転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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目が覚めた先には(レオナルドside)

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迂闊だった

まさか国王である自分が若い女性に刺されるとは思っても見なかった。


正直に言えば、天候に関わる光魔法を使ったときに僕は限界だった

こんな強力で壮大な魔法は知識としては知っていたが、自らが使ったことは無い

だから自信が無くて、バッサに背中を押してもらうつもりでご褒美などと言った

結果、魔法は上手くいったが実は僕の魔力は枯渇しかけていた


それなのに、また別の問題だ

は?
街中で人々が疫病で倒れてる?
エリーゼがいない?

いけない、頭がうまく働かない
とにかく、バッサが行くと言うならついて行くしかない
バッサだけに行かせるわけにはいかないのだから


街中に入れば、そこは余りに酷い惨状だった

なんなんだこれは?どうなっている?

何もできない僕を尻目に、バッサとマザール、そしてダーゲンによってエリーゼとその仲間のパウロを拘束し、あっと言う間に問題を解決した

バッサが解毒薬を作れると言った時は驚いたが、本当に大量に作り出した

彼女は僕なんかより膨大な魔力も実力もあるのだろう

その上、王妃という我が国で一番高貴な夫人であるにも関わらず必死に汗を流しながら人々に解毒薬を配る彼女はとても美しくてとても眩しく見えたのは僕だけじゃないはずだ


グレイン邸に戻り、モーリスにある物を受け取る


「きっとレオは無理をする」


と言ってギースから預かっていたらしい
それは魔力回復薬だった

さすがに長い付き合いだけあってなんでもお見通しだなと、苦笑いしながらありがたく薬を飲んだ


さて、 
これから僕は国王としてグレイン邸に集められた皆に命令を出さなくてはならない

今回の件は媚薬は別にしても、国家内乱罪ですぐにでも処刑できるくらいの事件だ

だけど本当にそれで良いのか?

僕は少しづつクリアになる頭をフル回転させ考えた

とりあえず、さっきまでの不甲斐ない国王ではバッサに恥ずかしい

迷った結果、罪状を決めた僕は汚名挽回とばかりに国王の威厳を持って皆の前に出て言った


「処分は王都で言い渡す」 


これは今すぐには殺さないよって事なだけで
決して軽くは無い

僕自身情けをかけたわけではなく、バッサにかけた苦労を思えば簡単に殺してやるかってところだった


それなのに、最後にはあんな小娘に…
本当情けない


ただバッサが抱きしめてくれて、何度も僕の名前を呼んでくれた事だけは良かったかな


次に意識が戻った時はまだ夜が深く、暗闇だった。

魔力を飛ばし、オイルランプに灯りを灯せば僕の左手を握りしめてベットの横にすわったまま眠っているバッサがいた

ああ、こんなところで!
と自身の身体を起こそうとするが激痛が走る

そうだよ、刺されたんだった


「ダーゲン」


多分部屋の外で控えているだろうバッサの護衛を呼ぶと、案の定静かに入ってきた

眠っているバッサを僕の横に寝かせてもらって、喉が乾いている僕は水を頼んだ

寝不足のままで山に行って街では解毒薬を作っては配り、最後には僕の看病もしてくれたのか…
疲れただろう…
心配をかけてしまったな…


申し訳ないと思う気持ちと、胸が熱くなる気持ちとが入り混じってなんとも言い難い気持ちになるが、


今繋がれた手は決して離したくないとそれだけは心から思った…

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