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漫遊編
蓬莱の國 拾
しおりを挟む倭の都
中央に威容を放つ寝殿造の建物があり、丸木塀と堀に囲まれる
中央建物から四方に幅50m程の大通りが伸び、大通りには大路小路が横切り区画されていた
四方の各都の入り口には住人と言う見張りが、老若男女 何気無い日常を送りながら屯ろしている
ルーン達一行が西側から都に入ると、それを見た住人の数人が中央建物に走って行った
それをさり気なく見た麻佐利が
「館には連絡が行きました、方々はこのまま館に向かわれますか?」
『ん~、どうしようかな?あ、武具を売るんだよね?付いて行っても?』
荒久真が
「は、それは構いませんが館に行かれず宜しいのですか?」
『うん、元々は都の主に会うつもりは無かったからね。後でも良いよ』
と、ルーンが言うと数人の護衛が不満気に顔を顰める
それを目敏く見た荒久真が不満顔した護衛を蹴飛ばし
「方々に対して不満など心に思ってもならぬ!」
と一喝する
「「「は、ははっ!も、申し訳も…」」」
「そうですね、今は倭の都の存亡の危機と言う心構えを徹底して下さい」
と詫びを入れる護衛に麻佐利が冷たく言い放つ
その遣り取りを、見ない様に見、聞かない様に聞いていた住人達が
ルーン達6人にスッと頭を下げササッと離れる
ルーン達は使者達の遣り取りを、何も見なかった聞かなかった風を装って
『そこの大路の路端では沢山の屋台が店を広げてますが大きな商家はありますか?』
「そこの大路は街の端ですから西の市場になります、大きな商家は大通り中程の小路の区画にあります」
「我々御用達の武具屋もそこにありますから参りましょう」
『そうですか、その武具屋に他の商家も紹介してもらいましょう』
と、荒久真を先頭に商業区へ向かう
後ろから付いて行く麻佐利は、他の使者に何やら耳打ちし使者は館へ走って行った
荒久真は1軒の間口が広い建物に入り、上がり框の横で何やら夢中で書き物をしている男に声をかける
「えいか、蘇弖よ、武具を売りに来たぞ」
ハッ!と顔を上げた蘇弖が
「これはこれは、荒久真どの。武具を売って頂けるので?」
「おう、討伐された盗賊の物だがな」
「はぁ…それは助かります、先の戦で失った武具の調達に頭を悩ませておりました所ですから」
荒久真はルーンをチラッと見て
「あー、うむ…そうだな…」
バツが悪そうだ
「では、土間の筵の上に出して頂けますか?査定致します」
おいおい、誰か来てくれと店裏に声をかけると
「はいはいただいま」
妻女だろう女と2人の少年が出てきて荒久真達が武具を広げ置くのを手伝う
『僕達も武具を持ってきてるんですが、良いですか?』
と、ルーンが声をかけると
「貴方様は誰方ですか?ここでは小売はやってませんよ?」
と、やや険呑な声で蘇弖が言うと
荒久真が慌てて
「蘇弖!黙って武具を見せてもらえ!」
その荒久真の様子に何か感じ取ったか
「これはこれは申し訳ございません。では、御持ち下さった武具を見せて戴きます」
と愛想笑いしながら
「して、武具はどちらに?」
『じゃあツァブ爺出してくれる?』
『ふむ…』
と、ツァブが中まで入ってくると
何処からかドサドサガチャガチャッと、盗賊の塒から持ってきた武具を落とす
『コレなんですけどね?』
呆気にとられた蘇弖が
「え?え?何処に持って……いやいや、拝見致します」
「え~っと、鋼剣が4本と銅剣が11本と手槍が5本、獣皮帷子が12と短甲が10に挂甲が3、兜が2と鉢金が5」
と蘇弖が算盤を手にし計算し竹簡に書き出していく
『おや?それは算盤かえ?此処でも使っておるのかえ?』
「え?ええ、渡来した商人が此方に伝えた物です。習得するにコツが要りますが、覚えてしまえば商人には欠かせません」
『そうかえ、2000年程前に遥か西域で見た事があったが此処迄伝わりおるかえ…』
ポェニクスが感慨深げに呟くのを、一瞬目を見開き聞かなかった風を装う蘇弖
「これは物が良うございました、ざっと計算しまして蓬莱銭で60000銭程になりますが宜しいですか?」
『ええ、それで結構ですよ。彼に』
と古志加を指差すと
『渡して下さい』
「はい、承知しました。では、荒久真どのの方を計算しましょうか」
「おう頼むわ、良い値を付けてくれよ?」
それを聞きながら古志加がアタフタ慌てている
「ルーンさん!ルーンさん!そんなに受け取れませんって」
『言ったでしょ?僕達には銭は要らないから全部あげるって』
「いや、そうは言ってましたが…それにしても多過ぎやしませんか!?6万ですよ!?6万銭!?この都で豪遊しても余るぐらいですよ!?」
『ほう、良いじゃないですか♪古志加さんが遊ぶなり、村に何か買うなり好きに使えば良いですよ』
焦る古志加と、取り合わないルーン
それを見る使者一行はクスクス笑う
「荒久真どの、計算出来ましたよ。ざっと30000銭になりました。少々傷や刃毀れが有りますが…まぁ荒久真どのの持ち込み物ですから」
「おう、それは有難し♪我等15人で分けても2000銭も有るな♪っと古志加さんの取り分も有るか」
「いやもう、ほんっと勘弁して下さい…」
「そうか?じゃあ済まないが3万は我等で分けても良いかな?」
「そりゃもう、ど~ぞど~ぞ!」
『古志加さんは欲が無いなぁ』
『ホンにのぅ』
『うむ、そんな事でやっていけるのか?』
と、ルーン達が笑うと
「いやいや!身の丈に合わない稼ぎは身上ば潰しますですよ!」
焦って言葉が変になっている
それを聞いた一同はまた大笑いした
『ところで蘇弖さん?』
「はい、何か御用で」
『蘇弖さんの口利きで、武具以外の産物を商う人を紹介してもらいたいのですが、なるべく公平な取り引きをする人は居ますか?』
「ふむ、一般産物を公正な…では、若く気難しいですが公明正大な者が居ります。直ぐに使いを出して来てもらいましょう」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
日御子(聖獣様達まだかな…
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