転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

文字の大きさ
21 / 77

父と息子初対面その1

しおりを挟む

食後のお茶も終わり、なんだか急に落ち着かない様子なのを見て

(ああ、これから言われる事がこの突然の夕食の目的だな…)

と気がついた。

でもギースお兄様の時みたいに誘導なんかしてあげない。

私は知らん顔してたんぽぽ茶を優雅に飲みながらレオナルド陛下の言葉を待った。


「オスカーが首が座ったと聞いた…」


あら?
私の天使オスカーの話しなのね。
まぁ、それぐらいしか私達に共通の話題なんか無かったわね。

と、ふと前世あかりの時の離婚調停を思い出した。
突然、月に1度は子供に会わせろとか言い出したクズ旦那。
会わせた所で産まれたばかりの子にお前が何が出来るってゆーの!

私が断固拒否した事もあり、
母子の生活が落ち着くまで少し待ってから再度決めましょうと、調停委員さんに言われたのにもかかわらず1年も経たずに自ら消えて行って本当にお笑いだ。

きっとあの調停の場で、何もかもが自分に不利な状況のクズ旦那の方から提案できる事と言えば子供の事くらいだったし、嫌がらせか苦し紛れの発言で本心では無かったのだろうと今になって思う。


「そろそろオスカーのお披露目をしたいと思っているのだが、どうだろうか?」


前世あかりの記憶に1人脳内で怒りにプルプルしていたのが表情に出てたのか、陛下は遠慮がちに聞いてきた。

お披露目は避けられない行事だし、私の我儘で2ヶ月遅らせたから…
まあ、仕方ないのかな。


「そうですわね。そろそろ大丈夫かと…」


と、肯定的な返事をすれば、陛下はパァーっと嬉しそうに微笑んだ。

何?そんなに早く天使オスカーを自慢したいのかしら?
まぁその気持ちは分かるけど…


「それから今からオスカーに会いたいのだが構わないだろうか?」


ちょっと俯き加減にモジモジする陛下。
乙女かーー

そう言えばまだこの方、うちの天使オスカーを見た事ないのよね?

まだ見ぬ息子を国中に自慢したいなんて、もしかして私より親バカじゃないの?

と、斜め上の思考をぶった斬る様に側で仕えていたモーリスの声がした。


「そろそろオスカー王子の授乳のお時間でございますから、一緒に行かれたらいかがです?」


ああ、いけないっ!
それは遅れてはダメよっとばかりに陛下を引き連れる様に慌ててオスカーの待つ私の部屋へ戻るのだった。


「オスカァー遅れてごめんねぇー」


飛びつく様にオスカーにかけ寄りそっと抱き上げる。
きょとんとした顔で私を見る天使オスカーが超絶可愛くて困る~

先に授乳を済ませるからと自分のベッドに入り、天蓋カーテンを閉めてもらう。

これもいちいち面倒よねー
今度授乳ケープみたいの作ろうかしら?

などと考えながら脱ぎ難いドレスに四苦八苦しながら至福の授乳TIME突入。


「オスカーおいちぃでちゅか~?」


すっかり私は自分の世界に入り込んだ。
たっぷり飲ませた後、オムツも変えてあげて、いつもの様に着崩れたドレスのままオスカーを抱っこしてベッドから出たけど、

あ…
レオナルド陛下の存在をすっかり忘れておりましたよ私。

スーパー侍女マリーヌが忍者の様にササッと直してくれたけど…
まぁ、なんと言うか…気まずいわ


「陛下、抱っこしてみます?」


思わず、色々な事飛び越して言ってみればレオナルド陛下も気まずそうに耳を赤くしながらオスカーを抱っこする。

あら意外と上手に抱っこするのねー?

などと思考を過ったけど、言葉にはしないからお互い無言…
気まずい両親の間で、視界が高くなったのが楽しいのかキャッキャと笑うオスカー



父子の初の対面はなかなかシュールな画だった…



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

夫は私を愛してくれない

はくまいキャベツ
恋愛
「今までお世話になりました」 「…ああ。ご苦労様」 彼はまるで長年勤めて退職する部下を労うかのように、妻である私にそう言った。いや、妻で“あった”私に。 二十数年間すれ違い続けた夫婦が別れを決めて、もう一度向き合う話。

王太子妃は離婚したい

凛江
恋愛
アルゴン国の第二王女フレイアは、婚約者であり、幼い頃より想いを寄せていた隣国テルルの王太子セレンに嫁ぐ。 だが、期待を胸に臨んだ婚姻の日、待っていたのは夫セレンの冷たい瞳だった。 ※この作品は、読んでいただいた皆さまのおかげで書籍化することができました。 綺麗なイラストまでつけていただき感無量です。 これまで応援いただき、本当にありがとうございました。 レジーナのサイトで番外編が読めますので、そちらものぞいていただけると嬉しいです。 https://www.regina-books.com/extra/login

私たちの離婚幸福論

桔梗
ファンタジー
ヴェルディア帝国の皇后として、順風満帆な人生を歩んでいたルシェル。 しかし、彼女の平穏な日々は、ノアの突然の記憶喪失によって崩れ去る。 彼はルシェルとの記憶だけを失い、代わりに”愛する女性”としてイザベルを迎え入れたのだった。 信じていた愛が消え、冷たく突き放されるルシェル。 だがそこに、隣国アンダルシア王国の皇太子ゼノンが現れ、驚くべき提案を持ちかける。 それは救済か、あるいは—— 真実を覆う闇の中、ルシェルの新たな運命が幕を開ける。

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

【完結】母になります。

たろ
恋愛
母親になった記憶はないのにわたしいつの間にか結婚して子供がいました。 この子、わたしの子供なの? 旦那様によく似ているし、もしかしたら、旦那様の隠し子なんじゃないのかしら? ふふっ、でも、可愛いわよね? わたしとお友達にならない? 事故で21歳から5年間の記憶を失くしたわたしは結婚したことも覚えていない。 ぶっきらぼうでムスッとした旦那様に愛情なんて湧かないわ! だけど何故かこの3歳の男の子はとても可愛いの。

側妃契約は満了しました。

夢草 蝶
恋愛
 婚約者である王太子から、別の女性を正妃にするから、側妃となって自分達の仕事をしろ。  そのような申し出を受け入れてから、五年の時が経ちました。

私は貴方を許さない

白湯子
恋愛
甘やかされて育ってきたエリザベータは皇太子殿下を見た瞬間、前世の記憶を思い出す。無実の罪を着させられ、最期には断頭台で処刑されたことを。 前世の記憶に酷く混乱するも、優しい義弟に支えられ今世では自分のために生きようとするが…。

処理中です...