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第9章 神谷謙との出会い
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記憶を頼りに三角公園へ向かっていた時、多くの人が輪を作って何やら盛り上がっているところに出くわした。
俺が向かっていた場所は、大きく広がって道を塞いでいるそれを越えなければ辿り着けず、仕方なく大人の背後を通り抜けようと近づいた。
「お、ガキンチョも気になるか?」
突如上から降り注いだ声に顔を上げれば、興奮気味に頬を紅潮させたおじさんが俺を見ており、抵抗する間もなく抱きかかえられた。
声援や野次を飛ばす大人たちより頭1つ抜き出た俺の目に映ったのは、開けた中央のスペースで2人の男が見つめ合う姿だった。
今にも膝に手を付きそうな男を前に楽しそうに口角を吊り上げ、獲物を狙う獅子のように相手を見据えていたのは、俺が会いに行こうとしていた謙兄だった。
「お前、神谷謙って知ってるか?最近ここで頭角を現し始めた新参者だ。アイツは強いぞ。お前もきっと惚れるぞ。」
俺を抱きかかえたおじさんは早口にそう教えてくれたが、小学生の俺に理解出来たのは、謙兄の名前が神谷謙であることと、強いということだけだった。
謙兄と向かい合う相手の体はかなり大きく、小柄な謙兄の1.5倍はありそうな体格差だった。
体だけ見れば謙兄が勝てるはずなんてないぐらいで、当時の俺だったら諦めて早く終わることを願うような相手だった。
しかしそんな中、謙兄は相手を指さし、軽く指を曲げて挑発した。
その余裕さに逆上した相手が間合いを詰め、拳を振り上げた。
迷いのない力強い拳。俺の受ける暴力の非ではないことは、子供の俺でも直ぐに分かった。
見ているだけで怯んでしまうようなその拳を、謙兄は笑みを湛えたまま軽々と避け、まるで踊るように何度も繰り出される拳をヒラヒラと避け続けた。
そしてある瞬間、謙兄の笑顔がすっと引っ込み、狙いを定めた獣が喉仏に噛み付く勢いで、真っ直ぐ綺麗なストレートが相手の顔にめり込んだ。
その一発は目に見えない速さで、気付いた時には相手の顔を潰し、意識を奪っていた。
湧き上がる歓声に、俺を抱えていたおじさんも拳を突き上げ、雄叫びを上げた。
みんなに祝福され、謙兄も拳を突き上げて周りの声に応えた。
その強くかっこいい姿に、俺は心底謙兄になりたいと思った。
一瞬で周りを虜にするその魅力に、おじさんが言ったように惚れずにはいられなかった。
悪態をつきに来たことなんか忘れて、謙兄のように強くなるんだと、俺は生きる希望をその時手に入れた。
俺が向かっていた場所は、大きく広がって道を塞いでいるそれを越えなければ辿り着けず、仕方なく大人の背後を通り抜けようと近づいた。
「お、ガキンチョも気になるか?」
突如上から降り注いだ声に顔を上げれば、興奮気味に頬を紅潮させたおじさんが俺を見ており、抵抗する間もなく抱きかかえられた。
声援や野次を飛ばす大人たちより頭1つ抜き出た俺の目に映ったのは、開けた中央のスペースで2人の男が見つめ合う姿だった。
今にも膝に手を付きそうな男を前に楽しそうに口角を吊り上げ、獲物を狙う獅子のように相手を見据えていたのは、俺が会いに行こうとしていた謙兄だった。
「お前、神谷謙って知ってるか?最近ここで頭角を現し始めた新参者だ。アイツは強いぞ。お前もきっと惚れるぞ。」
俺を抱きかかえたおじさんは早口にそう教えてくれたが、小学生の俺に理解出来たのは、謙兄の名前が神谷謙であることと、強いということだけだった。
謙兄と向かい合う相手の体はかなり大きく、小柄な謙兄の1.5倍はありそうな体格差だった。
体だけ見れば謙兄が勝てるはずなんてないぐらいで、当時の俺だったら諦めて早く終わることを願うような相手だった。
しかしそんな中、謙兄は相手を指さし、軽く指を曲げて挑発した。
その余裕さに逆上した相手が間合いを詰め、拳を振り上げた。
迷いのない力強い拳。俺の受ける暴力の非ではないことは、子供の俺でも直ぐに分かった。
見ているだけで怯んでしまうようなその拳を、謙兄は笑みを湛えたまま軽々と避け、まるで踊るように何度も繰り出される拳をヒラヒラと避け続けた。
そしてある瞬間、謙兄の笑顔がすっと引っ込み、狙いを定めた獣が喉仏に噛み付く勢いで、真っ直ぐ綺麗なストレートが相手の顔にめり込んだ。
その一発は目に見えない速さで、気付いた時には相手の顔を潰し、意識を奪っていた。
湧き上がる歓声に、俺を抱えていたおじさんも拳を突き上げ、雄叫びを上げた。
みんなに祝福され、謙兄も拳を突き上げて周りの声に応えた。
その強くかっこいい姿に、俺は心底謙兄になりたいと思った。
一瞬で周りを虜にするその魅力に、おじさんが言ったように惚れずにはいられなかった。
悪態をつきに来たことなんか忘れて、謙兄のように強くなるんだと、俺は生きる希望をその時手に入れた。
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