転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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贖罪の生活(パウロside)

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自分が浮気しといて、勝手に嫉妬して、冷遇する娘と溺愛する娘

いや、あれはただ甘やかしただけだったな
 
お金さえ払えば誰でも入学できる短大に通い
卒業しても就職する気はなく親の脛をかじって生活するつもりだったのだろうが、やっと働く気になった職場では問題を起こす

よりによって姉であるあかりの夫と不倫だと?


あかりの結婚も妊娠も知らなかった…
私達家族は祝ってやるどころか、ぶち壊したんだな


恵里奈を叱れば、パパとママだってしてたじゃないと言われる


あかりだってさすがに黙ってはいなかった
しっかりと弁護士を通して慰謝料を請求される


恵里奈に支払能力などあるわけも無く、私はあかりに祝い金ではなく慰謝料を払うのだった

その後、様子がおかしい恵里奈を心療内科の病院に入院させた

状態が良くないから親から自立するためにもしばらく会いにくるなと先生に言われ、結局見舞いには一度も行かなかった

ただ現実を見たくなかったのかも知れない


そんな私にもここで罰が下される

働いていた職場が突然の倒産したのだ

あかりへと慰謝料から恵里奈の長期入院、家計は火の車になった

この歳からの再就職など簡単に見つかるはずもなく、妻もパートに出るが水商売しか経験のない彼女には中々馴染めないようだ

医療費も支払う事が厳しくなり恵里奈を退院させたが、ふらりと何処かへ行って帰らなくなった

家も手放し、夜逃げ同然でボロアパートに引越す

妻はいなくなった恵里奈を探していたが、気がつけば妻も帰らなくなった

時は流れ、
私の老後は家族もお金も無くひとり寂しく死んでいった…


はずだったのだか?


生まれ変わりというやつか?いや憑依か?
私はまったく知らない所で知らない名前で呼ばれていた

はじめは久しぶりの若い身体に久しぶりの酒と飯に夢中になったが欲が満たされると自分の状況が気になる

私はパウロという名前の酒屋の店主のようだ
しかしあまりカタギとは言い難いようで危ない仕事もしている

仕事があるだけいいじゃないか!
私は日本での鬱憤を晴らすかのようにどんな仕事でもやった

そのうち裏社会ではパウロに頼めば何とかなると噂されるほどに


そんな時、突然場違いな若い女性が酒屋に飛び込んで来た


「あーやっと見つけた!ここじゃんパウロの店」


その声に視線を向けると、意外な人物が立っていた


「あ、マジで!パパじゃん!」


まさかの恵里奈だった

それからは恵里奈に今の状況について詳しい話を聞いた

ここはあかりが作家になり書いた作品の中の世界らしい
にわかには信じられないが


「だからあたしがパウロの店も知ってるんじゃん」

と、言われると確かに説得力はある

それから自分は聖女でこれから起る問題を国王陛下と解決して愛し合うのだと言う

国王陛下には王妃がいるだろ?
私の情報網では聡明な王妃で陛下とも仲睦まじいと聞いているが?

また恵里奈は人の夫を奪うつもりなのか?


「えー違うよバネッサは悪役なの!レオっちとはちょー仲悪いし」


私の情報が間違っているのかと思うほどに
やけにハッキリと言いきった

聖女になるためには必要だと言って私から毒薬、媚薬、そしてたまたま手に入れたインフルエンザウィルスと解毒剤をひったくって行った

聖女なのにそんな物が必要なのか?
と、疑問に思いながらも私はまた間違えたのだ


最終的には、やはり恵里奈は問題を起こした

突然店に乗り込んできた立派な騎士に拘束されて街の食堂に連れてこられれば

恵里奈と国王陛下と…

あ、あかり?



それからの時間は何も考えられなかったから多くは語れない


だだ私は今、
国の最北部にある鉱山で生涯働く事になっている。

仕事は決して楽ではないし、生きていける程度の金にしかならない

だが仕事があって同じく働く仲間がいる

ひとりじゃないんだ


これが罰だとレオナルド陛下はおっしゃった

もう会えないと思っていたバネッサ王妃とその護衛騎士に会えたし


生涯を贖罪の思いで働けるこの状況を実は気に入っている…








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