転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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雨乞いとエリーゼの暴挙

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翌朝、

2人揃って目の下に隈を作って朝食の場に現れた私とレオを見て、うふふっと笑うモーリスと、ため息をつくゲン。

なに?なんなのそのリアクションは?


「もうオスカーに兄弟作るの?」


ボソッと耳元で言うゲン。

はあっ!違うしっ!なにその勘違い!!
てか元太っ!あなた母親になんて事をっ!

と、私1人動揺しまくっているところに、マザールとエリーゼもやって来て全員で朝食を取る事になった。


食事が始まって、ふと気になった事がある。
マザール辺境伯って奥様と息子が居たわよね?
この邸に来て1度も目にして無いけど、朝食も別なのかしら?

その違和感はレオも感じたらしく


「マザール、奥方と息子はどうした?」


と、聞いた。

マザールはこの地は今危険なので奥様の実家がある領地に移していると言った。

その時のエリーゼ、いや恵里奈の顔があかりが良く見た嫌な笑顔だったのを見て

ああ…恵里奈が関わってるな。

と勘づいた。

ふとレオのスープを見ると、何かが混ざっているように見えた。

この世界にきてから毎回食事の時は鑑定魔法を発動させているのですぐ気がつく。

詳しく鑑定すると、

媚薬…?


「レオ、そのスープは飲まないで。」


なんて事ないかの様にサラッと言えば、レオも冷静にスープを下げろと使用人に言った。

ワケがわからないのか驚いた顔をするマザールと悔しそうに私を睨むエリーゼ。

やっぱりアンタか…
早朝からなに考えてんだか。


これから領地を見て回るとレオがマザールに言うと、コロッと表情を変えたエリーゼが


「あ、あたしも行きたいですぅ!」


案内も出来るし、自分は聖女だから役立つとアピールしだした。

が、レオは


「外にいる大鳥で移動するから案内は不用だし、4人しか乗れない。」


と断ってくれて、少し嬉しかった私がいた。


「もういいわっ!」


恵里奈の時と同じ様に不機嫌になって部屋から出て行くエリーゼ。

本当変わらないけど、国王と王妃にそれはダメでしょう?
周りが見えないのは相変わらず過ぎて、苦笑いが出た。


媚薬の件をレオに伝えると、眉間にシワを寄せて、


「エリーゼが居ない内に早く出発する。」


と、言ってスープを調べるようにマザールに命令した。


それから…
結果的には予定通り山奥に移動してレオの光魔法によって雨乞いは成功した。

キラキラ光る魔法を空に放つとみるみる雨雲が集まり大粒の雨が降り出した。


が、私の顔は引き攣っている。

少し時を戻して、チルチルに乗って山まで移動中の事。



「バッサ、実は天候に関わる魔法はやった事が無いんだ…」


おっと?突然のカミングアウト?

レオは成功するか正直自信が無いと言う。

確かに、原作でも追い詰められていたし聖女を守りたいと強く思ったから成功したみたいなくだりはあった気がする。


「だからもし成功したらご褒美をくれないか?」


それなら頑張れる気がすると言うレオ。

ご褒美?
なんの事かしら?
まさか子供みたいにお菓子とかじゃないわよね?



「無事に雨乞いが成功したら、キスしてほしい。」



え?
いつもしどろもどろにブツブツ言うレオがやけにハッキリと言ったよ!

きーすー?

想定外のご褒美に思考が止まる私に


「ダメかな?」


と、ダメ押ししてくる。

い、いや…この状況でこんなお願いされたら断れる?
私は空気を読める子よ。
断れるはずないですよー!


そして現在、大粒の雨に濡れながら脳内大パニック中の、前世アラフォーおばさんなのでした。



更にその頃…
やっと降った恵みの雨に喜ぶグレイン領の領民達の陰で、黒いフードを頭から被ったエリーゼが怪しく笑っていたのだった…


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