夏の決意

S.H.L

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五月の終わり、高校最後の夏が近づいてきた。遥は校庭の隅に立ち、汗を拭いながらバスケットボールのゴールを見つめていた。彼女は女子バスケットボール部のキャプテンであり、今年こそ全国大会への出場を果たすために、部員たちを引っ張ってきた。

遥は深く息を吸い込み、周囲を見渡した。部員たちはそれぞれの場所で準備運動をしている。副キャプテンの千夏(ちなつ)は冷静な目で練習メニューを確認している。彼女は遥の親友であり、いつも冷静沈着でチームの頭脳的存在だった。

「千夏、今日の練習メニュー、確認した?」遥は声を掛けた。

「もちろん。今日は特にディフェンスに力を入れるつもりよ。最近、そこが弱点になってるから。」千夏はメモを見ながら答えた。

もう一人の重要なメンバー、優菜(ゆうな)は、フィールドの端でストレッチをしていた。彼女はチームのエースであり、攻撃の要だった。

「優菜、今日は調子どう?」遥は優菜に近づいた。

「まあまあかな。でも、今日の練習試合、勝ちたいよね。」優菜は笑顔を見せた。

午後の練習試合が始まった。相手は強豪校であり、遥たちは必死に食らいついた。しかし、試合が進むにつれて、相手のプレッシャーに押され始めた。

「もっとディフェンスをしっかり!」遥は声を張り上げたが、チームの動きは乱れていた。

「やばい、相手の攻撃が止まらない…」千夏が焦りを見せた。

「みんな、落ち着いて!」優菜も声を掛けるが、相手の連続得点により、チームの士気はどんどん低下していった。

試合終了のホイッスルが鳴り響いたとき、スコアボードには惨敗を示す数字が映し出されていた。部員たちは肩を落とし、フィールドに座り込んでしまった。

「こんなはずじゃなかった…」遥はボールを握りしめ、悔しさを滲ませた。

「私たち、何が足りなかったんだろう?」優菜が呟いた。

「もっと練習するしかないよ…でも、どうしたらいいんだろう…」千夏も同じく落胆していた。

その日の練習が終わり、部室に戻った部員たちは無言だった。遥は皆の表情を見て、心が痛んだ。彼女は自分がキャプテンとして、もっと何かできたはずだと思い悩んでいた。

「今日は仕方なかったよ。でも、次は勝てるように頑張ろう。」遥は無理に笑顔を作りながら、部員たちに声を掛けた。

「本当に次、勝てるのかな…」一人の部員がぼそっと呟いた。その言葉に遥は胸が締め付けられた。

「私たち、全国大会に出るって言ってたのに…こんなじゃ無理だよね。」別の部員も続けた。

「そんなこと言わないで!まだ終わってないんだから!」千夏が声を上げたが、その言葉にも力がなかった。

その日、練習試合の敗北から数日が経ち、部員たちの間には未だに重い空気が漂っていた。放課後、遥は部室に向かう途中で顧問の先生に呼び止められた。

「遥、ちょっと話があるんだ。少し時間をくれないか?」顧問の先生の表情は険しく、何か重大な話があることを示していた。

「はい、もちろんです。どうしたんですか?」遥は緊張しながら答えた。

先生は深いため息をつき、話し始めた。「実は、部の資金が不足していて、このままでは活動を続けることが難しいんだ。」

「え…それって、どういうことですか?」遥の心臓はドキドキと早鐘を打ち始めた。

「スポンサーの一部が支援を打ち切ることになったんだ。これ以上の練習や試合への参加は困難になるかもしれない。」先生の言葉は重く、遥の胸に突き刺さった。

「そんな…でも、私たちは全国大会を目指しているんです。このままじゃ、夢が途絶えてしまう…」遥の目には涙が浮かんでいた。

「わかっている。私も何とかしたいと思っているが、現実は厳しいんだ。」先生は申し訳なさそうに言った。

その日の練習後、遥は部員たちを集め、先生から聞いた話を伝えた。部室内には緊張が走り、みんなの顔には不安が浮かんでいた。

「みんな、聞いて欲しい。顧問の先生から話があって、私たちの部が存続の危機にあることを知った。」遥は静かに言った。

「え、それってどういうこと?活動ができなくなるの?」一人の部員が驚いた顔で尋ねた。

「そう。資金が不足していて、このままじゃ練習も試合もできなくなるかもしれない。」遥の声は震えていた。

「そんな…私たち、全国大会を目指して頑張ってきたのに…」優菜は涙をこぼしながら言った。

「どうすればいいの?」千夏も不安げに尋ねた。

「正直、私もわからない。でも、諦めたくないんだ。何か方法があるはずだから、みんなで考えよう。」遥は必死に自分を奮い立たせていた。

「私たちで何かできることはないの?」別の部員が尋ねた。

「そうだな、まずは資金集めのために何かイベントを企画するのも一つの手かもしれない。それから、スポンサーを見つけるために地域の企業に協力をお願いすることも考えよう。」千夏が提案した。

