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海老チリや小龍包の彼方に見えるシアワセのアトモスフィア①
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きのうネットで落した120メガバイトくらいのダリアという短いアニメを再生しようとしていると「アルタード・ステーツはケン・ラッセルだっけ?」ケンがそういっていたことを不意に思いだした。
いまごろどうしてるんだろう、あいつ。
またぞろ、「マコしゃん萌え~」とかいいながらティンクの抱き枕を抱いて悶えているにちがいない。そんな気がした。
ナオトは、ひとりでこのまま闇雲に修行していても埒はあかないと冷静に判断していていて、そこで、相方を見つけようと考えていたが、なかなか気が合いそうなやつはいないのだった。
ただ、かなりヤバイやつだけれど候補者はいて、それがケンだったが、とにかくケンはいつもひょんなときに突然現れる、神出鬼没な色んな意味で強烈キャラなのだった。
前回現われたのは、ナオトがちょうどモアイ像の上でという変な設定で人と待ち合わせをしていているときのことで、約束の時間を裕に30分も過ぎているというのにまったくその人物が現われずに、もうほんとうにブチキレる寸前に全然約束もしてないケンが降って湧いたかのように、その場に現れたのだった。
それからふたりは、渋地下に新しくできたカトレアという東京ドームが五個くらいすっぽりと入ってしまうほど超どデカいマンモス喫茶店に入った。
ウェイターとウェイトレスだけでも合わせて600人くらいはいそうで、ということは、厨房も含めたならば総従業員数は1000人はくだらないんじゃないか、とケンがいった。
んなわけねーじゃん、とナオトは思ったものの案外そうなのかも知れなかった。ホラでもなんでもいい。ケンには、ああそうかもなぁと思わせる不思議な空気感みたいなものがある。
たぶんそれは彼が優れた偉い人物などではなく、それとは真逆の、自分をダメ人間と思っている奢りのない人物だからだろう。
「なんかむしゃくしゃしてるから、今日は派手にいこうぜ!」
「おー!」
と二人で声を出したまではよかったけれども、なんにもやる気が起こらない。
純粋に鼓舞するためだけのから元気が、さらにどっと疲れを覚えさせただけだった。
「あー、なんかこうワクワクすることないかなぁ」
「脇毛を剃るってのは駄目すか?」
「はい?」
「いや、失礼」
「じゃ、いっそのこと叙々苑に焼肉食いにいきますか」
「いいですね」
「割勘すか?」
「いや、誰かに奢らせるのさ」
「へ?」
そこへ、青天の霹靂の如き大変化が訪れようとは!
ふたりのテーブルの冷めたコーヒーが早々に下げられるや、ところ狭しと豪華な料理が並べはじめられたのだ。
これには、さすがの? ふたりもビックリ! 何かの間違いにきまっているけれども、ちょうど腹も空いてきたことだし、食欲をそそりまくるなんともいえないイイ匂いと、燦然と眩いばかりに輝く豪華な料理の数々にもう一瞬たりとも目を離せない情況になっていた。
もう唾液の分泌がとまらない。ナオトとケンは、二匹のパブロフの犬にちがいなかった。
これで「失礼しました間違いでした!」で、下げられてしまったら、それこそ蛇の生殺しってやつだとケンは思った。そんな殺生な……。
少しでもその現実との対面を先延ばしにしたいがために、ナオトもケンも事の真相をウェイターに尋ねたりなどしない。
一点を見つめたまま……だが、その視線はエビチリや小籠包を透過して、全然異なる言うに言われない抽象的な思考に囚われているようなかなり難しい、いうなれば哲学的な表情を浮かべていた。
あるいは、人はそれを『切ないまなざし』と呼ぶのかも知れない。
だが、作家やミュージシャンにも旬があるように全ては時間に支配されている。ましてヒトの口に入る料理に於いておや、である。
生ものでなくとも時間の経過と正比例して味も鮮度も急速に落ちてゆく。
そのように何事も時間から逃れられないのだ。
というわけでっ。
