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金髪と引き換えに
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第1章 「高校デビュー」
1
四月の柔らかな風が、桜の花びらを舞い上げる。春の陽射しは穏やかで、校門の前には、初々しい新入生たちが集まっていた。
その中で、ひときわ目を引く存在があった。
「ねえ、あれ見て」
「え、すごく派手じゃない?」
「……金髪? 入学早々あんな髪の子、今までいたっけ?」
ざわめきの中心にいたのは、一人の少女――**佐伯 由梨(さえき ゆり)**だった。
由梨は、陽射しを受けてきらきらと輝く長めの金髪を、風に乗せてなびかせていた。ブレザーの襟はゆるく崩し、スカート丈は規定より短い。頬には少しだけチークがのっていて、派手なメイクではないが、どこか洗練された雰囲気を醸し出している。
「……ふふっ」
由梨は微笑みを浮かべながら、周囲の視線を受け止めるように胸を張った。
「高校デビュー、成功かな」
そう呟いて、由梨は校門をくぐった。
2
由梨の「高校デビュー」には、強い思いがあった。
――中学時代の由梨は、目立たない存在だった。
中学一年生の時、由梨は内気で人前に立つのが苦手だった。いつも肩より少し長い黒髪を後ろで一つに結び、制服はぴったりと着こなしていた。校則を守るのは当然で、スカート丈を短くしたり、ヘアスタイルを変えたりすることもなかった。
「由梨って、おとなしいよね」
「真面目すぎてちょっと怖いくらい」
そう言われることに慣れていた。特別いじめられるわけではなかったが、クラスメイトからもあまり積極的に話しかけられることはなかった。
中学二年の時、由梨はバスケットボール部に入った。運動は苦手だったが、「何かを変えたい」という気持ちがあったからだ。
しかし、部活ではなかなか活躍できず、ベンチを温めることが多かった。先輩からきつく叱られることもあった。
「佐伯、もっと声を出せよ!」
「やる気あるの?」
「……ごめんなさい……」
同級生の中でも、特別仲の良い友達はいなかった。誰かと一緒に下校することも少なく、帰宅後は部屋にこもって漫画を読んだり、スマホをいじったりしていた。
自分を変えたい――でも、どうすればいいのかわからなかった。
転機が訪れたのは、中学三年生の冬だった。
「高校に行ったら、どんなふうになりたい?」
ある日の放課後、同じクラスの友人がそう尋ねた。
「……変わりたいかな」
「どんなふうに?」
「……もっと、自信を持ちたい」
「じゃあ、思い切って髪でも染めてみれば?」
「……え?」
「髪が明るくなると、気持ちも変わるかもよ」
その言葉が、由梨の胸に引っかかった。
その日から、由梨はネットで「髪を染める方法」や「金髪 似合う 顔立ち」などと検索を始めた。
「……私にも、できるかな」
そして――
中学の卒業式が終わった翌日、由梨は駅前の美容院に足を踏み入れた。
「髪を、金色に染めたいんです」
美容師が一瞬驚いた顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。
「ずいぶん思い切ったね。でも、きっと似合うよ」
「……お願いします」
カラー剤の薬品の匂いが鼻を刺した。ブリーチの熱が頭皮にじんじんと染みる。
「――チリチリして、ちょっと痛い……」
でも、痛みの向こうに、何か新しい自分がいるような気がした。
鏡の中には――
「……すごい」
暗かった髪が、太陽のように輝く金色に変わっていた。
「これが……あたし?」
「とっても似合ってるよ」
自分でも驚くほどの変化。思わず笑みがこぼれた。
「……よし」
鏡に映った自分に、強く誓った。
「高校では、もっと自由に――自分を変えるんだ」
3
そして迎えた高校の入学式。
風に舞う桜の花びらの中、由梨は自信を持って校門をくぐった。
「佐伯さん、金髪すごいね!」
「勇気あるなぁ……」
「でも、似合ってる!」
友人が次々に話しかけてくる。今まで感じたことのない視線と、興味のこもった声。
「これが……高校デビューか」
由梨は微笑みながら、髪をかき上げた。指先に触れる金髪の感触が、これまでの自分との決別を象徴しているように感じた。
私は、もう昔の自分じゃない。
由梨は目を閉じて、ゆっくりと深呼吸した。
「――よし、これからだ」
自分を変えるための高校生活が、今始まった。
しかし――
その自由な輝きは、長くは続かなかった。
新しい教師の存在が、由梨の「自由」を奪っていくことになるのだった。
第2章 「校則の壁」
1
由梨の「高校デビュー」は、順調な滑り出しに思えた。
新しい環境に馴染むのは時間がかからなかった。金髪にしたことで注目されることは多かったが、それがむしろプラスに働いた。
「佐伯さん、あのカーディガンかわいいね」
「髪色が明るいから、そういう色がすごく似合う!」
「ねぇ、一緒に帰ろうよ」
今まで味わったことのない「友達に囲まれる」感覚。
由梨は、その新しい状況を楽しんでいた。
部活には入らず、帰宅部を選んだ。中学の頃、バスケ部での苦い経験が頭に残っていたからだ。
「高校では、縛られない。自由でいたい」
金髪は、由梨にとって「自分が変わった証」だった。
スカート丈は少し短めにして、ブレザーのボタンは一番上を外す。体育の時も髪を結ばず、ポニーテールやお団子にすることもなかった。
「自由でいること」
それが、由梨の高校生活におけるテーマだった。
ところが――
春が終わり、初夏が近づく頃だった。
「新しい先生が赴任してくるらしいよ」
そんな噂が、校内を駆け巡った。
「なんかすごく厳しい人なんだって」
「でも、今の校風ってわりと自由だし、大丈夫じゃない?」
「いや、ちょっと怖いかもよ……」
噂話の中心にいたのは、新しく「生活指導」を担当することになった藤堂(とうどう)先生だった。
着任初日、全校集会で藤堂先生は壇上に立った。
長身でスーツをきっちりと着こなし、無表情な顔には威圧感があった。
「はじめまして、藤堂です」
低く響く声。
体育館が、緊張で静まり返った。
「皆さんに、これからいくつかお話ししたいことがあります」
藤堂先生は、生徒手帳を片手に掲げた。
「この学校には、守るべき規則があります。最近、あまりにもそれが軽視されている」
無表情のまま、藤堂先生は続けた。
「特に――頭髪、服装の乱れ。これを私は、許しません」
その言葉に、ざわめきが起きた。
「これまで自由だったのに……」
「ヤバくない?」
