転生した王妃は親バカでした

ぶるもあきら

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恋する乙女

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無事に王宮に帰り、レオは一応王宮医療士に傷を診てもらうが何の問題も無いとの事でとりあえず一安心。

その後、ギースに捕獲され渋々執務室へと向うのだった。
多分、留守中の仕事が溜まっているのだろう…
ご愁傷様だ。

私はと言えばとりあえず一番にオスカーに会いたい!
抱っこして匂いをクンクン嗅ぎたいと思っていたのに、マリーヌをはじめ侍女達に捕獲され湯浴みからマッサージ、メイクと磨かれだした。

たしかに侍女もつけずに行ったのだから自分でやるしかないし、そりゃテキトーでしたよ
こんな長い髪、自分じゃひとつに括るのが精一杯ですわ。

服だってお忍びだし、チルチルに乗るのよ?王妃とは思えない姿でも仕方ないと思うの…

それなのに私の姿を見るなり悲鳴を上げた侍女達はいつも以上のチームワークでかつ迅速な仕事を見せたのだった。

そんな周りを見ながら私は我が息子と会うだけでもこんなに大変なのかと内心ため息をついたのだった。


オスカーが生まれてからずーっと一緒で、こんなに離れたのは初めてだった。
オスカーの事を思うだけでもう枯れかけているはずの胸が張ってきて、人体の構造って凄いなと改めて思った。


侍女達の合格がようやく出て、お預けされてたオスカーのいる部屋に向かえる!

やだちょっとドキドキするわ…
まるで恋する乙女ね。


「オスカー!ただいまー!」


部屋に入るなり目に入る輝く金色の髪に思わず声を上げた。

乳母sと遊んでいたオスカーがくるっと振り返り私を見て、


「マァーー!」


え?嘘っ!
今、ママって呼んだ?

ヨチヨチ歩いてこっちに向かって来ようとするオスカー

ふぁっ!たまらん!!

私もかけ寄り最愛の天使を抱き上げた。

あーー会いたかったわ!
これこれ、オスカーの匂いよ

それからは散々オスカーを構って、ちょっと離れてただけなのにいつの間にか活発に動き回る我が子を追いかけ回して遊んだり、簡単な手遊びにも喜ぶ姿に我が子の成長を感じる。

オスカーキャッキャ笑って逃げ回り、そして電池の切れたおもちゃの様にパタリと眠ってしまった…

仕方ない、残念だけど乳母sにオスカーを預けてマリーヌに留守中のオスカーの様子を聞く事にした。

そうしたらオスカーってば、私がいなくて寂しがって泣いたんですって!

可哀想だけど嬉しい、何この複雑な気持ち!


「でもそんな時はこれを見せればご機嫌になりましたよ」


とマリーヌが出したのが3人の姿絵ポストカードバージョン。

え?
私も持ってないのになんでマリーヌ持ってんの?

という私の疑問に


「普通に絵師様から買いましたけど?」

は?
街では売り切れで手に入らないって言ってたじゃん!!

街に流通する分は数が決まっていてそれ以上は出さないらしい。
そこには贋作を見分けやすくするとか、王族の価値的な理由があるらしいのだが、王宮に絵師が来た時に頼めば描いて売ってくれるのだとか…


「ほかの使用人もみんな買ってますよ?」


マリーヌが当然とばかりに言うが、何その社員特典的なサービス
知らなかったんですけどーー?


「一度、王宮の大きな絵も見に行かれて、オスカー様すごく喜んでました」


嗚呼、アルタビジョン…
そんな使い道もあったのね。

その姿絵を見てたらママ(正確にはマー)と言うようになったらしい。

それ以外は、よく食べてよく遊び、よく寝たと、健康優良児であったとマリーヌは言った。

そして私は、
今度いつ絵師が王宮に来るのか、いっそのこと新しいオスカーの絵を注文してしまおうかと考えていたのだった。



「それよりバネッサ様と国王陛下、何か雰囲気が変わりましたね」


と、マリーヌが何かあったのかと言わんばかりの笑顔で聞いてくる。


「え?そうかしら?」


と返してはおくが、私はあの空の上での出来事を反芻して顔が熱くなるのを隠せていない。


「まあまあ、恋する乙女の様ですこと…」


と、小声で言うマリーヌの声は私に聞こえていなかった…













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