湯気を立てている美味しい料理もあと少しで旬が過ぎてしまうだろうし、お腹の虫も我慢の臨界点に達しようとしていて、イライラの炉心があわやメルトダウンか! という自己判断のもと、ナオトはもう居ても立ってもいられずに思わずウェイターに聞いていた。
「あのこれ、なんかのまちがいですよね?」
いまごろどうしてるんだろう、あいつ。
またぞろ、「マコしゃん萌え~」とかいいながらティンクの抱き枕を抱いて悶えているにちがいない。そんな気がした。
ナオトは、ひとりでこのまま闇雲に修行していても埒はあかないと冷静に判断していていて、そこで、相方を見つけようと考えていたが、なかなか気が合いそうなやつはいないのだった。
ただ、かなりヤバイやつだけれど候補者はいて、それがケンだったが、とにかくケンはいつもひょんなときに突然現れる、神出鬼没な色んな意味で強烈キャラなのだった。
前回現われたのは、ナオトがちょうどモアイ像の上でという変な設定で人と待ち合わせをしていているときのことで、約束の時間を裕に30分も過ぎているというのにまったくその人物が現われずに、もうほんとうにブチキレる寸前に全然約束もしてないケンが降って湧いたかのように、その場に現れたのだった。
それからふたりは、渋地下に新しくできたカトレアという東京ドームが五個くらいすっぽりと入ってしまうほど超どデカいマンモス喫茶店に入った。
ウェイターとウェイトレスだけでも合わせて600人くらいはいそうで、ということは、厨房も含めたならば総従業員数は1000人はくだらないんじゃないか、とケンがいった。
んなわけねーじゃん、とナオトは思ったものの案外そうなのかも知れなかった。ホラでもなんでもいい。ケンには、ああそうかもなぁと思わせる不思議な空気感みたいなものがある。
たぶんそれは彼が優れた偉い人物などではなく、それとは真逆の、自分をダメ人間と思っている奢りのない人物だからだろう。
「なんかむしゃくしゃしてるから、今日は派手にいこうぜ!」
「おー!」
と二人で声を出したまではよかったけれども、なんにもやる気が起こらない。
純粋に鼓舞するためだけのから元気が、さらにどっと疲れを覚えさせただけだった。
「あー、なんかこうワクワクすることないかなぁ」
「脇毛を剃るってのは駄目すか?」
「はい?」
「いや、失礼」
「じゃ、いっそのこと叙々苑に焼肉食いにいきますか」
「いいですね」
「割勘すか?」
「いや、誰かに奢らせるのさ」
「へ?」
そこへ、青天の霹靂の如き大変化が訪れようとは!
ふたりのテーブルの冷めたコーヒーが早々に下げられるや、ところ狭しと豪華な料理が並べはじめられたのだ。
これには、さすがの? ふたりもビックリ! 何かの間違いにきまっているけれども、ちょうど腹も空いてきたことだし、食欲をそそりまくるなんともいえないイイ匂いと、燦然と眩いばかりに輝く豪華な料理の数々にもう一瞬たりとも目を離せない情況になっていた。
もう唾液の分泌がとまらない。ナオトとケンは、二匹のパブロフの犬にちがいなかった。
これで「失礼しました間違いでした!」で、下げられてしまったら、それこそ蛇の生殺しってやつだとケンは思った。そんな殺生な……。
少しでもその現実との対面を先延ばしにしたいがために、ナオトもケンも事の真相をウェイターに尋ねたりなどしない。
一点を見つめたまま……だが、その視線はエビチリや小籠包を透過して、全然異なる言うに言われない抽象的な思考に囚われているようなかなり難しい、いうなれば哲学的な表情を浮かべていた。
あるいは、人はそれを『切ないまなざし』と呼ぶのかも知れない。
だが、作家やミュージシャンにも旬があるように全ては時間に支配されている。ましてヒトの口に入る料理に於いておや、である。
生ものでなくとも時間の経過と正比例して味も鮮度も急速に落ちてゆく。
そのように何事も時間から逃れられないのだ。
というわけでっ。
湯気を立てている美味しい料理もあと少しで旬が過ぎてしまうだろうし、お腹の虫も我慢の臨界点に達しようとしていて、イライラの炉心があわやメルトダウンか! という自己判断のもと、ナオトはもう居ても立ってもいられずに思わずウェイターに聞いていた。
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