「頭髪の乱れは、個人の心の乱れでもある」
「校則を遵守しない場合、相応の措置をとります」
その視線が、体育館の隅にいた由梨の金髪に注がれた。
由梨は、背筋がゾクリとした。
――まさか、こんなにすぐに目をつけられるとは思っていなかった。
2
「佐伯、ちょっと来なさい」
それからすぐのことだった。
由梨は藤堂先生に呼び出され、職員室へと足を運んだ。
「……はい」
職員室に入ると、藤堂先生は机の上に生徒手帳を置きながら、由梨を見た。
「髪を染めているな」
「……はい」
「これは、校則違反だ」
「でも、今まで注意されたことは――」
「今までが甘すぎたんだ」
藤堂先生は淡々とした声で続けた。
「すぐに黒染めしなさい。これは命令です」
由梨は唇を噛み締めた。
「……嫌です」
「何?」
「これは、私が自分で決めたことです」
「自分を変えるために、私はこの髪にしたんです」
「規則は規則だ」
「……でも」
「守れないなら、別の方法をとるしかない」
藤堂先生は冷たく言った。
「別の方法……?」
「黒染めをしないなら、坊主にすることになる」
「……っ」
その言葉に、由梨の体が固まった。
「そんなの……無理です」
「決まりだ」
「どうしてそんな……」
「規則を守るのが、生徒の義務だ。明日までに決断しろ」
由梨は震える指先でスカートの裾をつかんだ。
「……わかりました」
由梨は、部屋を出る時、顔を伏せていた。
3
夜――
部屋の鏡の前で、由梨は髪を指先で梳いた。
金髪は、月明かりの中でも光を放っていた。
「この髪が……ダメなの……?」
自分が自分である証を、否定されるような感覚。
黒に戻すのは簡単だ。でも、戻してしまえば、また「地味な自分」に逆戻りしてしまう。
「……坊主にするくらいなら、黒に戻したほうがいいのかな……」
由梨は手に持ったスマホで「スポーツ刈り 女子」「坊主 似合う 女性」などと検索した。
「……嫌だ……絶対に嫌だ」
でも――
「自分を変えるんじゃなかったの?」
由梨の胸に、小さな声が響いた。
「本当に強くなりたいなら、逃げちゃダメなんじゃない?」
涙が滲んだ。
「……あたしは……」
そして――
翌朝、由梨は藤堂先生に向き合った。
「佐伯、決めたか?」
「……はい」
「黒染めにするか?」
「……いいえ」
由梨は、まっすぐ藤堂先生を見た。
「……坊主にしてください」
「本当にいいんだな?」
「……はい」
藤堂先生はゆっくりと頷いた。
「では、今すぐだ」
藤堂先生が、バリカンを手に取った。
第3章 「金髪が落ちる時」
1
「……じゃあ、始めるぞ」
藤堂先生が冷静な声でそう言った瞬間、由梨の体がピクリと震えた。
椅子に座ったまま、手は膝の上で硬く握り締めている。
――本当に、やるの?
バリカンが唸る音が耳元で響いた。
「……っ」
無意識に、体が強張る。
藤堂先生は、そんな由梨の様子には目もくれず、淡々と続けた。
「動くなよ。怪我をする」
「……はい……」
耳の奥に響く振動音――
ブイイイイイイ――
「じゃあ、右側からいくぞ」
バリカンの刃が、右のこめかみに触れる。
「っ……!」
ジャリジャリジャリ……
「……あっ……」
金色の髪が、束になって無慈悲に刈り落とされていく。
耳元に感じた振動とともに、耳のすぐ上の髪が、ためらいなく刈り取られた。
刈り取られた髪が、ふわりと空中に舞った。
重力に引かれて、さらさらと床に落ちていく。
金色の髪が、黒い床に散る。
その光景が、由梨の視界にゆっくりと映った。
「あれが……あたしの髪……?」
「……ひと束目、終了だ」
藤堂先生が、淡々と言う。
バリカンが、さらに耳の後ろを滑った。
ジャリジャリ……ジャリジャリ……
刃が、金色の髪を無慈悲に刈り取っていく。
耳の後ろの髪が全て刈られ、耳の形が完全に露わになった。
「……っ……」
空気が、耳に直接触れる。
スースーとした感覚がして、耳の周りが妙に軽い。
――右側がほぼ刈り上がった。
藤堂先生が、バリカンを左側に持ち替える。
「次、左側だ」
「……はい……」
ブイイイイイイ――
左耳のすぐ上から、バリカンが容赦なく滑り込む。
振動が頭皮に響くたびに、金色の髪が床にパラパラと落ちていった。
「……はぁ……」
細かくカットされた髪が、頬に触れてくすぐったい。
刈られた部分を触りたい衝動に駆られたが、藤堂先生に「動くな」と言われていたため、じっと耐えるしかなかった。
鏡に映った自分を見ると――
耳上が短く刈られ、地肌がうっすらと見えていた。
「これ……あたし……?」
藤堂先生が、今度は後頭部にバリカンを当てた。
「後ろ、いくぞ」
「……っ……」
バリカンが襟足に押し当てられる。
柔らかかった襟足の髪に、冷たい刃が触れる感覚――
ブイイイイイイ――
ジャリッ――
ジャリリリリ――
「……!」
後ろ髪が、刈られると同時に、金色の束が肩に落ちた。
そのまま滑り落ちて、床に積もる。
「……あ……」
藤堂先生の指が、刈り取られた襟足をそっとなぞった。
「こんな感じだな」
「……っ」
その瞬間、首筋に直接風が当たった。
「……スースーする……」
藤堂先生は、さらにバリカンを後頭部全体に走らせる。
ザリザリザリ……
「……あっ……」
長かった後ろ髪が、一気に短くなり、耳から後ろがすっかり刈り上げられた。
――軽い。
金髪だった後頭部に、地肌が露わになる。
「……すっきりしてきたな」
藤堂先生は、満足そうに言った。
由梨は、意識しないようにしていたけれど、じわりと目に涙が滲んできていた。
「泣くな。自分で選んだことだろう?」
「……はい……」
藤堂先生は、ついに前髪に手をかけた。
「じゃあ、前髪をいくぞ」
「……っ」
ブイイイイイ――
刃が前髪の根元に食い込み――
ジャリジャリジャリ……
「……っ……!!」
目の前に、金髪だった前髪がふわっと落ちていく。
前髪が完全に消え、額が露わになった。
――顔全体が完全に剥き出しになる。
藤堂先生は、最後にトップを刈り始めた。
「最後だ。じっとしてろ」
バリカンが、頂点から一直線に滑る。
ブイイイイイイ――
――ジャリジャリジャリ……
一筋の髪が、頭頂部から床に落ちていく。
その感触を、由梨は全身で感じ取っていた。
「……これで、終わりだ」
藤堂先生がバリカンを止めた。
由梨は、ゆっくりと顔を上げた。
目の前には――
スポーツ刈りになった自分がいた。
耳は完全に露わになり、頭頂部から後頭部にかけて、髪が均等に5ミリほどに刈られている。
前髪も短く、額が完全に見えていた。
金髪だった髪は、どこにも残っていない。
「……これが……あたし……?」
