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第三章 女神と親友
第103話 深見 望
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盗賊たちの討伐を完了し、元の世界でも友人であるノゾムとこちらの世界で会うとは思ってもいなかったが、出会って早々、ミコトとミサオに不埒な誘いをかましたノゾムを俺は殴った。
「アスカ。お前、いきなり殴る事は無いだろう!」
「お前が相変わらず見境なく馬鹿な事を言うからだろうがっ」
誘いを受けた当の二人は、きょとんとしていた。
「え、何? この人いきなり何を言ってんの?」
「二人共ごめん。こいつ、根は良い奴なんだけど、女の子に見境なく声を掛けまくるんだ。あ、お前ここに来たのもそれが目当てか!」
「失礼な。女の子に酷い目を合わせる屑を片付けに来たんだよ。俺は基本、女の子に声を掛けるが、嫌がる子やそういうので傷付いた子には何もしないぜ。で、どうかな二人は?」
「お断りします」
「断る!」
「そっかぁ。残念。なんなら、アスカ、お前は……」
ノゾムが話し終わる前に俺の拳が顔面に飛んだ。
「ってぇ。冗談だろ。冗談」
「お前のは冗談に聞こえん」
俺とノゾムのやり取りを見ていた二人がクスクスと笑っている。
「漫才みたい」
「二人は本当に仲が良いんだね」
俺たちは顔を見合わせ、
「「こいつとは腐れ縁」」
声が被った。
「こいつは顔がコンプレックスで、友達少ないからな。実際、こう見えて男に戻ってもあんまり変わらないよ。こいつの顔。所謂、かわいい系男子って奴。で、俺は見た目通りのイケメンだから、二人で歩いてたら女の子からよく見られてたな。で、大概、こいつが可愛いって言われて、腹を立てて行っちまう。残った女の子の相手を俺がするみたいな感じだよ」
「うるさいな」
ミコトが何故か俺の顔をジロジロ見て、俺と目が合ったら顔を背けられた。
「そんな事より、お前らこそ、何でこんな所に居るんだよ?」
「ああ、昨日、ティバル族の集落に寄る事になって、その時に盗賊の話を聞いたからな。退治に来たのさ」
「いや、それは見れば分かるけどよ、そもそも何でこのバラトレストに居るんだって話だよ」
俺はノゾムにこれまでの話を説明する。
はっきり言って、この手の話はノゾムの大好物だ。俺の話を聞いたノゾムの目が輝いている。
「まじかよ! お前、そんな境遇にいるのか! 羨ましい奴だな。よし、決めたぞ。俺もお前に付いていく! 拒否権は無い!」
「言うと思った……」
「アルと言ったか。よろしくな!」
アルが若干引き気味にミコトの陰に隠れているが、気にしないでおこう。
「その前にお前、女神デイジーに話さないといけないんじゃないのか?」
「デイジーちゃんなら大丈夫。俺がやりたいって言えば許してくれるさ」
「デイジーちゃん!」
「女神様をちゃん付け……」
「お前まさか……」
「?」
「……したのか?」
「したよ」
三人が顔を見合わせる。こいつ大丈夫かと言わんばかりに。
「おいおい、デイジーちゃんが望んだんだから、大丈夫だって」
「我が友人ながら、信じられん……」
「もう、その話は良いじゃねぇか。人を獣みたいに見やがって」
いや、獣そのものだろうが。突っ込みたくなったが、話が進まなくなりそうなので、グッと堪えた。
「じゃあ、フォレストパレスに一緒に戻るか。っと、その前に……」
ノゾムが背負っていた大鎌を再び構えると、その場を高く飛び上がった。
「よっ、<ソニックエッジ>、追加効果<サイドリッパー>」
俺たちの頭上から捉えていた盗賊達に向かって、斬撃が飛んでいき、一人に命中した所で斬撃が横に拡がると、捉えていた盗賊を全て横一文字に斬り裂いた。
「ノゾム、お前何やっているんだ!」
「何って、盗賊退治。アスカ、お前甘いぞ。あんなクズ共生かしておく必要なんてないぜ」
こいつ、人より優れた力を手にして、命の大切さとか忘れてしまったんじゃないのか? 俺がそんな事を考えていると、
「別に殺したいから、殺すわけじゃないぞ。この世界は命の価値が俺たちの世界より軽い。力あるものが力無いものを蹂躙するような世界だ。そして、あいつらみたいなクズは、改心することはない。俺がこっちに来たばかりで力が足りなかった時、俺は……、守れなかった。だから、例え、俺の手が汚れようとも、次の被害者が出る前に殺ると決めたんだよ。これだけは譲れねぇ」
こいつも、こっちに来て色々あったみたいだ。こんなに真剣な顔は見たことが無い。
「分かった。お前にはお前の事情があるのかもしれない。でも、次は止めるぞ。お前の為にも」
「ははっ。相変わらずだな。お前も。そんな立派なおっぱいつけても中身は変わってねぇや」
「おっぱいは余計だ!」
俺たちほ救い出したティバル族をティバルへと送り届けた。族長から心の底から感謝された。囚われていたティバル族の女性たちも泣いて喜んでいた。
「ティバル族の人たち喜んでくれて良かったね」
「そうだな」
俺たちはノゾムを加え、再びフォレストパレスへ向けて出発した。
「そういえば、ノゾム」
「なんだ?」
「いや、お前が付いてくるのなら、お前の力がどんなものなのか知っていた方がいいかなって。見た目の装備は、森林警備隊の姿をした死神なんだが」
「何だそりゃ。そうだな。別に隠す必要もないし。俺の職業は超闘士。完全な物理前衛タイプだな。特徴としては、全種類の武器が使えるのと、アーツを複合、いや違うな。使用するアーツに他のアーツの効果を追加付与出来るって所か」
「はぁっ!? 何だよ、そのチート能力」
「良いだろ。でも、魔力攻撃はからっきしだからな。ゴーストとかの幽体やアストラル体のモンスターには全く使い物にはならないぞ」
少し前の俺みたいだな。でも、俺なんかより全然良いじゃないか。武器が何でも使えるのならそういったモンスターにも効果の出る武器を使えば良いだけだ。俺たちは、自分の職業と特徴をノゾムに教える。
「バランス悪いな。このパーティ」
「そうだな。後衛がもう一人欲しい所だったんだけどな……」
「取り敢えず、ミサオちゃんは暫く後衛を担当してくれると丁度いいかな」
「あたしをちゃん付けするな! あたしの方が年上だよ!」
ミサオが子供扱いされたような気がするのか、ノゾムの呼び方に抗議する。
「駄目かな?」
ノゾムがイケメンスマイルで、ミサオに問い掛けると、ミサオが本当に嫌そうな顔をする。
「これだけは言っておくよ。あたし、あんたみたいなナンパ野郎、大っ嫌いなのよ!」
あれ? 何だか雲行きが怪しくなって来たんだけど……。
「アスカ。お前、いきなり殴る事は無いだろう!」
「お前が相変わらず見境なく馬鹿な事を言うからだろうがっ」
誘いを受けた当の二人は、きょとんとしていた。
「え、何? この人いきなり何を言ってんの?」
「二人共ごめん。こいつ、根は良い奴なんだけど、女の子に見境なく声を掛けまくるんだ。あ、お前ここに来たのもそれが目当てか!」
「失礼な。女の子に酷い目を合わせる屑を片付けに来たんだよ。俺は基本、女の子に声を掛けるが、嫌がる子やそういうので傷付いた子には何もしないぜ。で、どうかな二人は?」
「お断りします」
「断る!」
「そっかぁ。残念。なんなら、アスカ、お前は……」
ノゾムが話し終わる前に俺の拳が顔面に飛んだ。
「ってぇ。冗談だろ。冗談」
「お前のは冗談に聞こえん」
俺とノゾムのやり取りを見ていた二人がクスクスと笑っている。
「漫才みたい」
「二人は本当に仲が良いんだね」
俺たちは顔を見合わせ、
「「こいつとは腐れ縁」」
声が被った。
「こいつは顔がコンプレックスで、友達少ないからな。実際、こう見えて男に戻ってもあんまり変わらないよ。こいつの顔。所謂、かわいい系男子って奴。で、俺は見た目通りのイケメンだから、二人で歩いてたら女の子からよく見られてたな。で、大概、こいつが可愛いって言われて、腹を立てて行っちまう。残った女の子の相手を俺がするみたいな感じだよ」
「うるさいな」
ミコトが何故か俺の顔をジロジロ見て、俺と目が合ったら顔を背けられた。
「そんな事より、お前らこそ、何でこんな所に居るんだよ?」
「ああ、昨日、ティバル族の集落に寄る事になって、その時に盗賊の話を聞いたからな。退治に来たのさ」
「いや、それは見れば分かるけどよ、そもそも何でこのバラトレストに居るんだって話だよ」
俺はノゾムにこれまでの話を説明する。
はっきり言って、この手の話はノゾムの大好物だ。俺の話を聞いたノゾムの目が輝いている。
「まじかよ! お前、そんな境遇にいるのか! 羨ましい奴だな。よし、決めたぞ。俺もお前に付いていく! 拒否権は無い!」
「言うと思った……」
「アルと言ったか。よろしくな!」
アルが若干引き気味にミコトの陰に隠れているが、気にしないでおこう。
「その前にお前、女神デイジーに話さないといけないんじゃないのか?」
「デイジーちゃんなら大丈夫。俺がやりたいって言えば許してくれるさ」
「デイジーちゃん!」
「女神様をちゃん付け……」
「お前まさか……」
「?」
「……したのか?」
「したよ」
三人が顔を見合わせる。こいつ大丈夫かと言わんばかりに。
「おいおい、デイジーちゃんが望んだんだから、大丈夫だって」
「我が友人ながら、信じられん……」
「もう、その話は良いじゃねぇか。人を獣みたいに見やがって」
いや、獣そのものだろうが。突っ込みたくなったが、話が進まなくなりそうなので、グッと堪えた。
「じゃあ、フォレストパレスに一緒に戻るか。っと、その前に……」
ノゾムが背負っていた大鎌を再び構えると、その場を高く飛び上がった。
「よっ、<ソニックエッジ>、追加効果<サイドリッパー>」
俺たちの頭上から捉えていた盗賊達に向かって、斬撃が飛んでいき、一人に命中した所で斬撃が横に拡がると、捉えていた盗賊を全て横一文字に斬り裂いた。
「ノゾム、お前何やっているんだ!」
「何って、盗賊退治。アスカ、お前甘いぞ。あんなクズ共生かしておく必要なんてないぜ」
こいつ、人より優れた力を手にして、命の大切さとか忘れてしまったんじゃないのか? 俺がそんな事を考えていると、
「別に殺したいから、殺すわけじゃないぞ。この世界は命の価値が俺たちの世界より軽い。力あるものが力無いものを蹂躙するような世界だ。そして、あいつらみたいなクズは、改心することはない。俺がこっちに来たばかりで力が足りなかった時、俺は……、守れなかった。だから、例え、俺の手が汚れようとも、次の被害者が出る前に殺ると決めたんだよ。これだけは譲れねぇ」
こいつも、こっちに来て色々あったみたいだ。こんなに真剣な顔は見たことが無い。
「分かった。お前にはお前の事情があるのかもしれない。でも、次は止めるぞ。お前の為にも」
「ははっ。相変わらずだな。お前も。そんな立派なおっぱいつけても中身は変わってねぇや」
「おっぱいは余計だ!」
俺たちほ救い出したティバル族をティバルへと送り届けた。族長から心の底から感謝された。囚われていたティバル族の女性たちも泣いて喜んでいた。
「ティバル族の人たち喜んでくれて良かったね」
「そうだな」
俺たちはノゾムを加え、再びフォレストパレスへ向けて出発した。
「そういえば、ノゾム」
「なんだ?」
「いや、お前が付いてくるのなら、お前の力がどんなものなのか知っていた方がいいかなって。見た目の装備は、森林警備隊の姿をした死神なんだが」
「何だそりゃ。そうだな。別に隠す必要もないし。俺の職業は超闘士。完全な物理前衛タイプだな。特徴としては、全種類の武器が使えるのと、アーツを複合、いや違うな。使用するアーツに他のアーツの効果を追加付与出来るって所か」
「はぁっ!? 何だよ、そのチート能力」
「良いだろ。でも、魔力攻撃はからっきしだからな。ゴーストとかの幽体やアストラル体のモンスターには全く使い物にはならないぞ」
少し前の俺みたいだな。でも、俺なんかより全然良いじゃないか。武器が何でも使えるのならそういったモンスターにも効果の出る武器を使えば良いだけだ。俺たちは、自分の職業と特徴をノゾムに教える。
「バランス悪いな。このパーティ」
「そうだな。後衛がもう一人欲しい所だったんだけどな……」
「取り敢えず、ミサオちゃんは暫く後衛を担当してくれると丁度いいかな」
「あたしをちゃん付けするな! あたしの方が年上だよ!」
ミサオが子供扱いされたような気がするのか、ノゾムの呼び方に抗議する。
「駄目かな?」
ノゾムがイケメンスマイルで、ミサオに問い掛けると、ミサオが本当に嫌そうな顔をする。
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あれ? 何だか雲行きが怪しくなって来たんだけど……。
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