店にきた剣を買い取ったら、事件に巻き込まれました

Salvia

文字の大きさ
2 / 29

第2話 市場

しおりを挟む
 寒い。朝早く店の前を掃除しよう起きてきたのだが、朝の肌を刺すような寒さにアレスはすでに後悔をしていた。


 首に巻いたマフラーをぐいっとあげる。少しマシになった。


 店の入り口は普段毎日掃除しているからか、そこまで荒れてはいない。ただ、今日はせっかくなので普段やらない部分もやってみる。


 まぁ凝り性という事もあって掃除もやってみると結構面白い。自分が努力した分しっかりと反映され綺麗になってる事が視覚的にわかるからやる気もでる。


 そんな朝からアレスがせっせと掃除していると、狩人のザックが通りかかった。


「おはよう、アレス。朝から掃除かい?」


「やあ、ザック。おはよう。朝早く目が覚めてしまってね。もう一度寝るのもなんだかと思って、時間潰しに掃除してるんだ」


「おー、そうなのか」


「ザックも今日は早いね?何か用事でも」


「なーに、仕事さ。昨日仕掛けた罠が気になって、見に行こうかなっと思って」


「今回は何を狙っているんだい?」


「魔猪さ。最近は繁殖しすぎて、食料に困った魔猪がローランの森から村に降りてきて、畑を食い荒らして周るからな。駆除せなならん」


「あー魔猪か。あいつらは定期的に増えるからね。ただ魔猪の皮はコートの皮に使えるし、牙の装飾、肉も食える。厄介なモンスターだが金にはなる。ザック、もしよかったら魔猪をうちに売ってくれないか?ギルドよりは高く買取るつもりだよ」


「ああ、いいぜ。狩が終わったらまたアレスの店による」


「ありがとう、魔猪の皮はこれから寒くなって需要も増えると思うんだ。助かるよ」


「じゅ、何だかわからんが、アレスには借りがたくさんあるからな。お安い御用だぜ。じゃあな」


 ザックは片手をあげるとアレスから離れていった。
 早起きは三文の徳。皮が手に入るなんてラッキーだ。今日は何だかいい日な気がするなぁ。


 アレスは鼻歌を歌いながら開店までの間、店の前をピカピカにした。




「んー、回復薬が足りないなぁ」


 薬棚を整理していると、回復薬が足りなくなっているのに気づいた。冒険者ギルドに近いこの店は、雑貨のついでに回復薬を補充していく冒険者も多い。普段なら在庫は用意してあったのだが、つい最近大量にギルドから購入依頼がきて在庫を切らしていたのだった。


「他の商品もいくつか仕入れておきたいし、今日は市に行こうかな」


 そう決めると足りない用品をメモにとり、いつも愛用のななめがけのバックをかけると店を出た。




 この街は綺麗な街だ。水路が張り巡らされていて主な交通手段は小舟の移動だ。大きな聖堂もいくつかあり、街の中心にある大きな鐘はお昼の時間を知らせてくれる。


 露天に出ている商品を物色しながら歩いていると市場についた。今日もかなり賑わっている。大きな水路とつながっており、小舟から直接商品がおろされるとすぐに、目の前の市場に流される仕組みだ。


「やあアレク今日は何をお探しかな?」


「ダレン、今日は薬草が欲しくてね。つい最近大口客が入ってね。在庫を切らしてしまったんだ。薬士から買うと高くつくから、自分で調合しようかと思って」


「薬草かー。うーん。一応あるにはあるんだがあまり数はないね。それに最近薬草も取りづらくなっていてね。通常より少し割高になるけど買っていくかい?」


「いくらなんだい?」


「いつもなら1つ50ダットだが、今日は80ダットくらいかな」


「80ダットか。少し高くないか?」


「魔猪が増殖してるって話知っているかい?」


「ああ知ってるよ。ローランの森だろう」


「そう、それなんだが。その魔猪が薬草も食べちまうんで今、薬草不足なんだ。それに合わせて回復薬もたりてない現状、今はどこもそんな感じかね」


「他の商品も買っていくから70ダットで無理かな」


「アレンの頼みだから、値下げしたいんだがどこも今は薬草が欲しがってるからね。薬師やギルドに売ればこの値段以上で買ってくれる。これでもだいぶ下げてるんだよ」


「うーん」


 80ダットか。回復薬を自分で調合して1本120ダットで売れば僅かだが利益も出る。それに回復薬はうちの売れ筋商品の一つ。回復薬のついでに別の商品を買っていくお客も多いくらいだ。在庫は切らして置きたくない。背に腹は変えられない。


「わかった1つ80ダットで買うよ」


「まいどあり!」




ゴーン


 薬草の他にいくつか商品を見て周り購入すると、お昼の鐘の音が街中に鳴り響いた。


「少し小腹が空いてきたな」


 市場に繋がっている道沿いにはいくつもの露天が並んでいる。小鳥のモンスターポッポの蒲焼や唐もろこしの焼ける香ばしい匂いがただよってくる。


「今日はポッポ焼きでもしようかな」


 店の近くまでくると人だかりができていた。今日も繁盛しているようだ。


 そんな人だかりの中、明らかに怪しい不審者がいた。
 顔を隠すようにフードを顔半分まで被り、挙動不審にあたりを見回している。


 顔は見えないが、服の材質を見ると滑らかな質感に上質な皮を使っているのがわかる。背丈から見て子供。どこぞの裕福な商人の子供か下級貴族が冷やかしにきたのかと思った。


 普段ならこういういかにも怪しい人物とは関わらないようにしているのだが、あまりの挙動不審ぶりに思わず好奇心の方が勝ってしまい、つい声をかけてしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』

夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」 教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。 ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。 王命による“形式結婚”。 夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。 だから、はい、離婚。勝手に。 白い結婚だったので、勝手に離婚しました。 何か問題あります?

夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。

古森真朝
ファンタジー
 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。  俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」  新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは―― ※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

不倫されて離婚した社畜OLが幼女転生して聖女になりましたが、王国が揉めてて大事にしてもらえないので好きに生きます

天田れおぽん
ファンタジー
 ブラック企業に勤める社畜OL沙羅(サラ)は、結婚したものの不倫されて離婚した。スッキリした気分で明るい未来に期待を馳せるも、公園から飛び出てきた子どもを助けたことで、弱っていた心臓が止まってしまい死亡。同情した女神が、黒髪黒目中肉中背バツイチの沙羅を、銀髪碧眼3歳児の聖女として異世界へと転生させてくれた。  ところが王国内で聖女の処遇で揉めていて、転生先は草原だった。  サラは女神がくれた山盛りてんこ盛りのスキルを使い、異世界で知り合ったモフモフたちと暮らし始める―――― ※第16話 あつまれ聖獣の森 6 が抜けていましたので2025/07/30に追加しました。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...