由梨は、そっと頭に手を触れた。
――ザラリ。
髪の感触が、まるで違っていた。
金髪の柔らかい手触りはなく、短く刈られた髪の硬さが指に伝わる。
「これで、終わりだ」
藤堂先生が淡々と言った。
床を見ると、金髪だった髪が無残に散らばっている。
由梨は、それをじっと見つめた。
「金髪は……なくなったんだ……」
でも――
「でも……これが、今のあたし……」
由梨は、そっと鏡に映った自分を見つめた。
――そこには、確かに新しい「自分」がいた。
「これで、お前も立派な高校生だ」
「……っ」
由梨の胸が、ギュッと締め付けられた。
もう金髪には戻れない。
あの髪に込めた「自分を変える」という願いは、無情にも床に落ちた。
「これで……本当に……」
「終わりだ」
由梨は手でそっと頭をなでた。
頭皮に直接指先が触れる感触。
ザラリとしたその感触に――
由梨は、涙をこぼした。
3
藤堂先生が、刈り上げた頭をじっと見つめていた。
「……これで終わりだ」
由梨は、鏡に映った自分の姿を再び見た。
そこに映っていたのは――
耳の周りから襟足まで、均等に刈り込まれた5ミリほどの短い髪。
トップの髪も短く刈られ、全体が滑らかに揃っている。
――完全なスポーツ刈り。
元の金髪の華やかさは跡形もなく、少年のようにシャープなシルエットが、鏡に映っていた。
「……すごく……短くなった……」
由梨は、ゆっくりと手を伸ばし、恐る恐る頭に触れた。
――ザリッ……
指先が触れると、髪の短い感触がダイレクトに指に伝わった。
チクチクとした硬い感触。
耳の周りに触れると、短く刈られた髪の感触がさらに鋭く指に伝わった。
「……あ……」
こめかみから耳にかけて、刈り上げられたラインがはっきりとわかる。
今まで金髪が覆っていた首筋や耳が完全に露わになり、剥き出しの地肌に風が直接触れる感覚。
「スースーする……」
由梨は、ゆっくりと頭を撫でた。
藤堂先生は無言のまま、バリカンを片付けていた。
刈り落とされた金髪が、床に無惨に散らばっている。
由梨はその金髪の束を、じっと見つめた。
――あれは、あたしの髪。
金髪を見下ろしていると、不思議と涙が込み上げてきた。
「……これで、終わったんだ」
藤堂先生が、冷静に言った。
「これで、お前は“正しい”生徒になった」
「……正しい……」
由梨は、自分の姿を鏡で確認した。
確かに、校則違反の金髪は消えた。
耳の上から襟足にかけて、刈り上げられた頭はまるで男の子のよう。
「……これが、“正しい”の?」
藤堂先生が、その言葉に反応して由梨を見つめた。
「お前がこれで満足できないのなら、他に方法はなかった」
「……別に……不満はない」
由梨は、鏡に映った自分に向かって小さく微笑んだ。
――満足しているかは、まだわからない。
――でも、これが“自分で決めたこと”だ。
「……先生、ありがとうございました」
藤堂先生は無言で頷いた。
由梨は、散らばった金髪を見つめながら立ち上がった。
「掃除、します」
「いい。職員がやる」
「……でも……」
「お前が見る必要はない」
藤堂先生が、金髪を踏みつけるようにして片付けに取りかかった。
その様子を見て、由梨はふと考えた。
――あたしの金髪が、踏みつけられている。
でも――
「……いいんだ」
それが「終わった」という証拠ならば、それでいい。
由梨は、自分の頭を撫でながら部屋を出た。
外に出た瞬間、春風が顔を撫でた。
「……軽い」
いつもより、風がダイレクトに頭皮に触れる感覚。
耳の後ろに風が当たり、うなじが直接冷たさを感じる。
第4章 「新しい自分」
1
「……佐伯?」
由梨が静かに廊下に出た瞬間、空気が張り詰めた。
「えっ……本当に……」
「坊主……っていうか……スポーツ刈り……?」
友人たちが息を呑んだ。
由梨はゆっくりと廊下を歩いた。
床に響く靴音だけが、静まり返った空気に響いている。
クラスメイトたちが、まるで見ることをためらうように距離をとりながら、由梨を見つめていた。
「……すごい……」
「勇気あるな」
「でも……どうして?」
由梨は、そんな声を聞きながらも、一度も振り返らなかった。
廊下の壁に設置されたガラスに映った自分の姿が、今までとまるで違って見えた。
――金色の髪がなくなったことで、印象が大きく変わっていた。
耳が露わになり、顔の輪郭がはっきりと見える。
前髪は短くなり、額が完全に見えている。
「……男みたい」
由梨は、反射的にそう思った。
でも――
「これが……あたし……?」
体育館の角を曲がったところで、友人の**中村 彩乃(なかむら あやの)**が待っていた。
「由梨……」
彩乃の表情には、驚きと戸惑いが浮かんでいた。
「どうしたの……それ……」
彩乃は恐る恐る言った。
「どうしてそんな……」
「……決めたから」
「決めたって……」
「金髪をやめるように言われたの。だから……坊主にするしかなかった」
「……そんなのひどいよ!」
彩乃の声が一瞬大きくなった。
「だって由梨、すごく似合ってたのに!」
「……似合ってたとか、そういうことじゃない」
由梨は静かに答えた。
「……これが、あたしが選んだことだから」
彩乃が言葉を失った。
「でも……後悔してるでしょ?」
「……」
由梨は、無言のまま廊下の壁にもたれかかった。
手をそっと頭に持っていき、短く刈られた髪に触れた。
ザラッとした感触――
金髪だった時とは全く違う手触り。
「……正直に言えば、後悔してるよ」
「やっぱり……」
「でも――やってよかったとも思ってる」
「え……」
由梨は、じっと彩乃の目を見つめた。
「自分を変えたいって思ったから。だから――これは、後戻りできないって意味でちょうどいいのかも」
「由梨……」
「でも……」
由梨は、ため息をついた。
「――こんなに短くなるとは思ってなかったけどね」
彩乃が思わず吹き出した。
「……ちょっと、由梨、それは笑えるって」
「でしょ?」
由梨も、少しだけ笑った。
「似合ってる?」
「……うん。正直、意外と似合ってる」
「じゃあ、よかった」
彩乃は微笑んで、由梨の頭をそっと撫でた。
「……ザラザラしてる」
「やめてよ、変な感じでしょ」
「でも、かっこいいよ」
「……そう?」
「うん」
彩乃は由梨の目をじっと見た。
「由梨……強くなったね」
「……そうかな」
「でも、無理しないでよ?」
「うん……ありがとう」
由梨は彩乃に微笑んでみせた。
――短くなった髪に触れるたび、自分が変わっていく感覚がした。
「これは、あたしが選んだことだ」
2
それから数日間、由梨は校内で注目を浴び続けた。
「坊主になった子がいるって、本当?」
