転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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トクンの夜

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体調を心配された私は、部屋に夕食を運んでもらった。

レオが甲斐甲斐しく口に料理を運んでくれるけど、自分で食べれないほど重病人じゃないのだが?

しかも国王、生粋のおぼっちゃん育ちのくせになんでこんなに手際が良いの?


「アリスも幼い頃は身体が弱くて…」


とレオは言うけど、王子が妹の看病をするわけないでしょ?

水は今、とても貴重なのに国王と王妃のために湯浴みの準備をすると言うので丁寧にお断りをして水魔法でササッと清める。

レオも清めてあげると言うと顔を真っ赤にして上着を脱ぎ始めた。

いやいや!ちょい待ちっ
服の上からで大丈夫だからっ!

レオは私がオスカーのお尻を清めてるのを見てるせいか、素肌じゃなきゃダメだと思ったらしい。

なによっ!私が服を脱って言ったみたいじゃない!

今度は2人して赤い顔してソソクサと清めてあげたのだった。



明日は朝から領地の状態を見て回って、できればどこか人目のつかない山奥にでも行ってレオに光魔法を使ってもらいたい。
チルチルとミチルに乗って行けばすぐだろう。

これ以上、優と恵里奈に関わりたくないのでとっとと片付けてしまいたいと言うのが本音だった。

レオがどう思うか多少の不安はある。
だって本来なら真実の愛で結ばれる2人なのだから本当は別れ難いのかも…

まあ、原作通り2人がくっついたら私はオスカーを連れて出て行けばいいか。
後継者のオスカーを簡単に手放してくれるかわからないけど、2人でまた作ればいいじゃん!
そんな王宮にオスカーを置いてなんていけるわけない。

プラント家の両親も喜んで受け入れてくれるだろう。

ゲンも一緒に来てくれたら更に良いけど、王宮騎士だしな…もうプラント家で雇う?

なんて色々考えていたら、


「バッサ、もう明日で片付けてしまおう。」


と私の内心を読んだような事を言う。
そのあとで、マザールの視線が気に入らないとか、バッサに近過ぎるとかブツブツ言ってたけど、


「早くオスカーに会いたいだろ?」


と、微笑まれて胸がトクンとなった。

え?トクン!?

こ、これは作家がある感情を表す時に良く使う擬音だけどまさにそんな音がした。

い、いやこれはきっとオスカーの名前が出たからだと自分に言い聞かせてレオの意見に同意した。


「じゃあそうと決まれば早く寝てしまおう。」


と言うレオに首をコクコクと頷くのだった。

ん?寝る??

ベットは広いが1つしかないよ?
これって…


「あ、ああ…ぼ、僕はソファーで寝るからバッサはベットを使って…」


しどろもどろに言って素早くソファーへ移動するレオ。

一瞬ほっとしたのは否めないが、あのソファーじゃレオの足はみ出るよね?

1日中レオはチルチルを操縦してて、多分私より数倍疲れてるはず…

これでも前世アラフォーなのよ。
年の功を発揮して言うしかないか?


「レオ、そこじゃ疲れが取れないわ…」


その言葉にキョトンとした顔で私を見る。


「ベットも広いし、一緒に使いましょう。」


するとまたみるみる顔を赤らめるレオ。
ちょ、やめて感染るから!


「い、いや、それはしかし…」


私は相変わらずしどろもどろになるレオに近づいて手を取った。


「私達は夫婦でしょ?何も問題無いわ。」


と、先程レオに言われた言葉を返した。

私に手を引かれながらベット近くまでついてくるレオは、

い、いや無理だろ…理性が…

とまた何やら呟いているがもうここまで来たら仕方ない、強引にベットに入らせてその横に私も横になった。


「おやすみ、レオ」


「あ、ああ…おやすみ」


ランプの灯りを消して、暗闇の中ようやく眠りについた…


わけあるかーー!!


ずっとトクントクンしてるわっ!
私の記憶が戻る前だけど、よくこれでオスカーが出来たな!



こうやって、バネッサとレオナルドの長い長い夜が更けていくのであった…



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