「それなら、私は地域の商店街に行って、協力をお願いしてみるよ。」優菜が名乗り出た。

「私はイベントの企画を考える。文化祭が近いから、その時にバザーやチャリティーイベントを開催するのもいいかもしれない。」他の部員も積極的に意見を出し始めた。

その夜、遥は自宅で一人、深く考え込んでいた。何か象徴的な行動を起こして、チームの士気を高める必要があると感じていた。

「私がもっと強くならなきゃ…みんなを引っ張っていけるように…」遥は決意を固め、行動を起こすことを決めた。

翌日の放課後、遥は部室に全員を集めた。部員たちは何か特別なことが起こるのではないかと期待と不安の入り混じった表情で遥を見つめていた。

「みんな、聞いて欲しい。私はキャプテンとして、私たちがもっと一つになる

ために、まず私が決意を示さなければならないと思った。」遥は強い意志を込めて話し始めた。

「昨日も言ったけど、私たちの夢を諦めたくない。だから、今日はその決意を示すために、私が坊主頭になる。」

その言葉に部員たちは驚きの声を上げた。

「遥先輩、そんなことしなくても…」優菜が涙ぐみながら言った。

「いや、これが私の決意を示すための方法なんだ。みんなが私に続いてくれるなら、これ以上嬉しいことはない。」遥は優しく微笑んだ。

千夏は一歩前に出て、遥の肩に手を置いた。「遥、私もあなたの決意を信じるよ。でも、無理はしないで。」

遥は頷き、部室の隅に用意された椅子に座った。顧問の先生がバリカンを手に取り、遥の頭に近づいた。

「それでは始めるよ。準備はいいかい?」先生が尋ねた。

「はい、お願いします。」遥は目を閉じて深呼吸した。

バリカンの音が響き渡り、最初の髪が切り落とされる。部員たちは静まり返り、その光景を見守っていた。

「遥先輩、本当に…すごいです。」一人の部員が呟いた。

「これで私たちももっと頑張らなきゃって思えるよ。」別の部員が涙を拭いながら言った。

バリカンが動くたびに、遥の長い髪が次々と床に落ちていく。遥は自分の中で新たな決意を固めながら、静かにその瞬間を受け入れていた。

「よし、終わったよ。」顧問の先生がバリカンを止めて言った。

遥は鏡を見て、自分の坊主頭を確認した。そこには決意と覚悟を持った自分の新たな姿が映っていた。

「これが私の決意です。みんな、一緒に頑張りましょう!」遥は力強く宣言した。

「はい、頑張りましょう!」部員たちも同じように声を上げ、再び団結した気持ちで練習に臨んだ。

すると、優菜が一歩前に出て、決意を固めた表情で言った。「私も、遥先輩の決意に応えたい。私も坊主頭にします。」

部員たちは驚きの声を上げた。

「優菜、本気なの?」千夏が驚いて尋ねた。

「はい、私も遥先輩と一緒に強くなりたいんです。」優菜は力強く頷いた。

顧問の先生は再びバリカンを手に取り、優菜の髪を剃り始めた。バリカンの音が再び響き、優菜の長い髪が床に落ちていく。優菜の表情には決意と覚悟が見えた。

「優菜、本当にありがとう。私たち、一緒に頑張ろうね。」遥は涙を浮かべながら言った。

「もちろんです、遥先輩。」優菜も涙を浮かべながら答えた。

続いて、千夏が静かに立ち上がり、言った。「私も、二人の決意に応えたい。私も坊主頭にするよ。」

部員たちは再び驚きの声を上げたが、千夏の決意を見て静かに頷いた。千夏の髪もまた、バリカンで剃り落とされ、床に積み重なっていった。

「千夏、ありがとう。本当にありがとう。」遥は千夏の肩に手を置いて感謝の気持ちを伝えた。

「私たち、これで本当に一つになれるね。」千夏は微笑んで答えた。

他の部員たちも次々に坊主頭にする決意を表明し、バリカンの音が部室に響き続けた。全員が坊主頭になったとき、彼女たちは新たな決意とともに団結し、再び練習に励む準備を整えた。