「いや、スポーツ刈りらしいよ」
「でも、女の子でスポーツ刈りって……すごくない?」
廊下や教室で、由梨が歩くたびに視線が集まった。
「ねえ、由梨。どうしてそんなに短くしたの?」
「それ、学校の規則で?」
「金髪の方がよかったのに」
由梨は、時々そんな声に戸惑った。
でも――
「これが、今の私だから」
と、自然に返せるようになっていた。
由梨は、次第に視線に慣れていった。
むしろ――
「金髪の自分」を見られていた時よりも、視線を受け止められる自分がいた。
「これは、私が選んだ結果だから」
体育の時間――
「由梨、バスケしようよ!」
「……いいの?」
「うん! 由梨、運動得意そうだし!」
「……そう?」
以前の自分だったら、そんな誘いを断っていたかもしれない。
でも――
「よし、やってみるか」
由梨はボールを受け取った。
短くなった髪が、風に触れている。
頭が軽い――
「……走れるかも」
「由梨、いけっ!」
ドリブルを開始した。
風を切る感覚。
「シュート!」
パスが回ってきて、由梨はジャンプし――
「入った!」
「やった!」
由梨のスポーツ刈りの頭に、クラスメイトがポンポンと手を当てた。
「すごいよ、由梨!」
「……ありがとう」
由梨は、自然に笑っていた。
金髪を失った代わりに、手に入れたものがある。
「変わるって、こういうことなのかも」
風が吹いた。
短くなった髪に、心地よい風が当たる。
金髪がなくなっても――
由梨は、自分を失っていなかった。
むしろ、今の自分の方が――
「……自由かもしれない」
その夜、家の鏡の前で、由梨は自分の頭にそっと手を当てた。
「うん……悪くないかも」
由梨は、鏡の中の自分に向かって微笑んだ。
これが――
「新しいあたし」
金髪を失った代わりに、由梨は「自分自身」を手に入れていた。
エピローグ 「その先にあるもの」
由梨がスポーツ刈りにしてから、ひと月が経った。
最初のうちは、やはり周囲の視線が気になった。
教室に入ると、クラスメイトたちの視線が一斉に由梨の頭に集まった。
「ねえ、佐伯さん、マジでスポーツ刈りにしたの?」
「やば……本当に刈ったんだ……」
「でも、意外と似合ってるかも」
誰も悪意を持っているわけではなかった。
むしろ、その反応は「驚き」と「興味」が半分ずつ混ざったものだった。
由梨は最初、そんな視線をどう受け止めればいいかわからなかった。
反射的に頭を触ると、指先に短くなった髪の感触が伝わった。
ザリッ……
5ミリほどの硬く短い髪が、チクチクと指に触れる。
金髪の頃には感じたことのなかった手触り。
「……短い……」
ふと、体育館の窓ガラスに映った自分の姿を見た。
耳の周りから襟足まで、きれいに刈り上げられた頭。
トップの髪も、全体が短く均一に整えられている。
額が完全に露わになったことで、顔全体の印象がすっきりしていた。
目元のシャープさが際立ち、今までよりも「男の子っぽい」雰囲気が強くなっていた。
「……あたし、こんな顔してたんだ……」
由梨は、しばらくそのまま自分を見つめていた。
短くなったことで、自分の顔の輪郭や表情がはっきりと現れている。
――金髪をなくしたことで、自分自身を隠すものがなくなった。
「……これが、あたし……」
風が窓から吹き込む。
短くなった髪に直接風が触れる感覚。
今まで金髪だった頃には感じたことのない、ダイレクトな感触。
「軽い……」
確かに、髪の重さがなくなったことで頭も軽くなった。
でも、それだけじゃない。
心まで軽くなったような感覚――
それは「自由」だった。
「……佐伯!」
「えっ?」
呼びかけに振り向くと、体育館の入り口で**中村彩乃(なかむら あやの)**が手を振っていた。
「お待たせ! 行こう!」
由梨は、自然と笑みを浮かべて、彩乃の元へと歩き出した。
「……今日、放課後どうする?」
「別に予定ないけど……」
「じゃあ、一緒に駅前行かない? アイス奢るよ!」
「……彩乃が奢るって、珍しいね」
「それだけ由梨の髪型が衝撃的だったってこと!」
彩乃が笑って、軽く由梨の頭をポンッと叩いた。
「痛っ……」
「ごめん、でも気持ちいい! ザリザリしてて!」
由梨は苦笑した。
「自分の頭で遊ばないでよ」
「だって、これから由梨のトレードマークになるかもしれないよ?」
「トレードマーク?」
「うん。金髪の時より、こっちの方が“佐伯由梨”って感じがする」
「……そっか……」
由梨は、そっと頭を撫でた。
「……あたしが、あたしでいるってこと……なのかな」
彩乃が笑顔を浮かべた。
「その髪、かっこいいし、潔くて由梨らしいよ」
「……ありがと」
二人は体育館を出て、廊下を並んで歩いた。
「ねえ、バスケやる?」
「えっ?」
「最近、動きいいって評判だよ?」
「……いや、別に……」
「金髪じゃないとダメとか思ってるんでしょ」
「……うっ」
「気にしない気にしない! 髪が短い分、動きも早くなったんだから!」
彩乃が笑って、由梨の手を引いた。
「……行こうよ!」
由梨は、一瞬ためらったが――
「……うん」
自分の頭をそっと撫でてから、彩乃と一緒に走り出した。
風が吹いた。
短くなった髪に、心地よい風が直接触れる。
頭皮に伝わる風の感触が、新鮮だった。
「ねえ、佐伯!」
「なに?」
「髪伸ばさないでよ?」
「えっ?」
「だって、スポーツ刈りの由梨、かっこいいもん!」
「……そう?」
「絶対、今の方が似合ってるよ」
由梨は笑って答えた。
「まあ……しばらくはこのままでもいいかも」
「でしょ?」
彩乃が笑顔でうなずいた。
――金髪がなくなったことを「喪失」だと思っていた。
――でも、それはむしろ「解放」だった。
「これが……今のあたしだから」
由梨は目を閉じて、深く息を吸った。
頭に感じる風の感触――
それは、かつて金髪だった頃には感じられなかったもの。
「ねえ、佐伯!」
「なに?」
「次、試合出てみない?」
「……試合?」
「うん、バスケ部の練習試合! みんな、期待してるよ!」
「……あたしが?」
「うん! 今の由梨なら、絶対いけるって!」
由梨は、自分の頭に手を当てた。
――短くなった髪に触れると、力が湧いてくるような気がした。
「……やってみようかな」
「やった!」
彩乃が嬉しそうに手を叩いた。
由梨は、短くなった髪を撫でながら、ゆっくりと微笑んだ。
髪を切ったことで、得たものがある。
それは――自分を受け入れる強さ。
風が、短くなった髪を撫でた。
由梨は真っ直ぐ前を見据えた。
「……これが、あたしのスタートだ」
由梨は、力強く歩き出した。
