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ヒカル
しおりを挟む◇ナオトは、自由が丘の携帯ショップに解約に行こうと思い私鉄の踏み切りを渡っていると……正確に言うと自分でもなぜまた解約する必要があるのか、いまいちわかってなかったけど……とにかく不意にほんとうに不意に空から降ってきたようにヒカルを思いっきり抱きしめたくなっちゃったので、往き交う人には邪魔で迷惑千万だろうけれども遠慮なく感情の赴くままギューッと抱きしめてヒカルにKissした。
ヒカルは、ぽぅとピンクに頬を染め、俯いたまま「バカ」といった。
「なんだよ、恥ずかしがんなよ」とナオトがいったら
「あのね、どうでもいいけれども、あたしはヒカルじゃないんだけど……」
ヤベー、そうだったっけと、トートバッグを肩にかけなおして照れたようなふりして時間かせぎして、誰だったけか? と考えてた。
ヤベー。まじヤベー。
ヒカルじゃなきゃ、誰なんだ? ま、まさか……
——そうよ、そのまさかよ。
なんかそんなふうな声が聞こえてきたような気がして、念話? 念話してんのかよとナオトはまじに、怖くなった。
それでも惰性なのか依怙地になってるのか自分でもよくわからなかったがナオトは自由が丘の携帯ショップに解約に行かなければならないという何やら強い使命感を帯びているらしい自分というものを少し不安にも感じながら、踏み切りを渡っていると不意に、ほんとうに不意に、空から降ってきたようにヒカルに似た子を思いっきり殴りたくなっちゃった……ので往き交う人には邪魔で傍迷惑だろうけれども遠慮なく感情の赴くままボコボコにした。
顔面も効いたんだろうけれど腎臓への一発で、ヒカルに似た子はくずおれた。
もしかしたら死んじゃったかもしれないけどその苦痛に歪んだ表情がたまんなくて、ヒカルに似た子にナオトはKissした。
するとヒカルに似た子は、ぽぅとピンクに頬を染め俯いたまま「バカ」といった。
「なんだよ、恥ずかしがんなよ」といったら
「あのね、どうでもいいけどさ、あたしもう死んでるんだけど……」
ヤベー、そうだったっけ。
でも、細かいこというなよ。
どうせおまえは、ただの死体じゃん。
ナオトはトートバッグを肩にかけなおして、踏み切りを渡りきる。
そしてヒカルに似た子をずるずるひきずって携帯ショップに入ってゆく。
客は、ひとりもいなかったので、いきなりカウンターで訊いてみる。
「あのう。念話できるようになったから解約したいんですけど?」
「はい?」
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