「これからも一緒に頑張ろう!」遥は力強く宣言した。

「はい、頑張りましょう!」部員たちも同じように声を上げ、再び団結した気持ちで練習に臨んだ。

遥たち全員が坊主頭になったことで、バスケットボール部の決意と団結力は新たな段階に達した。彼女たちの行動は瞬く間に校内で話題となり、新聞部が取材に訪れるほどだった。顧問の先生も彼女たちの決意に感銘を受け、全力でサポートすることを決意した。

練習が終わり、部員たちは全員で部室を出た。校庭を通り抜けるとき、夕焼けが彼女たちの坊主頭を赤く染めていた。誰もが一日の出来事を噛み締めながら、無言で歩いていたが、その心には一体感と達成感が満ちていた。

「なんだか風が直接当たる感じ、すごく新鮮だね。」優菜が笑いながら言った。

「うん、すごく不思議な感じ。でも、これで私たちが一つになった証だね。」千夏が微笑んで答えた。

遥はその光景を見て、心の中で「本当にこれでよかったんだ」と再確認していた。

「皆、お疲れさま。今日はゆっくり休んで、また明日から頑張ろうね。」遥が声を掛けると、全員が頷いた。

「ありがとう、遥先輩。今日は本当にいい日だったよ。」一人の部員が感謝の言葉を述べた。

各自の家に向かうため、途中で別れたが、皆の心には強い絆が残っていた。

遥が家に帰ると、家族がリビングでくつろいでいた。母親が振り返って、遥の姿を見て驚愕の表情を浮かべた。

「遥、どうしたの、その髪!?」母親が驚きの声を上げた。

「ちょっと色々あってね、坊主にしたんだ。」遥は少し照れくさそうに頭を撫でながら答えた。

父親が新聞を置き、じっと遥を見つめた。「何かあったのか?学校で問題があったのか?」

「ううん、そうじゃないの。ただ、私たちバスケットボール部が全国大会を目指すために、一致団結する必要があったんだ。だから、まず私が行動を示すために坊主にしたの。」

母親は少し考え込みながら、「そう…あなたが決意を持ってやったことなら、私たちも応援するわ。でも、正直驚いたわね。」と言った。

父親は深く頷きながら、「そうか、お前がそんなに決意を固めたなら、俺たちも応援するよ。頑張れ、遥。」と力強く言った。

「ありがとう、お父さん、お母さん。私、絶対に全国大会に行くから。」遥は両親に感謝の気持ちを伝えた。

同じように、千夏も家に帰ると、妹が驚いた顔で彼女を見つめていた。

「お姉ちゃん、どうしたの?髪が全部なくなっちゃってる!」妹が目を丸くして言った。

「驚かせちゃったね。でも、これは私たちが強くなるための決意の証なんだよ。」千夏は妹の頭を撫でながら微笑んだ。

母親がキッチンから出てきて、「千夏、何があったの?」と心配そうに尋ねた。

「大丈夫だよ、お母さん。チームのみんなで決めたことなの。私たち、全国大会を目指してるんだ。」千夏は誇らしげに答えた。

母親は娘の強い決意を感じ取り、静かに頷いた。「そう、あなたが決めたことなら応援するわ。頑張りなさい。」

千夏は母親に感謝し、心の中で「絶対に頑張る」と再び決意を固めた。

優菜も家に帰ると、両親が驚いた顔で彼女を迎えた。

「優菜、何があったの?」母親が心配そうに尋ねた。

「実は、私たち全員で坊主にしたの。チームのために、みんなで決意を示すためにね。」優菜は少し照れくさそうに説明した。

父親が微笑みながら、「それだけ強い気持ちがあるなら、きっと成功するよ。頑張れ、優菜。」と言った。

母親も微笑みを浮かべて、「あなたの決意を尊重するわ。全力で応援するからね。」と励ました。

優菜は感謝の気持ちを込めて、「ありがとう。私、絶対に頑張るから。」と両親に答えた。

その夜、部員たちはそれぞれの家で家族の応援を受け、新たな決意とともに眠りについた。彼女たちの心には、家族の温かい言葉とともに、一層の決意と団結の力が刻まれていた。