その背中は、かつての彼女よりも、確かにしっかりと伸びていた。
金髪を失ったことは、終わりじゃない。
それは、新しい自分の始まりだった。
1
四月の柔らかな風が、桜の花びらを舞い上げる。春の陽射しは穏やかで、校門の前には、初々しい新入生たちが集まっていた。
その中で、ひときわ目を引く存在があった。
「ねえ、あれ見て」
「え、すごく派手じゃない?」
「……金髪? 入学早々あんな髪の子、今までいたっけ?」
ざわめきの中心にいたのは、一人の少女――**佐伯 由梨(さえき ゆり)**だった。
由梨は、陽射しを受けてきらきらと輝く長めの金髪を、風に乗せてなびかせていた。ブレザーの襟はゆるく崩し、スカート丈は規定より短い。頬には少しだけチークがのっていて、派手なメイクではないが、どこか洗練された雰囲気を醸し出している。
「……ふふっ」
由梨は微笑みを浮かべながら、周囲の視線を受け止めるように胸を張った。
「高校デビュー、成功かな」
そう呟いて、由梨は校門をくぐった。
2
由梨の「高校デビュー」には、強い思いがあった。
――中学時代の由梨は、目立たない存在だった。
中学一年生の時、由梨は内気で人前に立つのが苦手だった。いつも肩より少し長い黒髪を後ろで一つに結び、制服はぴったりと着こなしていた。校則を守るのは当然で、スカート丈を短くしたり、ヘアスタイルを変えたりすることもなかった。
「由梨って、おとなしいよね」
「真面目すぎてちょっと怖いくらい」
そう言われることに慣れていた。特別いじめられるわけではなかったが、クラスメイトからもあまり積極的に話しかけられることはなかった。
中学二年の時、由梨はバスケットボール部に入った。運動は苦手だったが、「何かを変えたい」という気持ちがあったからだ。
しかし、部活ではなかなか活躍できず、ベンチを温めることが多かった。先輩からきつく叱られることもあった。
「佐伯、もっと声を出せよ!」
「やる気あるの?」
「……ごめんなさい……」
同級生の中でも、特別仲の良い友達はいなかった。誰かと一緒に下校することも少なく、帰宅後は部屋にこもって漫画を読んだり、スマホをいじったりしていた。
自分を変えたい――でも、どうすればいいのかわからなかった。
転機が訪れたのは、中学三年生の冬だった。
「高校に行ったら、どんなふうになりたい?」
ある日の放課後、同じクラスの友人がそう尋ねた。
「……変わりたいかな」
「どんなふうに?」
「……もっと、自信を持ちたい」
「じゃあ、思い切って髪でも染めてみれば?」
「……え?」
「髪が明るくなると、気持ちも変わるかもよ」
その言葉が、由梨の胸に引っかかった。
その日から、由梨はネットで「髪を染める方法」や「金髪 似合う 顔立ち」などと検索を始めた。
「……私にも、できるかな」
そして――
中学の卒業式が終わった翌日、由梨は駅前の美容院に足を踏み入れた。
「髪を、金色に染めたいんです」
美容師が一瞬驚いた顔をしたが、すぐに優しく微笑んだ。
「ずいぶん思い切ったね。でも、きっと似合うよ」
「……お願いします」
カラー剤の薬品の匂いが鼻を刺した。ブリーチの熱が頭皮にじんじんと染みる。
「――チリチリして、ちょっと痛い……」
でも、痛みの向こうに、何か新しい自分がいるような気がした。
鏡の中には――
「……すごい」
暗かった髪が、太陽のように輝く金色に変わっていた。
「これが……あたし?」
「とっても似合ってるよ」
自分でも驚くほどの変化。思わず笑みがこぼれた。
「……よし」
鏡に映った自分に、強く誓った。
「高校では、もっと自由に――自分を変えるんだ」
3
そして迎えた高校の入学式。
風に舞う桜の花びらの中、由梨は自信を持って校門をくぐった。
「佐伯さん、金髪すごいね!」
「勇気あるなぁ……」
「でも、似合ってる!」
友人が次々に話しかけてくる。今まで感じたことのない視線と、興味のこもった声。
「これが……高校デビューか」
由梨は微笑みながら、髪をかき上げた。指先に触れる金髪の感触が、これまでの自分との決別を象徴しているように感じた。
私は、もう昔の自分じゃない。
由梨は目を閉じて、ゆっくりと深呼吸した。
「――よし、これからだ」
自分を変えるための高校生活が、今始まった。
しかし――
その自由な輝きは、長くは続かなかった。
新しい教師の存在が、由梨の「自由」を奪っていくことになるのだった。
第2章 「校則の壁」
1
由梨の「高校デビュー」は、順調な滑り出しに思えた。
新しい環境に馴染むのは時間がかからなかった。金髪にしたことで注目されることは多かったが、それがむしろプラスに働いた。
「佐伯さん、あのカーディガンかわいいね」
「髪色が明るいから、そういう色がすごく似合う!」
「ねぇ、一緒に帰ろうよ」
今まで味わったことのない「友達に囲まれる」感覚。
由梨は、その新しい状況を楽しんでいた。
部活には入らず、帰宅部を選んだ。中学の頃、バスケ部での苦い経験が頭に残っていたからだ。
「高校では、縛られない。自由でいたい」
金髪は、由梨にとって「自分が変わった証」だった。
スカート丈は少し短めにして、ブレザーのボタンは一番上を外す。体育の時も髪を結ばず、ポニーテールやお団子にすることもなかった。
「自由でいること」
それが、由梨の高校生活におけるテーマだった。
ところが――
春が終わり、初夏が近づく頃だった。
「新しい先生が赴任してくるらしいよ」
そんな噂が、校内を駆け巡った。
「なんかすごく厳しい人なんだって」
「でも、今の校風ってわりと自由だし、大丈夫じゃない?」
「いや、ちょっと怖いかもよ……」
噂話の中心にいたのは、新しく「生活指導」を担当することになった藤堂(とうどう)先生だった。
着任初日、全校集会で藤堂先生は壇上に立った。
長身でスーツをきっちりと着こなし、無表情な顔には威圧感があった。
「はじめまして、藤堂です」
低く響く声。
体育館が、緊張で静まり返った。
「皆さんに、これからいくつかお話ししたいことがあります」
藤堂先生は、生徒手帳を片手に掲げた。
「この学校には、守るべき規則があります。最近、あまりにもそれが軽視されている」
無表情のまま、藤堂先生は続けた。
「特に――頭髪、服装の乱れ。これを私は、許しません」
その言葉に、ざわめきが起きた。
「これまで自由だったのに……」
「ヤバくない?」
「頭髪の乱れは、個人の心の乱れでもある」
「校則を遵守しない場合、相応の措置をとります」
その視線が、体育館の隅にいた由梨の金髪に注がれた。
由梨は、背筋がゾクリとした。
――まさか、こんなにすぐに目をつけられるとは思っていなかった。
