19 / 39
漫遊編
蓬莱の國 拾玖
しおりを挟む「やばい…」「鳳凰が人に…」「震えが止まらない…」「どうすりゃ…」「ううう…」
『ねぇ、誰が村長を斬ったの?』
と、ルーンが一歩足を出すと
兵達も震える足で一歩下がる
しかし、兵達の目は阿多を見ていた
『君がやったのかな?』
「い、いや、俺は…」
言った瞬間、阿多の左手の肘から先がブチブチッと音がし千切れる
「え?……あ”あ”あ”ぁぁぁ……痛いイタイいたい!!!」
『そんなに痛いのか?』
いつの間にか阿多の左横にフーがいて
その手には血が滴る阿多の左手を持っていた
「うわあぁぁぁー」
左手を押さえて飛び退く
『お前が村長の手を千切ったんだろう?』
フーが阿多の左手をガブリと噛み、ペッと吐き出して
『まっずい肉だなぁ、おい』
ポイッと捨てた左手が砂のようにサラサラになり風に舞った
その様子を目を剥いて見た阿多が後ろを向き、村の方へ脱兎の如く駆け出した
「ど、道士!道士!化け物だ!化け物が出たぞ!出番だ!」
村まで数十mの場所まで戻って来た所で、村から駆け出して来た道士と兵に合流した
「お主は誰に向かって命令していた?其れにその手はどうした?」
道士筆頭の行人が苛立ちながら尋ねる
「そんなことを言ってる場合ではないわ!あちらに本当の化け物が出た!」
と後ろを指差したが500の兵達も逃げてきていて林の方は見えない
「いったいお主は何を言っておるのか、錯乱しておるのか?」
「もういい!ならば前に出てみろ!お前ら退け、どけ!」
阿多が逃げてくる兵達を左右に散らせると、ようやくルーン達5人が見え、離れた林の方には鬼と村人合わせて100人ほどが見えた
「普通の人に見えるが…たった5人に何を怯えておる?」
「行人どの、取り敢えず道術で縛ってみましょうか」
道士の1人が、こちらにトコトコ歩いてくるルーン達を見ながら言うと
「うむ、たった5人に過剰やもしれぬが皆でやってみよう」
と5人の道士が印を組み術を飛ばすと、ルーン達の直ぐ目の前でパーンと何かが弾け
ルーン達がピタリと歩みを止めた
「なんだ?大した事は無いではないか?」
道士達がヘラヘラ笑う
『彼らは道士かな?何がしたいんだろう?』
『ふむ、何やら術を飛ばして我等を縛しようとでもしたか』
『何やらヘラヘラ笑っておるの?』
『儂等が止まって縛したとでも思っておるのじゃろう』
『はん!俺等の前で弾けて消えたのにな、めでたい奴等だ』
『まあいいや、行こう』
再びスタスタ歩きだす
「なに!?縛しておらんのか!」
「もう一度!」
「次は古の龍縛術を使うぞ!」
「「「「はっ!」」」」
さっきより力を込めて印を組むと色とりどりの光が飛ぶ
すると再びルーン達の前でパーーンと弾けたが
今度はルーン達も歩みを止めない
「な!?その昔に龍をも縛したと謂れある術だぞ!」
『ほう、そうであったか。成る程、どうりで少々嫌な気分になったぞ』
声が届く距離まで来たロンが答えた
「り、龍より強い人などいるはずも…」
『ふん、見抜けぬか。只人では仕方ないな』
「わ、我らが只人だと…」
『やっぱり人の世に来てたのか、人に少し聞かなきゃね?ロン兄』
『うむ、しかし先ずは村を取り戻してからだな』
『まぁそうだね、まだ村長の手があるといいけど』
「いかん!奴等には縛が効かん!村まで取って返し門を閉じるぞ!」
道士達も兵達の後ろから村に駆け出した
門を閉めた兵達が、門の内側と矢倉から矢を構え
道士の1人も矢倉に登り、残り4人は槍を持った兵の後ろで術を放つ用意をする
門の前まで来たルーン達が歩みを止め
『門ぐらいなら良いかな?』
『そうじゃな?しかし、あの上から撃ってくるのは鬱陶しいの』
『うん、そうだね』
ルーン達が門の前に着いてから、次々と矢と術が飛んで来ているが
ルーン達に当たる事なく何処かへ逸れていく
『では、妾が消そう』
ポェニクスが小さな火の玉を矢倉に放つと、矢倉が
一瞬で燃え上がり兵と道士をも燃やした
「ギャアアァァァ…」
「熱いアツイあつい…」
燃え尽きた矢倉から落ちてきた兵と道士が転げまわる
見ていた道士が術で水をかけるが火は消えない
「なんだこの火は!?」
「全く消えんぞ!?」
『ホホホホホ…妾の火が人如きに消せる訳もなかろう』
門の外から聞こえてきたと同時に門が弾け飛び近くの兵を圧し潰し
門があった場所にはルーンが門を押す様に片手を胸前に上げて立っていた
『そうだね、ポェ姐は仙人すら燃やすからね』
ルーンがイタズラっぽく笑う
『さぁ、村は壊したくないから後は人だけ殺していこうか』
とルーンが右手を一閃すると前衛の槍兵達がものも言わず、バラバラになり原型を留めず地面に文字通り落ちた
それを目の前で見た兵達は唖然としている
『みんなも、こんな感じで半分くらい減らして』
『あ、あと、左手千切った人と術を使う人は残しといてね』
『絶対に建物を壊しちゃダメだからね!』
『承知した』
四神獣達は無造作にルーンから放射状に歩き出した
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ギリギリ年内
1
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる