13 / 77
お披露目パーティー?はい却下です。
しおりを挟むオスカーが生まれて1ヶ月。
順調に私の楽しい育児生活は続いている。
細切れの睡眠に寝不足は否めないけど、乳母sもいるし、オスカーのお世話だけで料理、洗濯、掃除一切やらなくて良いのだから日本の時に比べたら随分楽なもんだ。
「バネッサ王妃、お食事をお持ちしました。」
オスカーを抱っこしながらぷにぷにを堪能中の私にロニーが声をかける。
どうやらもうお昼ご飯の様だ。
「あら、ロニーありがとう。」
以前、ロニーに厨房を見せてもらいながら鑑定したところ日本と同じ食材が多く見つかった。
ただ味噌や醤油などの加工物や、やっぱりお米も餅も見つからなかった。
まぁ無い物は仕方ないと、今ある食材で私はロニーとレシピを考えて作ってもらっている。
おかげであんなに怯えていたロニーも随分打ち解けて、最近は自分でレシピを考えて作ってくれる様になった。
実は料理バカだったのかも知れない。
早速オスカーを乳母sに預けてテーブルに付いた。
「今日のメニューは…」
とロニーが説明してくれる。
カボチャのスープ
鶏肉とトマトのサンドウィッチ
海藻サラダ
ミルクとリンゴを4分の1個
んーー完璧。
バッチリよロニー!
特にこの海藻サラダ
海藻は王宮では使われない食材だったのよねー。
海の近くの領地で漁の仕事をしている平民が腹の足しに食べる程度で貴族社会にはまったく知られていなかった。
でも私は絶対食べたい食材だったのよー
ミネラルは豊富だし、髪はツヤツヤになるし、お便秘解消にも役立つ優秀食材なのよねー!
たまたま王宮に卸す魚の下に暖衛材代わりにひかれていた海藻を見つけられて本当に良かった!
塩とレモンの搾り汁がかかっている海藻サラダをモグモグ食する私にロニーが言う。
「バネッサ王妃、なんだか痩せられましたよね…」
そう!
そうなのだ!!
弾丸ワガママボディーだったバネッサは食事の改良と母乳育児の効果かこの1ヶ月で絞られて来たのだ。
「バネッサ王妃は最近魔術も良くお使いになるからその影響もありますね。」
と、いつの間にか背後にいたたモーリスが言う。
え?
そうなの?
魔術って痩せるんだぁ
作者なのに知らんよそんな事。そんな細かい設定してないって。
モーリスが言うのを要約すると魔力を体に巡らせる事によって代謝が良くなるかららしい。
まぁ以前のバネッサは魔術なんか使わないよなー
使わなくても周りがなんでもしてくれるからねー。
聖女が現れて、嫉妬から色々やらかす時になって使い出したはずだし…
「え?バネッサか??」
突然声を掛けられて視線を向けるとモーリスと一緒に来たと思われる赤毛の小綺麗な男性。
ああ…赤毛って事はあれだ…
「あら、ギースお兄様。」
珍しい訪問者に嫌な予感しかしませんけど、来たからには仕方ないと一緒に昼食を勧めたら意外にも頷いた。
ギース=プラント
実の兄ではあるけど、バカチンのバネッサを嫌っているはずなんだけどねー。
「食事ってこれだけか?」
充分ですわ
「に、肉は食べないのか?」
蒸した鶏肉がパンにはさまってますけど?
「このピラピラした物体はなんだ?」
失礼ねー優秀食材の海藻ですわよ。
おかしいわギースってこんなに饒舌だったかしら?
バネッサに対してはいつも無関心か冷めた目で見てるだけだった気がするけど。
食事が終わって片付けられると、私には新しいミルク、兄には紅茶が出された。
「さて、お兄様いったい何の話しがございますの?」
普段寄り付かない兄がこうしているのは何か言いたい事があるのだろうと先に促してみた。
「あー…レオナルドがなー」
兄は手にしていた紅茶をひとくち飲んで口を開いた。
「近々オスカー王子のお披露目パーティーを開くと言ってるんだが…」
お披露目パーティー?
話に聞くと王都周辺の貴族を呼びオスカーのお披露目と夜会
また王宮の外に集まった国民にもテラスから国王と王妃でオスカーをお披露目するらしい。
てかあったわねー
そんな行事。
でもそんなの知らんがな。
赤ちゃんは生後1ヶ月もすればお出かけしても良いと言われているけど、お披露目パーティーは駄目でしょう。
人混みよ!
何千何万の人にまだ抵抗力が弱い赤ちゃんを晒せるものですか。
「却下いたします。」
おととい来やがれっ!
23
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
夫は私を愛してくれない
はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」
「…ああ。ご苦労様」
彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。
二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。
王太子妃は離婚したい
凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。
だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。
※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。
綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。
これまで応援いただき、本当にありがとうございました。
レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。
https://www.regina-books.com/extra/login
私たちの離婚幸福論
桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。
しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。
彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。
信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。
だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。
それは救済か、あるいは——
真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
【完結】母になります。
たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。
この子、わたしの子供なの?
旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら?
ふふっ、でも、可愛いわよね?
わたしとお友達にならない?
事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。
ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ!
だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。
私は貴方を許さない
白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。
前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる