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日本での私
しおりを挟む私の名前は星野あかり
今年40歳になるおばさんだった。
若い頃に妊娠して結婚したが、妊娠中に夫は浮気をして出産と同時に離婚した。
よくある話ではあるが元夫はクズだったと思う。
それからの生活は、夫と浮気女の慰謝料で新生児と2人細々と暮らした。
私の実家も親が離婚、父は再婚していて後妻さんに頼る訳にもいかずに1人で息子の元太を育てた。
育児書や産科の先生、時には行政やネットを頼りにはじめての子育てに奮闘した。
おかげで知識だけならベテラン保育士にも負けないと自負している。
養育費も決まった金額が毎月振り込まれるはずだったのに1年足らずで振り込みがパタリと止まる。
風の噂ではあの浮気女とは別れて違う女性と再婚したそうだ。
やっぱりあの男クズだわ。
そうなると私も働かなくてはならない。
でもまだ1歳にも満たない息子を預けて働く事に抵抗があった。
私は知識だけならベテラン保育士なのだ。
三子の魂百まで…
せめて3歳までは側にいてあげたい。
家で出来る仕事…
内職なんかじゃ雀の涙だし、どうしよう…
結婚前はプログラマーだった。
当時の会社は小さい会社ではあったがアットホームな会社だった事を思い出し、思い切って社長に連絡して相談した。
すると在宅で出来る様な企業のHPを作る仕事を振ってもらえる様になった。
1件5円とかの内職と違い、この仕事は大きいもので1件5万になる物もありとても助かった。
元々得意分野だった事もあり、さばける量も増え技術も向上していった。
1日数時間PCの前に座り、後の時間は元太に全て使った。
あのクズ男との子供である事も忘れるくらい私は元太を溺愛した。
だって可愛いんだもん。
はじめて家族が出来た気がしたんだ。
それから元太はスクスクと育ち、幼稚園、小学校、中学校と成長していった。
私は態々外に働きに出る必要性を感じなかったので相変わらず自宅でPCに向かっていた。
気がつけば元太も高校受験、私も30代後半に差し掛かった頃、たまたま手元に来た仕事である出版社のHPを見た。
そしてそこにある作品募集のタグを見て、ふと私も書いてみようかと思い立った。
自身のリアルでは叶わなかった様な…
真実の愛に出会った2人が色々な障害や敵を乗り越えて幸せになる。
ある国の王と平民から聖女になった少女のラブストーリーそれが、
ー 国王と聖女は月夜に誓う ー
だった…
しかもこの作品がなにやら出版社の方に気に入られ、無事書籍化されることになり、新人作家の本にしてはそこそこの成績をあげた事によって、もうすぐ40歳になる今現在は作家として活動していた…
はずだったのだが…
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