翌日、練習のために体育館に集まった部員たちの表情は、決意と希望に満ちていた。坊主頭の彼女たちは、まるで新しい自分たちを迎えるかのようにお互いを見つめ合った。

「さあ、みんな。これからが本当の勝負だよ。私たちの目標は全国大会だから、今日からさらに気合を入れていこう!」遥が力強く宣言すると、部員たちから一斉に元気な返事が返ってきた。

「はい、頑張りましょう!」

練習が始まり、彼女たちは一心不乱に汗を流した。ディフェンスの強化、シュート練習、チームワークの向上など、全てのメニューに全力で取り組んだ。彼女たちの動きはこれまで以上に鋭く、一つ一つのプレーに対する集中力が高まっていた。

「みんな、本当に素晴らしいよ。この調子で全国大会まで突っ走ろう!」顧問の先生も声をかけ、彼女たちを励ました。

坊主頭になった彼女たちの姿は、地元メディアでも大きく取り上げられた。

全員が坊主頭になった翌日、彼女たちの行動は校内で大きな話題となり、そのニュースは瞬く間に広がった。昼休み、部員たちは校庭で一緒に昼食を取っていたが、その時、新聞部のメンバーが近づいてきた。

「遥さん、少しお話を伺ってもいいですか?」新聞部の部長が丁寧に尋ねた。

「もちろん、何でも聞いてください。」遥は笑顔で応じた。

新聞部の取材を受ける中で、遥は坊主頭にした理由とチームの決意について詳しく話した。

「私たちは全国大会を目指していますが、資金不足という問題に直面しました。そこで、チーム全員が一つになって頑張るために、まず私が坊主頭になることを決意しました。その後、他の部員たちも同じように決意を示してくれました。」

新聞部のメンバーはその話に感動し、熱心にメモを取っていた。その日の放課後、新聞部が発行する校内新聞には、遥たちバスケットボール部の特集記事が大きく掲載された。

「女子バスケットボール部、全員が坊主頭に!全国大会への熱い決意を示す」

その記事がきっかけで、彼女たちの話はさらに広がり、地元のテレビ局や新聞社も取材に訪れるようになった。

坊主になった数日後、地元のテレビ局が取材に来た。カメラマンとリポーターが部室に訪れ、インタビューが始まった。

「今日は、全国大会を目指して頑張る女子バスケットボール部の皆さんにお話を伺います。遥さん、この決意を示すために全員で坊主頭にしたと聞きましたが、その経緯を教えてください。」

遥はカメラに向かって話し始めた。「はい、私たちは資金不足という問題に直面し、チームの士気を高めるためにこの決断をしました。私たちが一つになることで、もっと強くなれると信じています。」

リポーターは感銘を受けた様子で質問を続けた。「その行動は大きな反響を呼び、多くの支援の声が寄せられていると聞きましたが、実際にどのような支援がありましたか?」

「はい、地元の企業や商店街からの寄付が集まり、練習や試合に必要な資金が少しずつ集まっています。また、多くの人々が応援のメッセージを送ってくれています。それが私たちの力になっています。」遥は感謝の気持ちを込めて答えた。

リポーターはさらに質問を続けた。「坊主頭にすることで、何か変化はありましたか?」

遥は少し考えてから答えた。「はい、正直に言うと最初はとても不安でした。でも、髪を剃り落とした瞬間、何かが吹っ切れた感じがしました。自分が強くなったと感じるし、仲間たちとの絆がより一層深まった気がします。」

続いて優菜がインタビューに答えた。「坊主頭にしてから、毎朝鏡を見るたびに『今日も頑張ろう』って気持ちが湧いてきます。最初は驚かれたけど、今ではみんなから応援の言葉をもらえるので、とても励みになっています。」

