パサディナ空港で

トリヤマケイ

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#177 eath other

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 *月*日



 自由が丘のペットショップの前に立ち、豆柴を眺めていた。
 


 たまらなくかわいいので、立ち止まってしまったのだ。



 
 豆柴は電気カーペットのコードをガシガシ噛んでいて少し心配だった。
 
 
 
 
 と、そこで後ろから声をかけられた。振り返ると見覚えのある顔だった。
 
 
 
 
 
 ラーメンが好きなんだなというくらいの知識しかないけれど、その人はイコラブのメンバーによく似ていた。
  




 たしか以前にもこのペットショップのウインドウの前に佇み、チワワだかフレブルを眺めていたときにも、声をかけられたことがあったことを思い出した。





 その時は、かなりご高齢の女性だったけど、ペットショップの前でタクシーを降りたわけでもないだろうに、通りの向かいにある5メートルも離れていない雑居ビルまで、連れて行ってほしいと頼まれたのだった。




 正直、面食らった。でも、むろん、即座にハイと答えた。
 
 
 

 そしてその女性が、ごく自然に手を差し出すので、その手を取って、ゆっくりとはす向かいにある小さなビルに向かったのだ。

 
 
 
 
 
 
 ていうか、イコラブだった。
 
 
 
 ラーメンだった。
 
 
 
 
 
 だから、たぶん自由が丘で美味しいラーメン屋さんてわかります? そう訊かれるのだろうと思った。
 
 
 
 
 
 ところが彼女はとんでもないことを言い出した。
 
 
 
 
 
 「あの、知らないと思いますけど私こう見えて所謂アイドルなんです。だから年頃なのにデートとかしたことなくって」
 
 
 
 
 ちょっと待ってと思った、足が震えてる。
 
 
 
 
 
 
  
   
    
 マジにモノホンのイコラブメンバーだった! いやまて、もしかしたらノイミーかもしれない? 
 
 
 
 
 
 
 などと目を白黒させていると
 
 
 
 
 
 
 「あの、お互いマスクしていてわからないっぽいですけど、ホントすいません大ファンなんです、元乃木坂の○◎さんですよね?」
 
 
 
 
 
 
 
 
 ビンゴ!
 
 
 
 
 
 
 
 
 「あの、よかったらデートしてもらえませんか?」
 
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