12 / 39
漫遊編
蓬莱の國 拾弍
しおりを挟む西の正門を抜けると20mぐらいで西中門があり
西中門入り口で、護衛と日御子の従者は離れ侍所と車所に入っていった
そこを抜けると幾つも大きな建物が南向きに建っている
西殿から入ると式台から奥へズラリと侍従と侍女が列び平伏し
そこへ使者達も列び平伏した
「私が執務する中殿が広さも適度かと思われますが如何でしょうか?」
『うん、そこで良いよ』
侍従が2人
「では、此方へ」
と前を歩き
ルーン達の後ろから侍女が5人従う
一行は内庭園の上に渡された曲がり廊下を歩き中殿に入った
普段は執務机と置き畳がある20畳程の中殿は、綺麗に片付けられ只の板間になっている
「此方に御出し下さい、私共も見ていて宜しいでしょうか?」
『僕は構わない』
と、弥乃麻呂を見るルーン
弥乃麻呂は初めて入った場所に落ち着かないのかキョロキョロしていたが、ハッとして
「勿論、私も構いません」
やっと、それだけ言った
『じゃあ、蓬莱山の産物を出しますね』
と担いでいた頭陀袋を下ろす
「ほ、蓬莱山の産物ですと!?」
『あぁ弥乃麻呂さんには まだ言ってなかったな』
「成る程、蓬莱山の産物ならば街中の商店では憚かられますね。館まで御招きして宜しゅうございました」
「し、しかし、蓬莱山の産物とは…いったいどうやって…そもそも貴方がたは何者で…」
「弥乃麻呂さん、方々の前で言うのは中々憚かる事で御座いますが。私の勝手な推測で申し上げます」
「は、はっ!」
「此方の御方々は、天帝様と四神獣様かと愚考致します」
「は、はい?」
弥乃麻呂がポカンと口を開ける
『は~い、正解♪』
四神獣もウンウンと頷く
『蓬莱山の住人から頼まれて産物持って来たんだよ』
「は…あー…えー……ハッ!?」
弥乃麻呂が我に返った途端に飛び上がり、そのまま土下座する
「ま!ま、誠に、さ、さき、先程は御無礼な口を利き申し訳ございませんでしたっっっ!!」
顔色が青を通り越して白くなっている
その様がツボだったのかルーンが声を殺して腹を抱え
四神獣は、そっぽ向いて口に手を当て肩を震わせている
日御子、臺與、侍従侍女達も口が波線だ
なんとか立ち直ったルーンが
『ま、まぁ、プッ…商い途中で…クッ…む、無理矢理連れてこられ…ウッ…こられたんですから』
どうにもツボから抜け出せないらしい
それを見ていた古志加が助け船を出す
「ルーンさん、詳しい説明の前に、俺が村で聞いた蓬莱山の人達の事を話しましょうか?」
『そ、それは…クッ…た、助かります!じゃあお願いしますね!!』
言い切った!とばかりに板間に突っ伏した
古志加が懇切丁寧に、日御子、臺與、弥乃麻呂にルーンから聞いた蓬莱山の住人の事と産物の事、ルーン達の名前を話すと
3人と侍従侍女達は目を丸くしていた
「そうですか、西門の前で臺與に言われた事にも納得がいきました」
「はい!ルーン様の御力に縋りとう御座います!そして、蓬莱山の民ともお会いしとうございます」
「そうですね、臺與と近しいかもしれぬ人達と会うのは良い事かもしれません。出来れば御一緒させて頂ければ良いのですが…」
『あ~、え~、お恥ずかしい所を見せましたね…』
ルーンは立ち直った!が少し焦り気味だ
「いえいえ、逆に御機嫌を損ねていない事に安堵致しました」
『まぁ、取り敢えず産物を出しますね』
と、頭陀袋から玉乃枝と千代三草を全部出した
弥乃麻呂が
「は~、話には聞いた事がございましたが、コレは何ともはや素晴らしく美しい物ですね」
と、玉乃枝を手に取りウットリすると
日御子、臺與、侍女も同じ顔をしている
次に千代三草を手に取り
「コレが不老不死の…しかし、私には価値が…う~ん…」
日御子が
「あの、もし宜しければ少し煎じても宜しゅう御座いますか?」
『あぁ、構わないよ。その方が価値も解り易い』
「では、誰か薬研、乳鉢と乳棒、土鍋、火鉢、水を持って来て下さい」
「「「「はっ!」」」」
千代三草を等分に細かく粉にして水に入れ
ゆっくりと煎じていく
すると中殿じゅうに得も言われぬ芳香が広がった
「はぁ…遥か崑崙の桃仙峡に居るかの様ですね…」
日御子がポツリと呟くと
ポェニクスが微妙な顔をした
それを見たルーンと三獣がクスリと笑う
煎じ終わると、その場のルーン達以外全員が味わう
「ほぅ~大変香りが良く美味しいものですねぇ……えっ?」
日御子がフニャっと弛緩した顔をギョッとさせる
「これは!?肌に張りが?昔の荒祈祷の時に負った傷も消えた!?」
弥乃麻呂は
「私は行商で傷めた腰の痛みが無くなりました…」
古志加は
「旅の疲れがさっぱり無くなっちまった…」
臺與は顔が赤くなる
「身体が熱い、何か力が溢れそうです!」
『あ、それは危ないな』
と、ルーンが臺與の前に座り、臺與の額に指を当てる
指が当てられた所は一瞬金色に光り
光が収まると同時に臺與の上気した顔も落ち着いた
『これで大丈夫、これから先に力が溢れる事があっても異形になる事は無いよ』
「あ、有難き幸せ!」
と拝する
『でも、余りにも無理に力を出すと、額に眼が出て僕の神通力が出ちゃうから気をつけるんだよ?』
『神通力が出ちゃうと人の世には住めなくなるからね?』
「はい、心します!」
『うん』
ニッコリ笑う
『で、どう?弥乃麻呂さん、千代三草の価値は算段つきそう?』
「はい、これはトンデモナイ代物ですね。ですが、間違いなく庶民の買える物ではありません」
『それはそれで良いけど、需要はあるのかな?』
「それはもう、幾ら出しても惜しく無いと言う貴人や荘園領主は大勢出てくるでしょうし外つ国からも買いに来るでしょう」
と、弥乃麻呂は断言した
『うん、じゃあ一緒に蓬莱山へ行きますか?』
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ゴゴゴゴゴゴ…
臺與ちゃん覚醒!
1
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる