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漫遊編
蓬莱の國 拾壱
しおりを挟む蘇弖が使いを出し1時間程で20代半ばの若者を伴って帰ってきた
蘇弖が言っていた通り気難しいのか、店内に武装した人間が10人以上居るのに関わらず仏頂面で入ってきた
「なんだい?機嫌が悪そうだね?」
「そりゃ機嫌も悪くなるってものです、今日は北の市で店を広げてたのに、蘇弖さんの使いに無理矢理連れてこられたんですよ?」
「そりゃ悪い事をしたね?いや、あんたの儲け話になるかと思ってね無理を承知で連れてくる様に言ったんだよ」
「そりゃ、儲け話は嬉しいですがね?商い途中で切り上げる程なんですか?夜じゃあダメだったんですかね?」
「まあまあ弥乃麻呂さんよ、先ずは此方の方々に話しを聞いてみないかね?」
と、ルーン達へ平手で促す
「何方様で?」
警戒する様に怪訝な目でルーン達を見る
「方々、この弥乃麻呂は武具以外の色々な産物を商っており、珍しい物が有ると直ぐに飛んで行ってしまう程に腰が軽いのですよ」
「そりゃあ、私はお店を構えてませんからね。それに商人には物を置いておける蔵さえ有ればいい」
と、言い捨てる
中々に弥乃麻呂の機嫌が治らない
『へぇ、なかなか骨が有りそうな人だね』
ルーンはニコニコと笑っている
『じゃあ、どうしようか?持ってきた産物を此処で出しても良いのかな?』
『人には珍しい物らしいから、あまり大っぴらには出せないみたいなんだけどね?』
「人には?」
弥乃麻呂の目がピリッとなる
そして顎に手を当て考える
「う~ん、いくら蘇弖さんとは言え、他所様の商家で品を出して頂くのも申し訳ないですね?かと言っても露店でも難しい…」
「何が(私とは言え)なのかは聞かないでおくよ、でもウチは構わないよ?弥乃麻呂さんにはチョイチョイ世話になるからね」
「いや、それは有難い話しなんですが、私の商人としての面目が…」
「表で少し話しが聞こえてきたので、聞くとは無く聞かせてもらいました」
と、いつの間にか表通りに牛車が停まり
牛車の前に、黒髪を頭の上に結い上げ、耳環を付け、勾玉の首環をし
山吹色の単衣に白の裳を着、肩から朱と黄がジグザグに色分けされた襷を掛けた巫女風の女が居た
と、ルーン達に向き直り
「不躾で申し訳ない事ですが、蓬莱山より参られた方々でありましょうか?」
『まぁそうですね、間違いではないですよ。貴女は?』
ルーン達が向き直り普通に返事をするが、ルーン達(古志加含む)以外は片膝付いて平伏していた
「申し遅れてしまい相済みませぬ、私、倭の女王を務めます日御子と申します。御見知り置き下さりませ。」
胸元で手を交差させ、深々と頭を垂れる
『ああ、貴女が』
「はい、待ち切れずに御尊顔を拝謁しに詣りました」
『はっはっは、そうですか宜しくお願いしますね。貴女は巫女なんですか?その襷から陰陽の力が出ていますね』
「はい…元々私は日の巫女で御座います。首長に成り日御子と名も改めました」
『ふ~ん、成る程ね』
「ところで先程耳にしましたが人目を憚かる品を御持ちですとか?もし良ければ館で広げませぬか?館であれば余計な人目も付きませぬ故」
『あ~それは良いですね?場所も有りそうだ、弥乃麻呂さんは如何ですか?』
「そう日御子様が仰言って下さるならば、私に否やは有りませぬ」
蘇弖が
「わ、私も…うかが…」
「蘇弖さん、人には立ち入らないで済むならその方が良い事があります。それが命冥加に繋がる事もありますよ?」
と蘇弖の話しを遮って麻佐利が諭す
「ああそうだな、古志加さんじゃないけど分相応ってのは大事にしないと不意に危機が迫ってくるぞ?」
と荒久真も諭す
「は、はぁ…そうですか…」
「そうですね、あまり欲を出すと方々が相手では身を滅ぼすでしょう」
日御子がトドメを刺した
「では、館へ参りたいと思いますが牛車の用意は如何致しましょうか?」
『いや、街を見ながら行きたいから要らないよ』
「左様でございますか、では私も案内方々連れ立って参ります。よろしいでしょうか?」
『うん、構わないよ』
日御子の護衛も加えて総数27人になった一行はゾロゾロと館へ向かって行く
通りがかりに日御子を見た都人は片膝付いて平伏する
のんびりと歩き館の前まで来ると、正門の前に門衛と共に10歳ぐらいの少女が出迎えていた
「日御子様、お帰りなさいませ」
と頭を下げる
「はい、臺與、出迎えありがとう」
「方々、この娘は次代の日御子に成る者です、側に控えさせても宜しいでしょうか?」
『うん、構わないよ』
「普段、臺與は若年ながら陰陽寮筆頭として修行して強い道術と精密な陰陽術が使えます」
『へぇ、そりゃ将来が楽しみだね』
『ほう?人の子にしては中々じゃないかえ?』
『うむ、蓬莱山の者共に近しいな』
『そりゃマズイんじゃね?』
『ふむ、人の世で暮らしていくには厄介な事になるであろうな』
『じゃあ、後で少し細工をしてあげるよ』
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邪馬台sister’s?登場
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