日本⇔異世界鉃道

カラス

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第2話

異世界の鉄道事情

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折り返し運転をし、無事もとの世界にもどれたえりこ。
折り返し運転では乗る人が異世界ではいなかった。
そして、苫小牧運転所にもどり、第二厚真隧道でのできごとを報告した。
無線が通じない以上しょうがないことだがえりこは怒られた。
翌日、JR北海道の職員が第二厚真隧道でのできごとや異世界の鉄道事情について調査がはじまった。
えりこが運転する東室蘭8:59分発穂別行きの普通ワンマン列車に調査員が乗り合わせた。
そして、第二厚真隧道へ進んでいくキハ40。
そして、第二厚真隧道の手前の駅、「北厚真」に停車し、ドア操作するえりこ。
滅多に乗り降りする客はいないが今日は2人乗ってきた。
そして、第二厚真隧道に入る列車。
しばらくすると、明かりが見れ、トンネル出口が近づいていくのがわかる。
トンネルをでたらそこはやっぱり異世界。
調査員が無線、携帯電話を調べるが、無線は通じず、携帯電話は圏外をしめしていてとても遠く離れた輸送司令や運転所との通信ができないことがわかった。
『腕木信号かぁ、懐かしいなぁ』
聞き覚えのある声。
調査員として、えりこの父、そして運転士見習い時代の師匠であった。
声のする方に向いた途端『前を見ろ!』と一喝。
そして調査員は異世界最初の駅で降りた。
ここはどこでどんな地域なのか、ここの鉄道事業は誰が運営しているのか、などなど調べた。
そしてわかったことは
ここは「サビーネ帝国」と言う国で、「ウェストウッド」という地域とのこと。
鉄道事業者は「鉄道ギルド」という事業者が運営していて、総営業距離は旧国鉄とほぼ同距離で、ほとんどが赤字路線だそうだ。
そして、日本とつながってしまった路線は数少ない黒字路線のようだ。
そして、JR北海道は、日本政府に異世界と鉄路でつながったことを報告した。
後日、JR北海道と日本政府が連携して本格的な調査が始まった。
調査員を乗せた列車はトンネルを抜け、異世界へと入った途端前のめりになるほどの急制動と耳を塞ぎたくなるほどの警笛鳴動。
線路上に兵士と見られる人物がいたからだ。
先程の警笛でひるんだのか転びながらもホームへ逃げていった。
ガタイはよかったが車内にいても耳を塞ぎたくなるほどの警笛を鳴らされたのなら逃げるのは普通だろう。
そして、ホームから弓が放たれた。
1本の弓が車体に当たった瞬間父は大きい声でえりこに指示をだした。
『ここは危険だ!フルノッチで進め!轢いてでもだ!』
えりこはブレーキを緩めノッチを最大まで入れた。
うなりをあげ加速していくキハ40。
弓がガラス面に当たっても傷一つつかなかった。
数名轢いたがホームに剣や弓を持った兵士が数十名いて、停車したら確実に自分らの命はなかっただろう。
100km/h出して1秒でも早くその場を離れたかったが70km/h超えたあたりで車体がふらつき始めた。
おそらく犬釘が緩んでいたのだろう。
数駅を通過し、山奥の無人駅に停車した。
数時間後、兵士に襲われた駅に引き返す。
兵士は居たが、なにやら様子がおかしい。
ホーム側の乗務員扉の窓を開けると、兵長と思わしき人が「すいません、すいません」と謝っている。
後ろの人も「すいません、すいません」と言っている。
調査員として乗っている父に相談すると、『前の乗降扉を開けなさい』と指示。
そのとおりにすると、兵長と数名が乗り込んだ。
[先程はすまなかった、私の名はジョン=ノブオ]と名乗った。
調査員は名刺を渡し、名乗った。
詰所へ案内してくれるそうなので、調査員は降りた。
えりこは、ポイント操作をし、ホームのない中線に列車を停止させ、エンジンを止めたあと、輪止めした。
そして、調査員に付いていった。
詰所にて、鉄道ギルドの区間長と話をした。
話を聞いていると、どうやらこの世界にも蒸気機関車はあるらしい。
だが客車一両でさえも20km/hだせないそうだ。
単行でも40km/hもだせない。
そりゃ馬に頼るしかないわと思ったえりこ。
馬ではウェストウッドからイーストウッドまで早馬で25時間かかるそうだ。
時間短縮をしたいけれどもできなくて困り果ててたところに私たちが現れたとジョン=ノブオが言っていた。
えりこはふと思い出し、70km/hでふらついた区間ことを鉄道ギルドに話した。
この異世界とのトンネルは鉄道ギルド全体の問題だとして、数日後に鉄道ギルド総統括長と鉄道ギルドすべての区間長とJR北海道の苫小牧運転所所長と社長とを交えて話し合いが行われるそうだ。

次回へ続く
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