千夏もインタビューに答えた。「私たちが坊主頭になったことで、周りの目が気になることもありましたが、それ以上に自分たちの決意が揺るがないものだと感じられるようになりました。チーム全体のモチベーションも上がっています。」

リポーターは感動の表情を浮かべながら締めくくった。「本当に素晴らしい決意ですね。これからも頑張ってください。応援しています。」

取材が終わると、テレビ局のスタッフは「放送は今週末の夕方ニュースで取り上げます」と伝えた。

その週末、テレビのニュースで彼女たちの話が放送されると、さらに多くの人々が彼女たちの勇気と決意に感動し、支援の輪が広がった。地域の掲示板やSNSには「頑張れ!」「応援してるよ!」といったメッセージが次々と寄せられた。

彼女たちの話題は地方新聞にも掲載され、「決意の坊主頭、女子バスケットボール部の挑戦」と題された記事が大きく取り上げられた。

遥たちはその反響を受けて一層の決意を固め、毎日の練習に励んだ。彼女たちの姿は、地域の希望と勇気の象徴となり、多くの人々に感動を与え続けた。その結果、多くの企業や個人から支援の申し出が相次ぎ、部の資金問題は次第に解消されていった。地域の人々も彼女たちの決意に感動し、応援の声を送るようになった。

「私たちも支援するよ。頑張って全国大会に行ってね!」地元の商店街の人々が訪れ、寄付を申し出てくれた。

「ありがとうございます。皆さんの応援を力に変えて、必ず全国大会に出場します!」遥は感謝の気持ちを込めて答えた。

いよいよ全国大会の予選が始まった。遥たちはこれまでの練習の成果を全て出し切る覚悟でコートに立った。彼女たちのプレーはまさに一心同体、全員が一つの目標に向かって全力で戦っていた。

「優菜、ナイスシュート!」千夏が叫ぶと、優菜は笑顔で親指を立てた。

「まだまだ行くよ!次のディフェンスも全力で!」遥が声を上げると、チーム全体がそれに応えるように動き出した。

予選の試合は続き、彼女たちは持ち前の団結力と努力で次々と勝利を収めた。ついに、決勝戦の日がやってきた。

決勝戦の相手は、これまでに何度も全国大会に出場している強豪校だった。遥たちはその強さをよく知っていたが、彼女たちの決意は揺るがなかった。

「みんな、今日は私たちの全てを出し切ろう。勝つためにここまで頑張ってきたんだから、最後まで諦めないで!」遥がチームを鼓舞すると、全員が力強く頷いた。

試合が始まり、激しい攻防が繰り広げられた。相手チームの攻撃に対して、遥たちは必死にディ

フェンスを固め、シュートのチャンスを狙った。

「遥、パス!」千夏が声をかけると、遥は素早くボールを渡した。千夏はそのままゴールを狙い、見事にシュートを決めた。

「よし、ナイスシュート!」優菜が駆け寄ってハイタッチを交わした。

試合は白熱し、得点が交互に入り乱れる展開が続いた。最後の数分間、遥たちは全力で走り、全てのプレーに集中した。

「あと少し、頑張ろう!」遥が声を上げると、全員がその言葉に応えた。

試合終了のホイッスルが鳴り響いた。スコアボードには接戦の結果が映し出されていた。遥たちは惜しくも準優勝となったが、その顔には満足感と達成感が溢れていた。

「私たち、やりきったね。」千夏が涙を浮かべながら言った。

「うん、本当に最高のチームだよ。」優菜も涙を拭いながら答えた。

「みんな、ありがとう。私たちの努力は無駄じゃなかった。本当に誇りに思うよ。」遥は感謝の気持ちを込めて仲間たちに言った。

全国大会が終わり、遥たちは再び髪を伸ばし始めた。彼女たちの坊主頭は、チームにとって一つの象徴であり、決意の証だった。そして、その夏の経験は、彼女たちにとって一生の宝物となった。

「これからも、私たちの絆は変わらないよね。」千夏が微笑んで言った。

「もちろん、私たちは永遠の仲間だよ。」優菜が力強く答えた。

遥は新たな夢を抱き、次のステージへと歩み始めた。彼女の勇気と決意は、いつまでも仲間たちの心に残り続けるだろう。

全国大会が終了してから1ヶ月が経ち、遥たちバスケットボール部の部員たちは、引退試合を前に最後の練習に励んでいた。全国大会の余韻が冷めやらぬ中、彼女たちは新たな決意を胸に秘めていた。