2
「佐伯、ちょっと来なさい」
それからすぐのことだった。
由梨は藤堂先生に呼び出され、職員室へと足を運んだ。
「……はい」
職員室に入ると、藤堂先生は机の上に生徒手帳を置きながら、由梨を見た。
「髪を染めているな」
「……はい」
「これは、校則違反だ」
「でも、今まで注意されたことは――」
「今までが甘すぎたんだ」
藤堂先生は淡々とした声で続けた。
「すぐに黒染めしなさい。これは命令です」
由梨は唇を噛み締めた。
「……嫌です」
「何?」
「これは、私が自分で決めたことです」
「自分を変えるために、私はこの髪にしたんです」
「規則は規則だ」
「……でも」
「守れないなら、別の方法をとるしかない」
藤堂先生は冷たく言った。
「別の方法……?」
「黒染めをしないなら、坊主にすることになる」
「……っ」
その言葉に、由梨の体が固まった。
「そんなの……無理です」
「決まりだ」
「どうしてそんな……」
「規則を守るのが、生徒の義務だ。明日までに決断しろ」
由梨は震える指先でスカートの裾をつかんだ。
「……わかりました」
由梨は、部屋を出る時、顔を伏せていた。
3
夜――
部屋の鏡の前で、由梨は髪を指先で梳いた。
金髪は、月明かりの中でも光を放っていた。
「この髪が……ダメなの……?」
自分が自分である証を、否定されるような感覚。
黒に戻すのは簡単だ。でも、戻してしまえば、また「地味な自分」に逆戻りしてしまう。
「……坊主にするくらいなら、黒に戻したほうがいいのかな……」
由梨は手に持ったスマホで「スポーツ刈り 女子」「坊主 似合う 女性」などと検索した。
「……嫌だ……絶対に嫌だ」
でも――
「自分を変えるんじゃなかったの?」
由梨の胸に、小さな声が響いた。
「本当に強くなりたいなら、逃げちゃダメなんじゃない?」
涙が滲んだ。
「……あたしは……」
そして――
翌朝、由梨は藤堂先生に向き合った。
「佐伯、決めたか?」
「……はい」
「黒染めにするか?」
「……いいえ」
由梨は、まっすぐ藤堂先生を見た。
「……坊主にしてください」
「本当にいいんだな?」
「……はい」
藤堂先生はゆっくりと頷いた。
「では、今すぐだ」
藤堂先生が、バリカンを手に取った。
第3章 「金髪が落ちる時」
1
「……じゃあ、始めるぞ」
藤堂先生が冷静な声でそう言った瞬間、由梨の体がピクリと震えた。
椅子に座ったまま、手は膝の上で硬く握り締めている。
――本当に、やるの?
バリカンが唸る音が耳元で響いた。
「……っ」
無意識に、体が強張る。
藤堂先生は、そんな由梨の様子には目もくれず、淡々と続けた。
「動くなよ。怪我をする」
「……はい……」
耳の奥に響く振動音――
ブイイイイイイ――
「じゃあ、右側からいくぞ」
バリカンの刃が、右のこめかみに触れる。
「っ……!」
ジャリジャリジャリ……
「……あっ……」
金色の髪が、束になって無慈悲に刈り落とされていく。
耳元に感じた振動とともに、耳のすぐ上の髪が、ためらいなく刈り取られた。
刈り取られた髪が、ふわりと空中に舞った。
重力に引かれて、さらさらと床に落ちていく。
金色の髪が、黒い床に散る。
その光景が、由梨の視界にゆっくりと映った。
「あれが……あたしの髪……?」
「……ひと束目、終了だ」
藤堂先生が、淡々と言う。
バリカンが、さらに耳の後ろを滑った。
ジャリジャリ……ジャリジャリ……
刃が、金色の髪を無慈悲に刈り取っていく。
耳の後ろの髪が全て刈られ、耳の形が完全に露わになった。
「……っ……」
空気が、耳に直接触れる。
スースーとした感覚がして、耳の周りが妙に軽い。
――右側がほぼ刈り上がった。
藤堂先生が、バリカンを左側に持ち替える。
「次、左側だ」
「……はい……」
ブイイイイイイ――
左耳のすぐ上から、バリカンが容赦なく滑り込む。
振動が頭皮に響くたびに、金色の髪が床にパラパラと落ちていった。
「……はぁ……」
細かくカットされた髪が、頬に触れてくすぐったい。
刈られた部分を触りたい衝動に駆られたが、藤堂先生に「動くな」と言われていたため、じっと耐えるしかなかった。
鏡に映った自分を見ると――
耳上が短く刈られ、地肌がうっすらと見えていた。
「これ……あたし……?」
藤堂先生が、今度は後頭部にバリカンを当てた。
「後ろ、いくぞ」
「……っ……」
バリカンが襟足に押し当てられる。
柔らかかった襟足の髪に、冷たい刃が触れる感覚――
ブイイイイイイ――
ジャリッ――
ジャリリリリ――
「……!」
後ろ髪が、刈られると同時に、金色の束が肩に落ちた。
そのまま滑り落ちて、床に積もる。
「……あ……」
藤堂先生の指が、刈り取られた襟足をそっとなぞった。
「こんな感じだな」
「……っ」
その瞬間、首筋に直接風が当たった。
「……スースーする……」
藤堂先生は、さらにバリカンを後頭部全体に走らせる。
ザリザリザリ……
「……あっ……」
長かった後ろ髪が、一気に短くなり、耳から後ろがすっかり刈り上げられた。
――軽い。
金髪だった後頭部に、地肌が露わになる。
「……すっきりしてきたな」
藤堂先生は、満足そうに言った。
由梨は、意識しないようにしていたけれど、じわりと目に涙が滲んできていた。
「泣くな。自分で選んだことだろう?」
「……はい……」
藤堂先生は、ついに前髪に手をかけた。
「じゃあ、前髪をいくぞ」
「……っ」
ブイイイイイ――
刃が前髪の根元に食い込み――
ジャリジャリジャリ……
「……っ……!!」
目の前に、金髪だった前髪がふわっと落ちていく。
前髪が完全に消え、額が露わになった。
――顔全体が完全に剥き出しになる。
藤堂先生は、最後にトップを刈り始めた。
「最後だ。じっとしてろ」
バリカンが、頂点から一直線に滑る。
ブイイイイイイ――
――ジャリジャリジャリ……
一筋の髪が、頭頂部から床に落ちていく。
その感触を、由梨は全身で感じ取っていた。
「……これで、終わりだ」
藤堂先生がバリカンを止めた。
由梨は、ゆっくりと顔を上げた。
目の前には――
スポーツ刈りになった自分がいた。
耳は完全に露わになり、頭頂部から後頭部にかけて、髪が均等に5ミリほどに刈られている。
前髪も短く、額が完全に見えていた。
金髪だった髪は、どこにも残っていない。
「……これが……あたし……?」
由梨は、そっと頭に手を触れた。
――ザラリ。
髪の感触が、まるで違っていた。
金髪の柔らかい手触りはなく、短く刈られた髪の硬さが指に伝わる。
「これで、終わりだ」
藤堂先生が淡々と言った。
床を見ると、金髪だった髪が無残に散らばっている。
