強い。坊主は強くなりたいのか?」
「なりたい。誰にも負けないぐらい。」
「なら沢山食って沢山寝ろ。そして心を鍛えろ。絶対に誰にも負けないって自分を信じるんだ。自分を信じてやることが、強くなる1番の近道だよ。」
そう言う謙兄が、とてもカッコよく見えた。
当時の俺は、自分が誰にも負けないなんて、想像することさえ出来なかった。
もちろんそんな自分が強くなれると信じることも出来なくて、力強くハッキリと言い切れる謙兄が羨ましくて、この人みたいになれたらって、握られていた手を離すまいとするかのように強く握り返した。
謙兄の硬い手は痛がることなんかなくて、ただ優しく笑ってくれた。
「坊主、男は強くなきゃいけない。守りたい相手を守ってやれるようにな。だから強くなれ。お前ならきっと出来る。」
「俺のこと知らないのに、何でそんなこと言えるの?」
「俺には分かるんだよ、そいつが強いかどうか見ただけでな。」
「そんなの嘘だ。俺は強くなんかなれっこない。」
「強くなりたいって言ったくせに、何で自分で否定すんだよ。だったら強くなりたいなんて言うな。自分を信じられない奴が強くなれるわけないだろ。」
その言葉で、自分を弱くしていたのは自分自身だったのかと気付かされた。
負けたくない、強くなりたい。そうずっと思ってきたのに、俺は心のどこかで勝てるわけないと思っていたのだ。
だから俺はイジメに屈しないと虚勢を張ることしか出来なくて、食らいつく拳に勢いも腰も入ってなくて、仕返しばかりあっていた。
「じゃあ、信じたら強くなれる?誰にも負けなくなる?」
「あぁ、なれるよ。俺が保証してやる。強くなれなかったら俺のとこに来い。その時は謝ってやるよ。」
「いや、その時は殴らせて。」
「おいおい、ガキのくせに一丁前なこと言うなぁ。ま、その時は俺も腹くくってやるよ。」
その後、謙兄は俺を家まで送り届け、もう夜中にほっつき歩くなよと助言して帰って行った。
また出歩いて謙兄に見つかってもいけないだろうと大人しく布団に潜り込み、俺は強くなれると言い聞かせながら目をつむった。
手を繋いで家の方に案内をしながら、謙兄とは世間話をしていた。
「仕事。だからいつも1人なんだ。」
「そっか。だからって、1人で出歩くなよ、こんな夜中に。しっかり寝ないとチビになるぞ。」
「大きくなったら強くなれる?」
「そりゃなれるさ。体が大きいほど強い。これは喧嘩のセオリーだ。」
「せおりー?」
「法則、って言っても分かるか?」
「何となく。」
「そっか。まぁ、体はでかい方が強い。坊主は強くなりたいのか?」
「なりたい。誰にも負けないぐらい。」
「なら沢山食って沢山寝ろ。そして心を鍛えろ。絶対に誰にも負けないって自分を信じるんだ。自分を信じてやることが、強くなる1番の近道だよ。」
そう言う謙兄が、とてもカッコよく見えた。
当時の俺は、自分が誰にも負けないなんて、想像することさえ出来なかった。
もちろんそんな自分が強くなれると信じることも出来なくて、力強くハッキリと言い切れる謙兄が羨ましくて、この人みたいになれたらって、握られていた手を離すまいとするかのように強く握り返した。
謙兄の硬い手は痛がることなんかなくて、ただ優しく笑ってくれた。
「坊主、男は強くなきゃいけない。守りたい相手を守ってやれるようにな。だから強くなれ。お前ならきっと出来る。」
「俺のこと知らないのに、何でそんなこと言えるの?」
「俺には分かるんだよ、そいつが強いかどうか見ただけでな。」
「そんなの嘘だ。俺は強くなんかなれっこない。」
「強くなりたいって言ったくせに、何で自分で否定すんだよ。だったら強くなりたいなんて言うな。自分を信じられない奴が強くなれるわけないだろ。」
その言葉で、自分を弱くしていたのは自分自身だったのかと気付かされた。
負けたくない、強くなりたい。そうずっと思ってきたのに、俺は心のどこかで勝てるわけないと思っていたのだ。
だから俺はイジメに屈しないと虚勢を張ることしか出来なくて、食らいつく拳に勢いも腰も入ってなくて、仕返しばかりあっていた。
「じゃあ、信じたら強くなれる?誰にも負けなくなる?」
「あぁ、なれるよ。俺が保証してやる。強くなれなかったら俺のとこに来い。その時は謝ってやるよ。」
「いや、その時は殴らせて。」
「おいおい、ガキのくせに一丁前なこと言うなぁ。ま、その時は俺も腹くくってやるよ。」
その後、謙兄は俺を家まで送り届け、もう夜中にほっつき歩くなよと助言して帰って行った。
また出歩いて謙兄に見つかってもいけないだろうと大人しく布団に潜り込み、俺は強くなれると言い聞かせながら目をつむった。
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