25番目の闇 ―髪を断つ者―

S.H.L

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あとがき

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本作『25番目の闇 ―髪を断つ者―』を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

 「25」という数字は、ただの数でありながら、物語の中では「境界」「禁忌」「過剰」「やり直し」を象徴する数として描きました。
 25歩数えてゼロに戻ること。25日ごとに髪を断つこと。25番目の門を前に選択すること。
 それらはすべて、「数える」という行為が人間の心を律し、また縛ることを示しています。

 セラが選んだのは、25という呪いを「ゼロ」へ変換する道でした。
 ゼロとは「無」ではなく、「始まり」です。
 髪を断つ行為は、彼女が過去に縛られた自分をほどき、新たに自分を編み直すための象徴でした。

 長髪からショートへ、スポーツ刈りへ、坊主へ、そしてスキンヘッドへ――。
 その過程でセラは仲間の影をひとつずつ解き、失った声を「静けさ」へと還しました。
 髪が落ちる情景は、単なる外見の変化ではなく、心を削ぎ、削ぎ落とす心理的儀式でもあります。

 私はこの作品で「髪を断つことが、人の内面とどう結びつくか」を、ファンタジーの文脈で描いてみたいと考えました。
 そして「25」というキーワードを通して、人は数や習慣や儀式にどれほど縛られながらも、その中に新しい道を見出すことができるのか――そんな問いを物語に込めました。

 エピローグのセラは、もう25に怯えていません。
 彼女はゼロを選び、ゼロから歩き出す。
 それは「過去に決別する勇気」と同時に「再生への第一歩」です。

 読者の皆さまの心の中にも、それぞれの「25」があるかもしれません。
 その数を越え、ゼロを選び直す勇気を、セラの物語から少しでも感じ取っていただけたら幸いです。

 最後に、ここまでお付き合いくださった読者の方に心から感謝を。
 この物語の静けさが、あなたの心にもひとしずくの光を落とすことを願って。

――2025年夏 作者
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