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父と息子初対面その1
しおりを挟む食後のお茶も終わり、なんだか急に落ち着かない様子なのを見て
(ああ、これから言われる事がこの突然の夕食の目的だな…)
と気がついた。
でもギースお兄様の時みたいに誘導なんかしてあげない。
私は知らん顔してたんぽぽ茶を優雅に飲みながらレオナルド陛下の言葉を待った。
「オスカーが首が座ったと聞いた…」
あら?
私の天使の話しなのね。
まぁ、それぐらいしか私達に共通の話題なんか無かったわね。
と、ふと前世の時の離婚調停を思い出した。
突然、月に1度は子供に会わせろとか言い出したクズ旦那。
会わせた所で産まれたばかりの子にお前が何が出来るってゆーの!
私が断固拒否した事もあり、
母子の生活が落ち着くまで少し待ってから再度決めましょうと、調停委員さんに言われたのにもかかわらず1年も経たずに自ら消えて行って本当にお笑いだ。
きっとあの調停の場で、何もかもが自分に不利な状況のクズ旦那の方から提案できる事と言えば子供の事くらいだったし、嫌がらせか苦し紛れの発言で本心では無かったのだろうと今になって思う。
「そろそろオスカーのお披露目をしたいと思っているのだが、どうだろうか?」
前世の記憶に1人脳内で怒りにプルプルしていたのが表情に出てたのか、陛下は遠慮がちに聞いてきた。
お披露目は避けられない行事だし、私の我儘で2ヶ月遅らせたから…
まあ、仕方ないのかな。
「そうですわね。そろそろ大丈夫かと…」
と、肯定的な返事をすれば、陛下はパァーっと嬉しそうに微笑んだ。
何?そんなに早く天使を自慢したいのかしら?
まぁその気持ちは分かるけど…
「それから今からオスカーに会いたいのだが構わないだろうか?」
ちょっと俯き加減にモジモジする陛下。
乙女かーー
そう言えばまだこの方、うちの天使を見た事ないのよね?
まだ見ぬ息子を国中に自慢したいなんて、もしかして私より親バカじゃないの?
と、斜め上の思考をぶった斬る様に側で仕えていたモーリスの声がした。
「そろそろオスカー王子の授乳のお時間でございますから、一緒に行かれたらいかがです?」
ああ、いけないっ!
それは遅れてはダメよっとばかりに陛下を引き連れる様に慌ててオスカーの待つ私の部屋へ戻るのだった。
「オスカァー遅れてごめんねぇー」
飛びつく様にオスカーにかけ寄りそっと抱き上げる。
きょとんとした顔で私を見る天使が超絶可愛くて困る~
先に授乳を済ませるからと自分のベッドに入り、天蓋カーテンを閉めてもらう。
これもいちいち面倒よねー
今度授乳ケープみたいの作ろうかしら?
などと考えながら脱ぎ難いドレスに四苦八苦しながら至福の授乳TIME突入。
「オスカーおいちぃでちゅか~?」
すっかり私は自分の世界に入り込んだ。
たっぷり飲ませた後、オムツも変えてあげて、いつもの様に着崩れたドレスのままオスカーを抱っこしてベッドから出たけど、
あ…
レオナルド陛下の存在をすっかり忘れておりましたよ私。
スーパー侍女マリーヌが忍者の様にササッと直してくれたけど…
まぁ、なんと言うか…気まずいわ
「陛下、抱っこしてみます?」
思わず、色々な事飛び越して言ってみればレオナルド陛下も気まずそうに耳を赤くしながらオスカーを抱っこする。
あら意外と上手に抱っこするのねー?
などと思考を過ったけど、言葉にはしないからお互い無言…
気まずい両親の間で、視界が高くなったのが楽しいのかキャッキャと笑うオスカー
父子の初の対面はなかなかシュールな画だった…
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