「みんな、最後の試合だから全力で楽しもうね。」遥が笑顔で声を掛けた。

「そうだね。これが本当に最後だから、悔いのないようにしよう。」千夏も頷いた。

「でも、その前に、また坊主にするんだよね?」優菜が少し笑いながら言った。

「うん、そうだよ。最後の記念として、全員で五厘坊主にしようって決めたんだから。」遥は強い決意を込めて答えた。

部員たちは部室に集まり、バリカンを手に取った。

「よし、始めようか。」遥が言うと、部員たちは互いに笑顔を見せながら一列に並んだ。

最初にバリカンを手に取ったのは遥だった。彼女は千夏に近づき、軽く息を吸い込んだ。

「じゃあ、行くよ。」遥はバリカンを千夏の頭に当て、丁寧に動かし始めた。バリカンの音が静かな部室に響き渡り、最初の一筋が剃り落とされた。

「ちょっと冷たい感じがするね。でも、なんだか懐かしい。」千夏は笑顔で言った。

「これが最後だからね、丁寧にやるよ。」遥は集中しながら、慎重にバリカンを動かした。

千夏の髪が次々と床に落ち、彼女の頭皮が露わになっていく。その様子を見ていた他の部員たちも、少しずつ自分たちの番を待ちながら緊張と期待が入り混じった表情をしていた。

「よし、終わったよ。」遥が言うと、千夏は鏡を見て微笑んだ。

「ありがとう、遥。次は私がやるね。」千夏はバリカンを受け取り、次に優菜に近づいた。

「じゃあ、優菜。行くよ。」千夏は慎重にバリカンを動かし、優菜の髪を剃り落としていった。

「やっぱり最初はちょっとドキドキするけど、すぐに慣れるね。」優菜は笑顔で言った。

「そうだね。でも、これで本当に最後だから、しっかりと記憶に残るようにしよう。」千夏は優菜の頭を丁寧に剃り続けた。

他の部員たちも次々に自分の番が来ると、互いにバリカンを手に取り合い、慎重に髪を剃り落としていった。部室の中には笑い声とバリカンの音が交互に響き、全員が再び坊主頭になったとき、彼女たちは一体感と達成感に包まれた。

「これで、みんなまた一つになれたね。」遥が言うと、全員が頷いた。

「うん、これで本当に最後の試合に臨めるよ。」優菜が微笑んで言った。

「みんな、ありがとう。これが私たちの最後の試合だから、全力で楽しもうね。」千夏が声を上げると、全員が声を揃えて答えた。

「うん、頑張ろう!」

全員が五厘坊主になり、彼女たちは引退試合に向けて最後の準備を始めた。坊主頭になったことで一層の決意を固め、彼女たちは互いに励まし合いながら試合に臨んだ。

試合が始まると、遥たちはこれまで以上に一体感を持ってプレーした。全員が全力を尽くし、最後の一瞬まで諦めずに戦い続けた。その姿は、彼女たち自身だけでなく、応援する人々にも深い感動を与えた。

試合終了のホイッスルが鳴り響いたとき、彼女たちは満足感と達成感に包まれていた。結果はどうであれ、彼女たちの心には一生忘れられない思い出が刻まれていた。

「これで本当に最後だね。」遥が笑顔で言った。

「うん、本当に最高のチームだったよ。」千夏が頷いた。

「みんな、ありがとう。これからもこの絆を忘れないでいようね。」優菜が涙を浮かべながら言った。

「うん、私たちは永遠の仲間だよ。」全員が声を揃えて答えた。

彼女たちは肩を組み合い、最後の瞬間を共に過ごし、新たな未来に向けて一歩を踏み出した。彼女たちの坊主頭は、決意と団結の象徴として、いつまでも心に残り続けるだろう。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

nanamasuo
2024.07.22 nanamasuo

資金集めのためとはいえ、全員が坊主頭にするのはすごい勇気だし、でも坊主頭にすることによって団結力が強まったのが良かった!

解除

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