由梨は、それをじっと見つめた。
「金髪は……なくなったんだ……」
でも――
「でも……これが、今のあたし……」
由梨は、そっと鏡に映った自分を見つめた。
――そこには、確かに新しい「自分」がいた。
「これで、お前も立派な高校生だ」
「……っ」
由梨の胸が、ギュッと締め付けられた。
もう金髪には戻れない。
あの髪に込めた「自分を変える」という願いは、無情にも床に落ちた。
「これで……本当に……」
「終わりだ」
由梨は手でそっと頭をなでた。
頭皮に直接指先が触れる感触。
ザラリとしたその感触に――
由梨は、涙をこぼした。
3
藤堂先生が、刈り上げた頭をじっと見つめていた。
「……これで終わりだ」
由梨は、鏡に映った自分の姿を再び見た。
そこに映っていたのは――
耳の周りから襟足まで、均等に刈り込まれた5ミリほどの短い髪。
トップの髪も短く刈られ、全体が滑らかに揃っている。
――完全なスポーツ刈り。
元の金髪の華やかさは跡形もなく、少年のようにシャープなシルエットが、鏡に映っていた。
「……すごく……短くなった……」
由梨は、ゆっくりと手を伸ばし、恐る恐る頭に触れた。
――ザリッ……
指先が触れると、髪の短い感触がダイレクトに指に伝わった。
チクチクとした硬い感触。
耳の周りに触れると、短く刈られた髪の感触がさらに鋭く指に伝わった。
「……あ……」
こめかみから耳にかけて、刈り上げられたラインがはっきりとわかる。
今まで金髪が覆っていた首筋や耳が完全に露わになり、剥き出しの地肌に風が直接触れる感覚。
「スースーする……」
由梨は、ゆっくりと頭を撫でた。
藤堂先生は無言のまま、バリカンを片付けていた。
刈り落とされた金髪が、床に無惨に散らばっている。
由梨はその金髪の束を、じっと見つめた。
――あれは、あたしの髪。
金髪を見下ろしていると、不思議と涙が込み上げてきた。
「……これで、終わったんだ」
藤堂先生が、冷静に言った。
「これで、お前は“正しい”生徒になった」
「……正しい……」
由梨は、自分の姿を鏡で確認した。
確かに、校則違反の金髪は消えた。
耳の上から襟足にかけて、刈り上げられた頭はまるで男の子のよう。
「……これが、“正しい”の?」
藤堂先生が、その言葉に反応して由梨を見つめた。
「お前がこれで満足できないのなら、他に方法はなかった」
「……別に……不満はない」
由梨は、鏡に映った自分に向かって小さく微笑んだ。
――満足しているかは、まだわからない。
――でも、これが“自分で決めたこと”だ。
「……先生、ありがとうございました」
藤堂先生は無言で頷いた。
由梨は、散らばった金髪を見つめながら立ち上がった。
「掃除、します」
「いい。職員がやる」
「……でも……」
「お前が見る必要はない」
藤堂先生が、金髪を踏みつけるようにして片付けに取りかかった。
その様子を見て、由梨はふと考えた。
――あたしの金髪が、踏みつけられている。
でも――
「……いいんだ」
それが「終わった」という証拠ならば、それでいい。
由梨は、自分の頭を撫でながら部屋を出た。
外に出た瞬間、春風が顔を撫でた。
「……軽い」
いつもより、風がダイレクトに頭皮に触れる感覚。
耳の後ろに風が当たり、うなじが直接冷たさを感じる。
第4章 「新しい自分」
1
「……佐伯?」
由梨が静かに廊下に出た瞬間、空気が張り詰めた。
「えっ……本当に……」
「坊主……っていうか……スポーツ刈り……?」
友人たちが息を呑んだ。
由梨はゆっくりと廊下を歩いた。
床に響く靴音だけが、静まり返った空気に響いている。
クラスメイトたちが、まるで見ることをためらうように距離をとりながら、由梨を見つめていた。
「……すごい……」
「勇気あるな」
「でも……どうして?」
由梨は、そんな声を聞きながらも、一度も振り返らなかった。
廊下の壁に設置されたガラスに映った自分の姿が、今までとまるで違って見えた。
――金色の髪がなくなったことで、印象が大きく変わっていた。
耳が露わになり、顔の輪郭がはっきりと見える。
前髪は短くなり、額が完全に見えている。
「……男みたい」
由梨は、反射的にそう思った。
でも――
「これが……あたし……?」
体育館の角を曲がったところで、友人の**中村 彩乃(なかむら あやの)**が待っていた。
「由梨……」
彩乃の表情には、驚きと戸惑いが浮かんでいた。
「どうしたの……それ……」
彩乃は恐る恐る言った。
「どうしてそんな……」
「……決めたから」
「決めたって……」
「金髪をやめるように言われたの。だから……坊主にするしかなかった」
「……そんなのひどいよ!」
彩乃の声が一瞬大きくなった。
「だって由梨、すごく似合ってたのに!」
「……似合ってたとか、そういうことじゃない」
由梨は静かに答えた。
「……これが、あたしが選んだことだから」
彩乃が言葉を失った。
「でも……後悔してるでしょ?」
「……」
由梨は、無言のまま廊下の壁にもたれかかった。
手をそっと頭に持っていき、短く刈られた髪に触れた。
ザラッとした感触――
金髪だった時とは全く違う手触り。
「……正直に言えば、後悔してるよ」
「やっぱり……」
「でも――やってよかったとも思ってる」
「え……」
由梨は、じっと彩乃の目を見つめた。
「自分を変えたいって思ったから。だから――これは、後戻りできないって意味でちょうどいいのかも」
「由梨……」
「でも……」
由梨は、ため息をついた。
「――こんなに短くなるとは思ってなかったけどね」
彩乃が思わず吹き出した。
「……ちょっと、由梨、それは笑えるって」
「でしょ?」
由梨も、少しだけ笑った。
「似合ってる?」
「……うん。正直、意外と似合ってる」
「じゃあ、よかった」
彩乃は微笑んで、由梨の頭をそっと撫でた。
「……ザラザラしてる」
「やめてよ、変な感じでしょ」
「でも、かっこいいよ」
「……そう?」
「うん」
彩乃は由梨の目をじっと見た。
「由梨……強くなったね」
「……そうかな」
「でも、無理しないでよ?」
「うん……ありがとう」
由梨は彩乃に微笑んでみせた。
――短くなった髪に触れるたび、自分が変わっていく感覚がした。
「これは、あたしが選んだことだ」
2
それから数日間、由梨は校内で注目を浴び続けた。
「坊主になった子がいるって、本当?」
「いや、スポーツ刈りらしいよ」
「でも、女の子でスポーツ刈りって……すごくない?」
廊下や教室で、由梨が歩くたびに視線が集まった。
「ねえ、由梨。どうしてそんなに短くしたの?」
「それ、学校の規則で?」
