黄龍漫遊記

コロ

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成長編 南へ

遥かなる頂を目指す愚か者

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ルーンが西から還帰り30日ほど過ぎた頃

赤『ルーンや、そろそろわらわ華焔宮かえんぐうかぬかえ?』

『ぽぇねーの おうち?』

赤『そうじゃ』

『うん いくー』


ポェニクスは他の三獣に向き直り
『では、行っても良いかえ?』

『『『あぁ、気をつけてな』』』


朱雀形態をとり、ルーンを背に乗せると一羽ばたき
それだけで高度300mを越える

そして、南へ高度を上げながら暫く翔ぶと
山頂に冠雪かんむりゆきを被った3000m級の峰々が見えてきた
その峰々の中でも一際高い山の山頂には雪が無く、赤々とした炎と煙りを噴いている


『わー すごーい おやまがもえてるー』



ポェニクスが山に近付いて行くと
噴火口から30個ほどの火の玉が噴き出て
ポェニクス目掛けて飛んでくる

ポェニクスの直前まで飛んでくると、全ての火の玉が朱雀になり羽ばたく
「「「「ポェニクス様、お帰りなさいませー!」」」」

「「「「ルーン様、ようこそ華焔宮へ」」」」

『この子達は妾の一族じゃ、仲良うしておくれ』

『あい よろしくね』

「「「「宜しくお願い致します」」」」

ポェニクスが背のルーンを振り返り
『あの火を噴く山は崑崙山こんろんさんと言うての、崑崙山の天辺てっぺんに華焔宮があるのえ』


体長50cmから100cmほどの小さな朱雀達は、ルーンを取り囲むと淡い炎を出しルーンを包み込む
熱くもなく寒くもない快適さを感じるルーン
『わあ きもちいーねー』

「「「「ルーン様は平気でしょうが華焔宮は燃え盛っておりますので」」」」

「「「「崑崙山のいただきは高く、お寒うございますので」」」」

小さな朱雀達はルーンの周りをパタパタと翔び回りながらかなでるようにささやく


『あそこはなーに?』
と、ルーンが桃色に染まる山の中腹を指差す

『ん?あぁアレはの?神桃しんとうが実り樿ツゲの林からなる桃樿郷とうせんきょうじゃ、仙人共が住まいおる』

『せんにんってなーに?』

『人の身で不老不死を欲する愚か者共じゃ』
吐き棄てる様に語る

「「「「プー クスクスクスクス」」」」

「「「「人の身じゃ無理なのにね」」」」

「「「「万人に1人も居ないのにね」」」」

「「「「万年に1人も居ないのにね」」」」

「「「「人は神の域には行けないのに」」」」

「「「「愚かよね♪」」」」

「「「「過ぎたる望みは、その身を滅ぼすのにね」」」」

「「「「あの場から上に登れば」」」」

「「「「私達がその身を燃やし尽くすのにね」」」」

「「「「私達がその魂を燃やし尽くすのにね」」」」

「「「「愚か者たちよね♪」」」」
小朱雀達が音楽を奏でる様に、歌う様に怖い事を言う

『人の行き着く所は死じゃからこその人生であろうにの、愚かな事よ』

『あの様な過ぎたる欲望を持っておれば輪廻りんねうずにも乗れぬ』

『そして、妾達の火に焼かれ滅すれば永劫えいごう…全く持って愚か者の所業しょぎょうじゃの』
と、頭を振る

『元来、桃樿郷とうせんきょうもな?彼奴あやつらは勝手に登仙郷とうせんきょうと字を変えのたまいおる。桃は神桃の事じゃが樿ツゲは古来 不可思議で霊妙なる木じゃ、樿ツゲで作るくしかんざしは不思議な力を持つとして人に珍重されておる』

『それすら知らず名を変え意味をすり替え呼ぶなぞ無礼にも程がある、言霊ことだまないがしろにし過ぎじゃ』
桃樿郷を見下ろすポェニクスの目が恐い

しかし、それに気付かず仙人達は乱舞する朱雀達を仰ぎ見て
手を合わせて拝む
『その身に破滅をもたらす存在に拝むなぞ滑稽よな』
ポェニクスの目と声音はあくまでも冷たい



桃樿郷上空を通り過ぎ、間も無く華焔宮へと到着する
華焔宮は屋根も柱も壁も朱に染まり、あちらこちらに金の線が渦巻く
華焔宮の真正面には、庭園の池の様に崑崙の火口があり燃え滾る溶岩が波打つ
とても、只人ただびとに居れる場所ではなかった

『さぁさぁルーンや、ゆっくりと寛いでおくれ。何か用があれば、その子達に申し付けると良い。神桃でも喰むかえ?』

「「「「はい、御申し付け下さい」」」」
小朱雀達がコックリコックリと頷く

「「「「神桃を採って参ります」」」」
数羽の小朱雀が翔び去る

『あい』


ルーンの両手に余る大きさの桃を受け取り、カプッとひと囓り
『あま~い おいし~い♪』

『そうかえそうかえ、桃は、まだまだ有るえ』
目を細めてデレるポェニクス

小朱雀達も目をトロンとしてルーンを見つめる
「「「「ルーン様、可愛い♪」」」」

「「「「私達の主人様あるじさま♪」」」」

「「「「主人あるじルーン様♪」」」」

高らかに奏でる



    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

リーン ゴーン♪
黄龍を讃えよ(笑)



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