黄龍漫遊記

コロ

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漫遊編

蓬莱の國 拾漆

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逆茂木の内側から村の外を見張っていた兵が、村に駆けてくる集団に気付いて
「おい!南側からなんか来てるぞ!」
と村内に大声を上げる
「ざっと50ぐらい!真っ直ぐ突っ込んでくる!」
「速い!警戒しろ!」
「門を守れ!」
他の兵も外を見て口々に警戒を促す
「ん?あれは人か?」
「魔物か?」
「頭にツノがある!魔物だ!」

「魔物だと?例え魔物でも1000の兵相手に何が出来る!」
「弓持ちは門に向かって構えろ!」
「その後ろに槍持ち!」
100人長達が号令をかける

「くそ、門が厄介だな!逆茂木を越えて行くぞ!」
「「「「「おお!」」」」」
門に向かって駆けていた鬼達はバラバラに逆茂木の方に走りだし
脚を緩める事なく逆茂木に突進し飛び越えた

「なに!?飛び越えてきた!?」
「弓!構え直せ!」
「無理です!味方を射ります!」
「槍!突き入れろ!」
「無理だ!味方が邪魔だ!」
1000の兵に対して50は少な過ぎた
乱入されれば剣で対応するしかなかった

「行く手だけ蹴散らせ!中央まで行け!」
さかき鎌鼬かまいたちやいばを飛ばし、目の前の兵の首を落とす
「おらっ!」
茨木いばらきが手刀で兵の顔を貫く
「せーのっ!」
世紀よきが無数の石飛礫いしつぶてを10人ぐらいの兵にぶつけると甲冑の無い部分が弾け飛ぶ
他の鬼達もそれぞれの道術で兵を蹴散らすが、兵の数が多過ぎて前に進めない
「ええぃっ!邪魔よ!」
木の枝をムチの様に振り回す紫吹しぶき
おさ!兵が多くて辿り着けないわ!どうするの!」
と叫ぶが榊も余裕が無かった
「もう少しだ!なんとか、なんとか突破するしかない!」
榊が数人の兵を薙ぎ倒しグルリと周りを見る
「クソッ!さすがに兵が多い…」
が、兵達が自分達だけ見て村人は放ったらかしになっているのに気付いた
「皆!南側に引きながら集まるぞ!」
鬼達はジワジワと集まりはじめ
釣られて兵達も鬼達をジワジワと包囲していく

古万こま!今の内に皆を北側から連れ出せ!」
「村長!?なに言って…」
「判らんか?蓬莱山の鬼達が加勢に来てくれたんじゃ!早ようせんか!ルーン様が差配さはいしてくれたんだろう」
「鬼!?マジか……村長はどうすんだよ!」
「儂は後から追うから、早よう女子供から逃がせ!」
「あ、あぁ…」
古万が後ろの村人達に向き直り
「年寄りと女子供は北側から林に向かえ!男衆はその後ろから守りながら行け!家に戻るヒマは無いから途中で武器になりそうな物も拾って行け!」

阿多あださん、村人たちが逃げます!」
「なに?クソが!まぁいい後回しだ!あの化け物共を先に片付けるぞ!しかし、何であんな化け物共が急に攻めてきた?何処から来た?」
「阿多さん、先ずは化け物を抑え込みましょう。これ以上、兵を損ねるのも困るでしょう?我々も出て宜しいですかな?」
「あぁ道士の方々か、頼みます」
「ええ、では先ずは風で抑え込むぞ!良いか?」
「は!」
5人の道士が兵達の背後で印を結ぶ
ゴウッと鬼達に風が押し寄せる
「ぶあっ!」「ぐっ!」「うわっ!?」
「兵の中に道術遣いが居るぞ!」
「こっちも風を纏え!余力があれば兵に火を放て!」

鬼と兵の一進一退の攻防が続き
鬼達にも手負いが増えてくる
「イツッ!?」
茨木が左手で剣を受けるが少し斬られた
「クソ、金剛力が弱くなってきた!長、そろそろ危なくなって来たぞ!どうする?」
「…全開で道術を使っているからな…村人たちは見えるか?」
「いや、北側から出て行ったみたいだ」

微かに聞こえたのか阿多が
「化け物!村人が気になるのか?何の恨みがあって襲ってきた!」
「「「「えっ?」」」」
一瞬、鬼達はほう
「おう!積もり積もった恨みがある!村人たちの所へ行かせろ!」
榊が返す

「我々も少し疲れましたし兵もだいぶ減りました、ここは通して時間を稼ぎましょう」
「なるほど、こんな事に道士様達を消耗させるのは得策ではありませんな」
「ええ、化け物が村人を襲って消耗したら一網打尽にしましょう」

「ならば、お前たちは村人を追え!道を開けてやる」
「そら、北側の道を開けろ!」
兵達がが剣を構えながら渋々道を開ける

「ふん、すまんな」
榊がニヤリと笑い、鬼達を引き連れ駆け出した

北側の門を駆け抜けると村長がヨタヨタと逃げていた
鬼が2人で走りながら両側から村長を抱え上げそのまま駆ける
「村長か?遅くなって済まなかった」
榊が声をかけると
「ルーン様の遣いで来られたのか?わざわざ来てくれてかたじけない」
「構わない、儂は鬼達の長〔榊〕だ。もう暫くしたらルーン様も御帰りになるだろうから心配ないぞ」
「ありがたい事で…」
「村人で手傷を負ったのは村長だけか?」
「ええ、儂だけで済みました…」
「村長には悪いが不幸中の幸いだったな」
「ええ、まことに…あの林に村人たちが居るはずですから急ぎ合流しましょう」

鬼達が林へ飛び込むと村人たちがひと塊りになり藪に身を潜めていた
村人は異形の鬼を見て一様に怯えるが
「この方々はルーン様の遣いで蓬莱山より来て下さった、暫く林で耐えるぞ」
村長が村人を落ち着かせる
「でもよぉ、耐えるったってどのくらいだ?村長」
榊が代わりに答える
「儂は鬼の長の榊だ、ルーン様には遣いを走らせたから そう遅くならない内に来られるだろう」

阿多が林の方を見ながら
「何か様子がおかしいな?村長も助けた様に見えたが?」
「さすがな化け物が人を助けないでしょう?」
「うむ、そうだとは思うが…」
「取り敢えず手負いを残して林へ行って見ますか?」
「動ける兵は何人ぐらい居るのだ?」
「万全なのは半分ほどで残り半分は何かしら手傷を負うか死にました」
「うーむ、500ぐらいか…仕方ない、500で行くぞ!」
「はっ!」


    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~

さすが年末、バタバタと慌たゞしいですね






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