「金髪の方がよかったのに」
由梨は、時々そんな声に戸惑った。
でも――
「これが、今の私だから」
と、自然に返せるようになっていた。
由梨は、次第に視線に慣れていった。
むしろ――
「金髪の自分」を見られていた時よりも、視線を受け止められる自分がいた。
「これは、私が選んだ結果だから」
体育の時間――
「由梨、バスケしようよ!」
「……いいの?」
「うん! 由梨、運動得意そうだし!」
「……そう?」
以前の自分だったら、そんな誘いを断っていたかもしれない。
でも――
「よし、やってみるか」
由梨はボールを受け取った。
短くなった髪が、風に触れている。
頭が軽い――
「……走れるかも」
「由梨、いけっ!」
ドリブルを開始した。
風を切る感覚。
「シュート!」
パスが回ってきて、由梨はジャンプし――
「入った!」
「やった!」
由梨のスポーツ刈りの頭に、クラスメイトがポンポンと手を当てた。
「すごいよ、由梨!」
「……ありがとう」
由梨は、自然に笑っていた。
金髪を失った代わりに、手に入れたものがある。
「変わるって、こういうことなのかも」
風が吹いた。
短くなった髪に、心地よい風が当たる。
金髪がなくなっても――
由梨は、自分を失っていなかった。
むしろ、今の自分の方が――
「……自由かもしれない」
その夜、家の鏡の前で、由梨は自分の頭にそっと手を当てた。
「うん……悪くないかも」
由梨は、鏡の中の自分に向かって微笑んだ。
これが――
「新しいあたし」
金髪を失った代わりに、由梨は「自分自身」を手に入れていた。
エピローグ 「その先にあるもの」
由梨がスポーツ刈りにしてから、ひと月が経った。
最初のうちは、やはり周囲の視線が気になった。
教室に入ると、クラスメイトたちの視線が一斉に由梨の頭に集まった。
「ねえ、佐伯さん、マジでスポーツ刈りにしたの?」
「やば……本当に刈ったんだ……」
「でも、意外と似合ってるかも」
誰も悪意を持っているわけではなかった。
むしろ、その反応は「驚き」と「興味」が半分ずつ混ざったものだった。
由梨は最初、そんな視線をどう受け止めればいいかわからなかった。
反射的に頭を触ると、指先に短くなった髪の感触が伝わった。
ザリッ……
5ミリほどの硬く短い髪が、チクチクと指に触れる。
金髪の頃には感じたことのなかった手触り。
「……短い……」
ふと、体育館の窓ガラスに映った自分の姿を見た。
耳の周りから襟足まで、きれいに刈り上げられた頭。
トップの髪も、全体が短く均一に整えられている。
額が完全に露わになったことで、顔全体の印象がすっきりしていた。
目元のシャープさが際立ち、今までよりも「男の子っぽい」雰囲気が強くなっていた。
「……あたし、こんな顔してたんだ……」
由梨は、しばらくそのまま自分を見つめていた。
短くなったことで、自分の顔の輪郭や表情がはっきりと現れている。
――金髪をなくしたことで、自分自身を隠すものがなくなった。
「……これが、あたし……」
風が窓から吹き込む。
短くなった髪に直接風が触れる感覚。
今まで金髪だった頃には感じたことのない、ダイレクトな感触。
「軽い……」
確かに、髪の重さがなくなったことで頭も軽くなった。
でも、それだけじゃない。
心まで軽くなったような感覚――
それは「自由」だった。
「……佐伯!」
「えっ?」
呼びかけに振り向くと、体育館の入り口で**中村彩乃(なかむら あやの)**が手を振っていた。
「お待たせ! 行こう!」
由梨は、自然と笑みを浮かべて、彩乃の元へと歩き出した。
「……今日、放課後どうする?」
「別に予定ないけど……」
「じゃあ、一緒に駅前行かない? アイス奢るよ!」
「……彩乃が奢るって、珍しいね」
「それだけ由梨の髪型が衝撃的だったってこと!」
彩乃が笑って、軽く由梨の頭をポンッと叩いた。
「痛っ……」
「ごめん、でも気持ちいい! ザリザリしてて!」
由梨は苦笑した。
「自分の頭で遊ばないでよ」
「だって、これから由梨のトレードマークになるかもしれないよ?」
「トレードマーク?」
「うん。金髪の時より、こっちの方が“佐伯由梨”って感じがする」
「……そっか……」
由梨は、そっと頭を撫でた。
「……あたしが、あたしでいるってこと……なのかな」
彩乃が笑顔を浮かべた。
「その髪、かっこいいし、潔くて由梨らしいよ」
「……ありがと」
二人は体育館を出て、廊下を並んで歩いた。
「ねえ、バスケやる?」
「えっ?」
「最近、動きいいって評判だよ?」
「……いや、別に……」
「金髪じゃないとダメとか思ってるんでしょ」
「……うっ」
「気にしない気にしない! 髪が短い分、動きも早くなったんだから!」
彩乃が笑って、由梨の手を引いた。
「……行こうよ!」
由梨は、一瞬ためらったが――
「……うん」
自分の頭をそっと撫でてから、彩乃と一緒に走り出した。
風が吹いた。
短くなった髪に、心地よい風が直接触れる。
頭皮に伝わる風の感触が、新鮮だった。
「ねえ、佐伯!」
「なに?」
「髪伸ばさないでよ?」
「えっ?」
「だって、スポーツ刈りの由梨、かっこいいもん!」
「……そう?」
「絶対、今の方が似合ってるよ」
由梨は笑って答えた。
「まあ……しばらくはこのままでもいいかも」
「でしょ?」
彩乃が笑顔でうなずいた。
――金髪がなくなったことを「喪失」だと思っていた。
――でも、それはむしろ「解放」だった。
「これが……今のあたしだから」
由梨は目を閉じて、深く息を吸った。
頭に感じる風の感触――
それは、かつて金髪だった頃には感じられなかったもの。
「ねえ、佐伯!」
「なに?」
「次、試合出てみない?」
「……試合?」
「うん、バスケ部の練習試合! みんな、期待してるよ!」
「……あたしが?」
「うん! 今の由梨なら、絶対いけるって!」
由梨は、自分の頭に手を当てた。
――短くなった髪に触れると、力が湧いてくるような気がした。
「……やってみようかな」
「やった!」
彩乃が嬉しそうに手を叩いた。
由梨は、短くなった髪を撫でながら、ゆっくりと微笑んだ。
髪を切ったことで、得たものがある。
それは――自分を受け入れる強さ。
風が、短くなった髪を撫でた。
由梨は真っ直ぐ前を見据えた。
「……これが、あたしのスタートだ」
由梨は、力強く歩き出した。
その背中は、かつての彼女よりも、確かにしっかりと伸びていた。
金髪を失ったことは、終わりじゃない。
それは、新しい自分の始まりだった。
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